激しい季節(1959)
劇場公開日:1960年4月1日
解説
一九四三年のイタリアの動乱の時代を背景に、避暑地での激しい恋が描かれる。原案・脚色はスーゾ・チェッキ・ダミーコ、ジョルジョ・プロスペリと、監督ヴァレリオ・ズルリーニが担当。ズルリーニは文化映画の監督出身で、これが第二作目。撮影はティノ・サントーニ、音楽はマリオ・ナシンベーネ。出演は「みんなが恋してる」のジャクリーヌ・ササールのほか、エレオノーラ・ロッシ・ドラゴ、ジャン・ルイ・トランティニャン、ラフ・マッティオーリ、フェデリカ・ランキら。
1959年製作/イタリア
原題または英題:Estate Violenta
配給:イタリフィルム
劇場公開日:1960年4月1日
ストーリー
第二次大戦も末期に近い夏、高級避暑地リッチョーネでは、ロッサーナ(ジャクリーヌ・ササール)たちの上流社会の若いグループが、祖国の苦境をよそに青春を享楽していた。カルロ(ジャン・ルイ・トランティニャン)という青年がこのグループに加わった。彼はファシスト党の高官の息子で、戦火を避けてやってきたのだ。ロッサーナは、しだいにカルロにひかれていった。突然、この避暑地にも敵機がきた。おびえた小さな女の子が駈けだした。カルロはころんだ女の子を抱いて救った。カルロは子供の母親ロベルタ(エレオノーラ・ロッシ・ドラゴ)を知り、激しく彼女にひきつけられた。ロベルタは海軍将校の妻だったが、夫はかずかずの武勲をたてた後に地中海に消えた武人であった。ロベルタもカルロたちのグループに近づいていった。一同がロベルタをともなってカルロの別荘にやってきた。ロベルタとカルロは無意識の内に抱擁した。それを見たロッサーナは泣きながら走り去っていった。ラジオはムッソリーニにかわってバドリオ政権の確立を告げた。カルロの父は政変を避けてここの別荘まで逃げのびてきたが、やがてカルロを残したまま姿をけした。その夜、ロベルタとカルロは、はじめて一緒に激情の夜をすごした。彼女は、生れて初めての愛の歓びと幸福を知った。しかし格式を重んずる母親は、激しくロベルタを責めた。だが、彼女はもはやカルロと離れられなくなっていた。カルロの兵役延期の証明書はすでに期限がきれていた。ロベルタとカルロは悩んだ末、ついに逃亡を決意した。二人は避灘民たちとともに列車で出発した。しかし、列車はリッチョーネを離れてまもない駅で猛爆を受けた。ロベルタは線路近くに横たわる少女を見てリッチョーネに残してきた我が子を思い出した。カルロははっきりと事態を察した。ロベルタに子供のもとに帰るようにいいきかせた。列車にロベルタをのせ、戦場に向うべく駅にとどまった。ロベルタは嗚咽しながら遠去っていった。
スタッフ・キャスト
- 監督
- バレリオ・ズルリーニ
- 脚色
- バレリオ・ズルリーニ
- スーゾ・チェッキ・ダミーコ
- ジョルジオ・プロスペリ
- 製作
- シルヴィオ・クレメンテッリ
- 撮影
- ティノ・サントーニ
- 美術
- Dario Cecchi
- マッシミリアーノ・カプリチオーリ
- 音楽
- マリオ・ナシンベーネ
- 編集
- マリオ・セランドレイ