ジョン・ミリアス監督だけに上手くまとめてあり映画として面白く楽しめる作品に仕上がっています
原作は「デビル500応答せず」で講談社文庫から邦訳もでており軍事小説マニアに大好評のお話
作者のスティーブンクーンツはマジで元A-6乗りですからリアリティーが断トツです
これをあの俺達のジョン・ミリアス監督が映画化してるのですから観る前から期待が膨らみます
しかも米海軍全面協力で、イントルーダーはもちろん、A-7コルセアなどベトナム戦争で奮戦した往年の名機達が実機でこれでもかと登場するのですからたまりません!
しかも北ベトナム側の兵器もなかなかに忠実な再現ぶりもポイント高いです
文字通り樹高の高度、ビルの屋上より低く大通りを超低空で飛び、猛烈なAAAとSAMの嵐をくぐり抜けピンポイント爆撃をかけるシーンは、スターウォーズを思わせ燃えます
撮影もタワーリングインフェルノも撮ったフレッド・コーネカンプで実機の飛行シーンの迫力があります
ドラマ部分もこんなB級映画にもったいないくらいの画で撮れてます
お話は言ってみれば米海軍版唐獅子牡丹てなもんでしょうか
主人公達が勝手にハノイに殴り込み爆撃するシーンとかあるのに、よくまあ米海軍が全面協力したものです
本作公開の4年前のトップガンで米海軍の戦闘機部隊が脚光を浴びたので、攻撃機部隊にも光を当ててやろうという考えだったのかも知れません
本作公開当時はまだステルス機は秘密兵器で存在すら公表されていませんでした
本作が公開された翌年1991年の湾岸戦争でステルス機による精密爆撃が行われ世界の度肝を抜きます
ですから、ふた昔も前の本作の舞台1972年当時は、劇中に有るように待ち構える敵の対空砲火、対空ミサイルを超低空飛行で掻い潜って目標に迫るしか無かったのです
湾岸戦争でのステルス機と精密爆撃の登場により、本作で描かれるような戦闘シーンは公開していきなり、もはや過去の戦い方になってしまったのです
しかし、それから30年近くなるのにもかかわらず、実は現代も米海軍はいまだにステルス機を持っていません
海軍型のステルス機F-35Cはまだ開発中です
垂直離着陸もできるステルス機F-35B海兵隊専用なのです
ですから米海軍は今も基本的には本作と同様にガチンコで押し入る古くさいやり方しかできないのです
というか、そんな損害の多い攻撃方法はもはや実行することは出来ず、湾岸戦争以来米海軍は空軍のステルス機がお掃除してくれた空域にしか進出できなくなっており、その活躍の場を失ってしまっているのです
トップガン2が近々公開されるそうですが、どうもステルス機ではない現行戦闘機での撮影のようです
21世紀の軍事マニアの目で本作をみると米海軍の現状の苦悩の深さを感じることができるのです
ともあれ軍事マニアならマストの作品でしょう