デッド・エンド

解説

「孔雀夫人(1936)」「この三人」のウィリアム・ワイラーが「黒蘭の女」に先んじて監督したサミュエル・ゴールドウィン作品。原作はシドニー・キングスレーの同名の戯曲で脚色には「この三人」「ダアク・エンゼル(1935)」のリリアン・ヘルマンが当った。主演は「暗黒街の弾痕」「激怒(1936)」のシルヴィア・シドニーと「この三人」「海と青年」のジョエル・マクリーで、「化石の森」「札つき女」のハンフリー・ボガート、「ホノルル航空隊」のウエンディー・バリー、「人妻日記」のクレーア・トレヴォア、「札つき女」のアレン・ジェンキンス、及びニューヨークベラスコ座上演中同役を演じたビリー・ハロップ、ハンツ・ホール、ボビー・ジョーダン、レオ・ゴーシー、ガブリエル・デル、バアナード・バンスリーの6少年、同じくマージョリー、メイン等が助演している。キャメラは「木に登る女」「この三人」のグレッグ・トーランドが担当した。

1937年製作/アメリカ
原題または英題:Dead End

ストーリー

ニューヨークの道路はイースト・リヴァーに面した岸壁で、行き詰りになっている。その一帯はむさ苦しい貧民街で、河の水は黒く濁り塵芥が一杯浮いていた。が金満家たちは河の眺めの美しいのに目をつけて、ここへ豪華なアパートを建てた。従って富と貧との極端な対象がそこに見られるのだった。この貧民屈の少年たちは、社会の敵ギャングスターになることをあこがれている。すでに8人の男を殺したお尋者のベビー・フェース・マーティンも、この町に育ったのである。少年たちの大将株であるトミイは、姉ドリナの女手一つで育てられて来た。彼女はどうにかしてこの弟をこの悪い環境から救い出そうと、小さな胸を痛めながら努力を続けている。苦労して大学は出たが仕事の見つからぬ建築かデーヴも、ここに育ちここに住んで前途の光明を求めて苦しんでいた。デーヴの心が近頃ドリナを離れ、アパートにいる金持ちの囲者ケイに近づくのを彼女は淋しく見ている外はなかった。ここへ立派な身なりの男2人が現われた。整形手術で顔の形は変わっているが、その1人はまぎれもないベビー・フェース・マーティンであることを、幼なじみのデーヴは見てとった。お尋ね者のマーティンは、密告したら命はないと彼を脅したが、デーヴは何事もなく立ち去れば口外はしないと明言した。少年たちはアパートの少年フィリップを誘い出し、彼を殴りつけて時計を奪った。父親のグリスワルド氏がトミーを捕まえた時、少年はマーティンに教わったようにナイフで彼の手を傷つけて逃走した。感化院に入れてはかえってトミイを悪くするばかりだと、ドリナは血を吐くような哀願をしたが、グリスワルドは聞入れず警官に少年の逮捕を命じた。マーティンは、ここへ母親と初恋のフランシーに逢いに来たのだった。しかし母は彼を追いだし、フランシーは見る影もない町の女になり果てていた。打ちのめされたマーティンの心を捉えたのは又しても悪事である。彼は子分のハンクと共にフィリップを誘拐しようと企んだ。それを知ったデーヴは2人に退去せねば密告すると注意したため、ナイフを投げられて河に突き落とされた。日がとっぷりと落ちた町に銃声が聞こえた。傷ついた身ではい上がったデーヴが、ハンクの銃を奪い、マーティンを追い詰めて射殺したのだ。デーヴは町の英雄として新聞に騒がれ、懸賞金を渡されることになった。そして彼を愛しているが貧乏な生活に耐えられぬ問いうケイに別れを告げていたトミーをドリナと共にとき伏せて自首せしめた。賞金で弁護士を雇ってトミーを感化院から出し、ドリナを連れてデーヴはここを去る決心である。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第10回 アカデミー賞(1938年)

ノミネート

作品賞  
助演女優賞 クレア・トレバー
撮影賞 グレッグ・トーランド
美術賞  
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映画レビュー

4.0さすがウィリアム・ワイラー

2019年12月30日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

ジョエル・マクリー好演。

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もーさん