評決のとき

劇場公開日:1996年12月28日

解説

人種差別問題が絡んだ事件の裁判を通して、正義と真実の問題に取り組む人々の姿を描いたサスペンス・タッチのヒューマン・ドラマの感動作。「ペリカン文書」「依頼人」などのベストセラー作家、ジョン・グリシャムが新米弁護士時代の体験に基づく処女小説(邦訳・新潮文庫)を、自ら製作も兼ねて映画化。これまでのグリシャム映画と同様、法廷サスペンスのスタイルを取りながらも、重いテーマをエンターテインメントと両立させる手腕が見事。監督には原作者自身に指名によって「依頼人」のジョエル・シュマッカーが再登板し、脚本も同作のアキヴァ・ゴールズマン。製作は「ヒート」のアーノン・ミルチャン、「依頼人」のマイケル・ネイサンソン、グリシャムの共同。撮影は「ダイ・ハード3」のピーター・メンジーズ・ジュニア、音楽は「バットマン・フォーエヴァー」のエリオット・ゴールデンサル、美術は「フォーリング・ダウン」のラリー・フルトン、編集は「ザ・ファーム 法律事務所」のウィリアム・スタインカンプ、衣裳は「依頼人」のイングリット・フェリン。主演には「ボーイズ・オン・ザ・サイド」の新星マシュー・マコノヒーが大抜擢され、「ダイ・ハード3」のサミュエル・L・ジャクソン、「恋する泥棒」のサンドラ・ブロック、「ユージュアル・サスペクツ」「セブン」のケヴィン・スペイシー、「アウトブレイク」のドナルド・サザーランド、「三銃士(1993)」のキーファー・サザーランドとオリヴァー・プラット、「ヒート」のアシュレイ・ジャッドら多彩な顔ぶれも見もの。

1996年製作/アメリカ
原題または英題:A Time to Kill
配給:日本ヘラルド映画配給(日本ヘラルド映画=ポニーキャニオン提供/特別協力*読売新聞社)
劇場公開日:1996年12月28日

あらすじ

ミシシッピー州の街カントン。黒人労働者カール・リー(サミュエル・L・ジャクソン)の10歳になる娘トーニャが2人の凶暴な白人青年にレイプされた。トーニャは一命は取り留めたものの子供の産めない体になってしまい、復讐を誓ったカール・リーはマシンガンを持って裁判所に出向いて二人を射殺。この時、傍らにいた保安官助手ルーニーも重傷を負った。人種差別が根強く残るこの街では黒人の白人殺しは特に不利だったが、若手弁護士のジェイク(マシュー・マコノヒー)は、苦労を覚悟でカール・リーの弁護を引き受ける。やり手の検事バックリー(ケヴィン・スペイシー)は対決の相手が新米のジェイクと知って、自信満々の笑みを浮かべる。ジェイクは法律学校時代の恩師ルシアン(ドナルド・サザーランド)を訪ねる。彼は法曹界を追われてからは酒浸りの日々だったが、今でもジェイクの最高の師だった。裁判が始まった。ジェイクは血気盛んだったが、バックリーは手ごわかった。そんなジェイクにボストンで法律を学んでいる美人女学生のエレン(サンドラ・ブロック)が有益なデータをそっと渡し、彼女は裁判が終わると助手に雇ってほしいと頼む。一方、カール・リーに弟を殺されたフレディ(キーファー・サザーランド)は、白人至上主義者の団体KKKの一員となって恨みを晴らそうとしていた。KKKはまず、ジェイクの家の前に燃える十字架を置き、次に爆弾を仕掛ける。妻のカーラ(アシュレイ・ジャッド)はこの事件に動揺し、ジェイクに家族の安全を考えてほしいと訴えた。彼は妻と娘をしばらく実家に帰らせたが、夫婦の間には微妙な行き違いが生まれていた。また、かつてルシアンのために働き、今はジェイクの秘書であるエセル(ブレンダ・フリッカー)の家も襲撃を受け、彼女の夫バドが帰らぬ人となる。やがて留守中に家に放火されて焼け落ち、彼は全てを失ってしまう。友人の弁護士ハリー(オリヴァー・プラット)は事件から降りろと忠告するが、今さら後戻りはできない。判決の日が近づくに連れ、街では白人と黒人の対立が深まる。陪審員に選ばれたのは全員白人で、カール・リーの立場はますます不利に。彼の釈放を求める黒人たちと、白い頭巾を被って黒人を虐待するKKKのメンバーたちが裁判所の外で暴動を起こし、街は大混乱になる。ジェイクは暴動で負傷し、今では彼の有能なアシスタントとなったエレンが手当てをした。この事件をきっかけに、二人は互いにひかれ始めていくが、そんな時、エレンがKKKに拉致されてリンチを受けた。法廷では激しい口調で問い詰めるバックリーに、カール・リーは思わず殺意を認める発言を口走ってしまい、場内は騒然となる。裁判の後、エレンが襲われたことを知ったジェイクは心を傷め、さらに刑務所のカール・リーを訪ねた彼は、「俺の娘とお前の娘が一緒には遊ぶか?」と言うカール・リーの言葉に、白人と黒人の間の厚い壁を改めて思い知らされた。疲れ切ったジェイクの前に、実家に帰ったはずのカーラが嵐の中、車を飛ばして会いにやって来た。心がすれ違いかけていた妻の理解を得て、ジェイクは決心を新たにする。いよいよ最終弁論。ジェイクは全ての小細工を捨て去り、陪審員たちの心に切々と訴えかけた……。そして無罪の判決が下った。カール・リーの家でのお祝いのパーティに、ジェイクは家族揃って訪ねた。ジェイクの娘とカール・リーの子供たちが仲良く遊んでいる。

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映画レビュー

4.5 大切な事を考える機会を貰いました。

2025年12月17日
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鑑賞方法:VOD

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風

3.5 社会派な面もあるが、米国的な強引なハッピーエンド感がある作品

2025年12月12日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

悲しい

怖い

冒頭含め衝撃的な内容があるが、映像でそのものを映すことなく想像させるのはとても好感が持てる。最近の作品はこんなにもリアルに見せているのだとばかりに衝撃的な映像を使うことに酔っているものが多いが、観る者に対して不必要なまでに心にダメージを与えるだけでなく、ダメージを受けたことにより、内容をしっかりと受け取る機会をも奪うものでもあり、視聴者に対する加害性が強い。しかし、この作品は想像させることで目から入る心理的加害性を避けつつ、いかに残忍な事があったかを理解させている。逆にこれを具体的にどういうことが起きたか想像出来ない人はまだ観る年齢には早かったということになる。そういう意味ではこのようなテーマのわりに幅広い年齢が安心して観ることが出来ると言ってもいいだろう(わからなくても何か悪いことが起きたことはわかる為)。
時代としてはアメリカで人種隔離政策があった頃の設定なので、その当時の肌感覚やKKK等聞き慣れていないと少し戸惑う部分はある。
主人公が裁判で被害にあった少女の話をし、聴衆が黒人の少女の話だと想像して聞いていた最後に白人だった。と言うことで白人の聴衆に自分事のように感じさせる場面は賛否両論あるようだが、白人黒人間に関わらず、人は無意識に客観性を失っている事もあるので、こういう表現は悪くないと思っている。
ただ、最後の判決のくだりはモヤモヤする。
足を失っても黒人の父親に理解を示す保安官には心を打たれるが、凶悪犯の2人に対してはまだしも保安官に対しても無罪というのはどうかと思う。執行猶予的なものはないのだろうか?この裁判の結果次第で黒人差別が助長されるかが掛かっているのは現実としてはわかるが、だからといって罪を無かったことにするのはいかがなものか。
被害女児が事件にあってからあれほどの短時間で被害のショックを乗り越えるとは思えず、裁判所に出てきたり、喜んでいる姿は父親の裁判とはいえ、人種差別をテーマとして正義を振りかざしているだけで、女児の心の傷を軽く捉えているようにしか思えない。女児が苦しんでいる描写を必ずしも入れなくて良いが、ショックは人前に出てくる時の描写程度で本人はそこまでではないような感じがした。家で待っていて判決結果を聞く方が良かったのではないかと思った。
リベラルの自分の都合の良いテーマだけを正義とし(今作の内容でいえば黒人差別だけを重視)、結果としてそれ以外(今作では少女の受けた傷に対する扱いの雑さや黒人の被告がやった事を全肯定)は置き去り、無視等リベラルの掲げる多様性や公正さとは真逆で一見正義のようで矛盾ばかりが目立つリベラルらしい作品ともいえる。

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モンブラン

5.0 KKKって知ってる!!

2025年11月27日
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鑑賞方法:その他

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知的

ミシシッピーバーニングから派生するこの映画。想像範囲内ではあるがよく描かれてる。
30数年前に観た「ミシシッピーバーニング」と今観るミシシッピーバーニングが違って見える。
つまりは年齢と知識が積み重なった今の見方が変わるのだ。そして、現代の排外主義ムード。💩💩💩だらけのレイシストだらけ。国政政党を挙げてレイシズムを煽る時代。何も歴史から学んでない。今一度、解り易いこの映画観て考えを改めて欲しいものです。

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ウィリー

1.0 タイトルなし(ネタバレ)

2025年11月12日
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チネチッタ