マルコ・ポーロの冒険
解説
イタリアの冒険家、マルコ・ポーロの実伝を元に映画化した冒険ドラマ。中国の絹や宝石をヨーロッパに輸入する仕事をしていた父の依頼で上海に着いたマルコが、さまざまな困難に遭遇しながらも、それらを乗り越えていく。ゲイリー・クーパーの初期の作品。
1938年製作/104分/アメリカ
原題または英題:The Adventures of Marco Polo
ストーリー
マルコ・ポーロはヴェニスの貿易商ニコロ・ポーロ末子であった。彼は性来膂力人に勝れ、果断で、不思議と運が強く、また女にちやほやされる魅力を持っていた。ニコロは中国の絹や宝石を輸入すれば欧州で巨利を博するに相違ないと見込み、中国と通商の道を開くためにマルコを北京へ遣した。マルコは元帝クビライ汗にあてた父の通商公益の嘆願書を携え、従者ビングッチオを伴って出発し、炎熱の砂漠を横断し、雪山の険路を越えて、難旅2年の後、ようやく北京城にたどりついた。マルコは、花火製造を業としている巷の道学者チェン・ツウの家に厄介になり、北京城にクビライ汗の謁見賜った。大汗はマルコの機知に感じて、宰相アーメッドにマルコ・ポーロを国賓として遇せよと命じた。大汗の娘クカチン姫はペルシャ王と婚約の間で、遠からずペルシャへ輿入することになっていたが、マルコと相識って、互いに思慕するようになった。宰相アーメッドはサラセン人で、性侫奸な曲者だった。属領異邦からの税金や貢物を私し、密かに私兵を養って、掠奪せんとの野心を蔵していた。アーメッドはまたクカチン姫に懸想していたので、マルコの出現は大きな脅威であった。そこで彼は大汗にざん訴そてマルコをダッタン酋長カイヅウの陣営へスパイとして送らせた。カイヅウは大汗とは親戚にあたるので叛く意思は元来なかったが、アーメッドの悪政に不平を抑え切れず反乱のきざしを見せていたので、マルコが直ちに殺されるに相違ないとアーメッドは考えたのであった。北京ではフビライ汗はアーメッドの献策を信じて彼に留守を一任し、軍政百万、軍船一万と号する大軍を動かして日本遠征の途に就いた。アーメッドはシナ海の台風と勇敢な日本軍が、元の大軍を撃滅すると信じ、ペルシャの使節を殺し、姫と結婚しようと準備した。一方マルコ・ポーロはスパイと看破されたが、カイヅウの妻ナザマが彼に好意を寄せたので助命された。ナザマは嫉妬深く、カイヅウは日夜悩まされていたので、ナザマがマルコに興味を感じて自分に構わなくなることをカイヅウはかえって望ましく思ったのであるマルコはいやいやナザマの機嫌を取っていたが、クカチン姫からのSOSの密書が鷲便で来たので、アーメッドが派遣した刺客トクタイにカイヅウを救って恩を売り、北京へ帰る許しを得た。マルコは労働者に変装して姫に近づき相携えて城外に逃れようとしたが折柄約によってカイヅウの軍勢いが攻寄せて来た。アーメッドはカイヅウと幕僚たちが外城の門を閉じて軍勢を城外に締出し、次で内城の門を堅くして、カイヅウを屠ろうとした。マルコはチェン・ツウに頼んで置いた花火用の火薬で門を破り、カイヅウ軍の突撃路を開いた。そして彼自らは結婚式場に躍り込んで、アーメッドと一騎打ちして誅した。日本遠征に失敗して帰ったフビライはカイヅウと和睦した。マルコは功によってヴェニスと中国との通商交易の許可を得た。
スタッフ・キャスト
- 監督
- アーチー・L・メイヨ
- 脚本
- ロバート・E・シャーウッド
- 原作
- N・A・ポグスン
- 製作
- サミュエル・ゴールドウィン
- 撮影
- ルドルフ・マテ
- アーチー・スタウト
- 美術
- リチャード・デイ
- 音楽
- ヒューゴ・フリードホーファー