他人のそら似
劇場公開日:1995年4月22日
解説
「仕立て屋の恋」「可愛いだけじゃダメかしら」などで知られるフランスの人気俳優ミシェル・ブランの監督・脚本・主演の三役をこなしたコメディ。俳優ミシェル・ブランが自分そっくりの偽者が起こした事件に巻き込まれるという設定で、映画界全般の知られざる深み、名声の裏側にある落とし穴、業界周辺の様々な事柄をエスプリ溢れる描写で綴りながら、ハリウッド映画に席巻されつつあるフランス映画界にエールを送っている。原案は「バルスーズ」「タキシード」の監督、ベルトラン・ブリエ。製作はパトリス・ルドゥ、撮影は「タンゴ」のエドゥアルド・セラ、音楽はルネ・マルク・ビニ、美術はカルロス・コンティが担当。共演は「欲望のあいまいな対象」「美しすぎて」のキャロル・ブーケ、「ニュー・シネマ・パラダイス」「魚のスープ」のフィリップ・ノワレ。シャルロット・ゲンズブール、マチルダ・メイ、ロマン・ポランスキーなど、19人もの映画人が実名で登場しているのも話題に。94年度カンヌ国際映画祭で脚本賞と技術賞(高等技術院会賞)を受賞。
1994年製作/フランス
原題または英題:Grosse Fatigue
配給:KUZUIエンタープライズ
劇場公開日:1995年4月22日
ストーリー
人気俳優で監督のミシェル・ブラン(本人)の周りで、最近奇妙な出来事が続いていた。行きつけのバーで門前払いを食わされたり、見知らぬ男から親しげに話かけられたり、シャルロット・ゲンズブール(本人)やマチルダ・メイ(本人)とのデートの時でも、話がかみ合わない。ある晩、いきなり警察に連行された彼は、20年来の女友達を無理やりファックしたかどで訴えられたことを知り、その女性から殴りかかられる。その晩一緒にいた女優のキャロル・ブーケ(本人)がアリバイを証明して釈放された。心配するキャロルと共に精神分析医を訪ねると、田舎でゆっくり静養しろと言われ、彼女は嫌がるブランを自分の別荘に連れて行く。そこで“ミシェル・ブラン来店”との新聞広告を見た彼は、自分と瓜二つの偽者がいることを知る。そいつを捕まえて懲らしめるべく、彼らは問題のスーパー・マーケットへ向かった。偽者の無様なパフォーマンスに憮然とするブランは裏口で待ち伏せするが、すんでのところで逃げられてしまう。偽者が落とした手帳から彼の故郷を訪れた2人は、そこで偽者がパトリック(ミシェル・ブラン二役)という名であること、故郷の人々や家族をも騙していることを知る。彼はパトリックの母親に息子と間違われ、ミシェル・ブランとして成功したパトリック・オリヴィエを演じるはめになる。さらにキャロルが隣人から寝たきりの息子にひと目会ってやってくれと懇願され、不憫に思った彼女が会うと男は立ち上がり、そのうえ勃起までしてしまった。母親の家を後にしてから、キャロルはささいなことで喧嘩してブランを車から降ろす。しかし、思い直した彼女は引き返してブランを乗せたが、偽者を乗せたことに気づく。彼女はピストルで脅し、今後絶対にミシェル・ブランを名乗らせないよう約束させる。だがパトリックはブランの前に現れ「テレビなど嫌な仕事は俺が引き受ける」と、二人一役を演じる話を持ちかける。ブランは承知してバカンスを満喫したが、彼が帰ってくるとパトリックはすっかり彼になりすましていた。偽者として追い出されたブランは「ミシェル・ブラン」の評判を落とすべく、宝石店で人質をとって立てこもった。よもや彼が本物とは知らぬキャロルが説得に現れ、逮捕された彼は刑務所に送られる。出所した彼は、そっくりさんタレントとして芸能事務所を訪ねる。そこで彼は、フィリップ・ノワレそっくりの男(本人)から、実は私も君と同じ境遇だと打ち明けられる。ノワレはフランス映画の現状を嘆いた。ブランは彼とコンビで地方巡業に回ることにした。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ミシェル・ブラン
- 脚本
- ミシェル・ブラン
- 原案
- ベルトラン・ブリエ
- 製作
- パトリス・ルドゥー
- 撮影
- エドゥアルド・セラ
- 美術
- カルロス・コンティ
- 音楽
- ルネ・マルク・ビニ
- 編集
- マリリーヌ・モンティウ
- 衣装デザイン
- エリザベド・ダヴェルニエ
- 字幕
- 松浦美奈
受賞歴
第47回 カンヌ国際映画祭(1994年)
出品
コンペティション部門 | |
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出品作品 | ミシェル・ブラン |