のんき大将
劇場公開日:1991年3月30日
解説
酒浸りの百万長者を立ち直らせるために一族が架空の破産を宣告して……という設定で始まるコメディ。ルイス・ブニュエルがアドルフォ・トラードの戯曲を基に、その多彩な才能の一端を見せるメキシコ時代の監督第二作。脚本はルイス・アルコリサ、ラケル・ローハスの共同、撮影はエセキエル・カラスコ、音楽をマヌエル・エスペロンがそれぞれ担当。出演はフェルナンド・ソレール、ロサリオ・グラナドスほか。
1949年製作/メキシコ
原題または英題:El Gran Calavera
配給:ヘラルド・エース=日本ヘラルド映画
劇場公開日:1991年3月30日
ストーリー
妻に先立たれて以来酒浸りの日々を送るラミロ(フェルナンド・ソレール)を何とか立ち直らせようと親戚たちは二日酔いの彼をボロアパートにかつぎ込み、自分たちも貧相なふりをして、目覚めたラミロに、彼が2年間も正気を失なっている間に一家は破産、家も取り上げられたのだと嘘の宣告をしてショック療法を試みた。ところが薬が利きすぎたラミロはひどい落ち込みよう、あげくの果てに自殺しようとする。それを止めたのが同じアパートに住む青年、パブロ(ルーベン・ローホ)。彼の口からラミロは自分が眠っていたのが一晩に過ぎないことを知り、家族の芝居に気づく。そこでラミロはそれを逆手にとって自分勝手な家族の性格を矯正すべく、嘘から出たまこと、破産が現実になったと嘘をつく。最初は落胆していた家族もしだいに見違えるように勤勉になり、ラミロの娘のビルヒニア(ロサリオ・グラナドス)とパブロの間に恋も芽ばえて、ラミロは葬儀屋で働くと称しては昼間は自分の会社の経営に余念のない毎日、財産ももとの二倍に増えた。そんな中、ビルヒニアのかつての婚約者アルフレドが訪ねてくる。境遇の変化にも変わらぬ愛を告白するフルフレドにビルヒニアの心は揺れ動く……。そんな中ついにラミロの芝居がばれ、家族は無事もとの生活に戻るが、一人収まらないのはビルヒニアを愛していたパブロ、金持ちにもてあそばれただけだったとすっかりカンカン。しかしそれをよそにビルヒリアとアルフレドの結婚式の準備は進められてゆく。が、式の当日の土壇場になってラミロはアルフレドの行動が、ラミロの芝居を見抜いた上でのものであり、彼の本心が財産目当てであることを知って神父に結婚の異議を申し立て、ビルヒニアは花嫁衣裳のまま、やはり彼女のことが忘れられず戻ってきたパブロの腕の中に飛び込んでゆく。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ルイス・ブニュエル
- 脚本
- ルイス・アルコリサ
- ラケル・ローハス
- 原作戯曲
- アドルフォ・トラード
- 製作
- オスカル・ダンシヘルス
- フェルナンド・ソレル
- 撮影
- エセキエル・カラスコ
- 音楽
- マヌエル・エスペロン
- 編集
- カルロス・サヴァヘ
- 字幕
- 柳井哲雄
- 字幕監修
- 野谷文昭