星の王子さま

劇場公開日:

解説

世界的に有名なアントワーヌ・ド・サン・テグジュぺリ原作のミュージカル映画化。製作・監督は「ふたりは恋人」のスタンリー・ドーネン、共同製作はA・ジョゼフ・タンデ、脚本・作詞はアラン・ジェイ・ラーナー、作曲はフレデリック・ロー、撮影はクリストファー・チャリス、振付はボブ・フォッシー(ヘビ)、ロン・フォレッラ(バラ)、美術はノーマン・レイノルズが各々担当。出演はリチャード・カイリー、スティーヴン・ワーナー、ボブ・フォッシー、ジーン・ワイルダー、ドナ・マッケニー、ホス・エイクランド、クライヴ・レヴィル、ビクター・スピネッチ、グレアム・クローデンなど。

1974年製作/アメリカ
原題または英題:The Little Prince
配給:パラマウント映画=CIC
劇場公開日:1975年7月19日

あらすじ

パイロット(リチャード・カイリー)は、小さい頃ウワバミが象をのんだ絵を描いたが、大人たちに、それは帽子だと笑われた。そんな大人たちに失望したパイロットは大人になると飛行機乗りになって、空と星を友達にして暮らして来た。ある時、飛行機の故障で砂漠の真中に不時着した。翌朝、飛行機を調べているところを声をかけられた。「ねえ、羊の絵を描いてくれない」。星の王子さま(スティーヴン・ワーナー)だった。パイロットは、羊の絵を何枚か描き、加えて例のウワバミの絵を描いたが、「ゾーをのみこんだウワバミの絵なんかいらないよ」というのだった。パイロットは、王子さまが語る断片的な話から、王子さまのことがわかってきた。王子さまはもと、小さい星Bー612に住んでいたのだ。その星には小さい2つの活火山と1つの死火山があり、美しいバラ(ドナ・マッケニー)が咲いていた。自尊心の強いそのバラは、わがままをいって王子さまを困らせた。王子さまが小さな自分の星を捨てて宇宙に旅立ったのは、そのバラのわがままのせいだった。旅に出た王子さまは、さまざまな星を訪れ、いろいろな人に出会った。王様、実業家、軍人など…。そして地球にやってきた王子さまはヘビ(ボブ・フォッシー)とキツネ(ジーン・ワイルダー)と友達になった。ヘビは、王子さまが自分の星に帰りたくなったときには必ず役にたってあげると約束した。キツネは親しくなった王子さまとの別れをおしんで、秘密の手紙をくれた。手紙には、眼に見えないものの中に大切なものがある、と書いてあった。王子さまは自分の星に残してきたバラのことを思った。飛行機が直った翌朝、王子さまはヘビの世話になって自分の星に帰っていった。パイロットの悲しみをよそに--。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

受賞歴

第32回 ゴールデングローブ賞(1975年)

受賞

最優秀作曲賞 アラン・ジェイ・ラーナー

ノミネート

最優秀作品賞(コメディ/ミュージカル)  
詳細情報を表示

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

映画レビュー

5.0羊の絵を書いて

2025年1月19日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

内藤濯の翻訳で持っていたこの本。
岩波書店の愛蔵版。
読んでいた方は多いだろう。
僕もそのひとりだ。

不思議な印象と、長い余韻を残すこの原作は、きっと誰しもの心に、王子と飛行士の対話の物語 (ソクラテスディアロゴス)として、
そして王子の旅の記録 (ルポルタージュ)として
子供の頃から今に至るまで、ずっと心象の海に、空に、そして砂漠の砂原に、航跡を引いていたはずだ。

映画化されて、それがアメリカ産のミュージカルになったのだと聞いてはいたが、僕は、原本の貴さのゆえに その類には近づかないようにしていた。

しかし禁を破ったのには理由がある。
ずっと引きこもりをしていた同僚の娘さんの事。手紙や小さなプレゼントのやり取りはしていたのだけれど、
一度も自分の名前は明かしてくれなかった彼女との往復書簡も、
僕の定年退職と帰郷で終止符を打つことになったから。
サヨナラの手紙に「星の王子さま」を添えたのだ。

外に出られない彼女に、この風変わりな物語のプレゼントは果たして大丈夫だろうか・・。それをこの映画でも確かめておく必要もあったのだ。
迷ったあげく、内藤濯ではなくドリアン助川の新しい訳本を選んで
決心して送った。
あと数十年を、この本があの娘を守ってくれるようにと祈っている。

・ ・

宮崎駿は
天空の城ラピュタの主題歌「君をのせて」において、王子の星の「あの花」を思わせる一節があるし、
フランスの飛行機乗りの物語「紅の豚」も、パイロットだったサンテグジュペリへのオマージュだろう。
ゲランには夜間飛行という香水もある。

壊したくない、はかなくもろい自分のナイーヴ感覚を
今もなお、風覆いをかけて、この地球のあちらこちらでそうやってそぉっと守っている大人たちがいる。
ミュージカル化に挑んだ本作の映画人たちの、柔らかい魂のことも想った。

・ ・

僕も星を出て、星のあいだを惑いながら泳ぐ旅人だ。
帰る当てもなく、砂漠に独り居る自分を感じたなら、
あなたも愛蔵版を、そしてこの映画を、手を伸ばしてもう一度味わうのも良いと思う。

毒は薄められているけれど、原作を知っているなら問題ない。
今さらだがやっとわかった。
大人のための、大人の童話だった。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
きりん

4.5サハラ砂漠

2022年5月21日
Androidアプリから投稿
ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (0件)
共感した! 1件)
jarinkochie

4.0子供向けの映画だから、言葉の1つ1つが優しい

2021年2月21日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (0件)
共感した! 1件)
KEO