墓場なき野郎ども

劇場公開日:

解説

実在のギャング、アベル・ダノスを主人公にした小説の映画化である(原作ジョゼ・ジョヴァンニ)。監督は、ジョルジュ・フランジュの「顔のない眼」で助監督をつとめたクロード・ソーテ。脚色はソーテ、ジョバンニ、パスカル・ジャルダンの三人。台詞もジョバンニ。撮影はギスラン・クロッケ。音楽は「やるか、くたばるか」のジョルジュ・ドルリュー。出演は「野獣は放たれた」のリノ・ヴァンチュラ、「二重の鍵」のジャン・ポール・ベルモンド、「両面の鏡」のサンドラ・ミーロのほか、シモーヌ・フランス、スタン・クロールら。

1960年製作/フランス
原題または英題:Classe Tous Risques
配給:新外映
劇場公開日:1960年11月8日

ストーリー

ミラノ駅で、子供連れの男が誰かを待っていた。レイモン(スタン・クロール)だ。妻ともう一人の子供を連れたアベル・ダボス(リノ・ヴァンチュラ)が現れた。アベルとレイモンはギャングの相棒だ。欠席裁判で死刑を宣告され、逃げ廻っている。アベルは妻と二人の子持ちだ。彼らを先に汽車で発たせた後、アベルらは街頭で、郵便夫を襲い現金を奪った。車で非常線を巧みに突破し、妻たちの待つバンチミリヤに着いた。翌日、サン・レモから船をやとった。沖で、水夫を海中に放りこみ、レイモンが運転を始め、マントンへ向った。夜、その近くの入江に上陸した。その時、二人の税関警備隊に発見された。闇の中での射ち合い。妻テレーズとレイモンが倒れた。そして死んだ。アベルは慟こくした。二人の子供は眼を見はったままだ。--たちまち非常線が張られた。ラジオが放送した。“兇悪ギャング、アベルは二人の子を連れています”アベルはパリの昔の仲間に電話した。仲間は関係のないエリック(ジャン・ポール・ベルモンド)という独立愚連隊を寄こした。救急車にギ装した車にアベル親子を乗せパリへ引き返す途中、エリックは男と争っていたリリアンという劇団の若い娘を救った。彼女が看護婦を装ったお蔭で、非常線も突破できた。パリで再会を約して別れた。アベル親子を仲間は誰もかくまおうとせず、エリックが引き受けた。その前に、アベルは子供を博物館の案内人をしている、妻の父親夫婦にあずけた。--エリックはリリアンをたずね、二人は恋し合うようになった。アベルは子供の教育費と高飛びの費用を手に入れようとした。昔、恩をかけた盗品故売の宝石商を襲い、目的をはたした。--私立探偵がエリックをつけ始めた。例の宝石商と昔の仲間の一人の命令だった。アベルは、さらばと、その二人を殺した。仲間のもう一人が自分の命の保証と引きかえに、警察にアベルの居所を売った。--外から帰ってきたエリックが張込みの刑事に捕まった。アベルのいる部屋へ入るオトリにされた。知らせようとし、足を撃たれた。リリアンは叫んだ。アベルは逃げおおせた。昔の仲間の青年の部屋にかくまわれた。残った一人を殺すつもりだ。が、そこで読んだ新聞で殺した仲間の妻が心臓マヒで死んだことを知った。彼を不幸なおもいが押し包んだ。死んだ自分の妻のことが、残された子供のことが--。彼はかくれ家をあとに、パリの雑踏へさまよいでた。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

3.0リノ・ヴァンチュラも目で殺す

2024年11月27日
iPhoneアプリから投稿

原案・脚色がフィルム・ノワールの神様ジョゼ・ジョバンニ、主演がノワール常連のリノ・ヴァンチュラにジャン=ポール・ベルモンドなんで、結構期待してたんだけど、前半はお話しにノレずイマイチでした。指名手配ギャングが妻子と相棒を連れてイタリアからフランスへの脱出する前半は、街頭での鮮やかな強奪シーンから派手なドンパチなど、見せ場を盛り込んできます。しかし、そもそも妻子連れである必然性がピンと来ないし、アクションシーンが多い割には場面のつながりが悪くて残念。中盤まではお話しの展開も鈍く眠気もしばしばだけど、若いチンピラに匿われながら不義理で不人情な昔の仲間に落とし前をつけさせる後半からグッと持ち直します。昔の仲間から厄介者扱いされながらも若いチンピラとの友情に救われるなど、犯罪者の置かれた立場や心境をうまく描いているのは、元業界人のジョゼ・ジョバンニらしいところです。役者では、リノ・ヴァンチュラが押し出しの効いた堂々とたるギャング振りです。問答無用でピストルをぶっ放す時のクールな目つきは凄みがあります。一方で、若いチンピラ役のベルモンドは、若いながらもパッと明るくなるような魅力があります。彼の登場でドラマが後半からグッと良くなったと思います。

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