戦争の犬たち(1980・アメリカ)

劇場公開日:

解説

西アフリカの黒人独裁国を舞台にイギリスの大資本から依頼された4人の戦争プロたちが現政権転覆のために襲撃をかけるという戦争アクション。製作総指揮はノーマン・ジュイソンとパトリック・パーマー、製作はラリー・ド・ワーイ、監督はTV界出身でこれが劇場映画第1作に当るジョン・アービン。フレデリック・フォーサイスの原作(角川書店刊行)を基にゲイリー・デヴォアとジョージ・マルコが脚色。撮影はジャック・カーディフ、音楽はジョフリー・バーゴン、編集はアンソニー・ギブス、製作デザインはピーター・マリンズが各々担当。出演はクリストファー・ウォーケン、トム・ベレンジャー、コリン・ブレイクリー、ヒュー・ミレース、ポール・フリーマン、ジャン・フランソワ・ステヴナン、ジョージ・W・ハリスなど。

1980年製作/103分/アメリカ
原題または英題:The Dogs of War
配給:ユナイト映画
劇場公開日:1981年3月28日

ストーリー

シャノン(クリストファー・ウォーケン)は、自らの戦争技能を売り渡し戦場に赴く傭兵の1人だ。彼は、中米のある国で任務を果たし、今アメリカに帰還した。仲間にはドルー(トム・ベレンジャー)、デレク(ポール・フリーマン)、ミシェル(ジャン・フランソワ・ステヴナン)などがいる。彼らは、再び、従来の平静な生活にもどってゆく。そんなある日、シャノンのアバートに、英国人のエンディーン(ヒュー・ミレース)という男がやってきてある調査を依頼した。報酬15 000ドルというその仕・とは、西アフリカのある黒人独裁国の大統領の周辺をさぐり、クーデターが可能かどうか調べるというものだった。そのエンディーンという男は、イギリスの世界的な鉱山会社マンソンの代理人だったのだ。シャノンはザンガロヘ飛び、投宿先のホテルで英人ジャーナリスト、ノース(コリン・ブレイクリー)から独立時の秘話を聞いた。彼は、大統領の恐怖政治を暴こうと当地に網をはっていたのだ。やがて、シャノンの前に、大統領の愛人でホテル経営者の娘の黒人美人ガブリエルが現われるが、彼女は、シャノンの行動に疑問を抱く。首都クラレンスのあらゆる施設をカメラに収めていたシャノンは、遂に警察に捕えられ拷問をうける。出獄して帰国したシャノンは、再び・エンディーンの訪問を受け、10万ドルの報酬でザンガロに軍事クーデターを起こすよう依頼される。それをきっぱり断わった彼は、翌日、ニューヨーク郊外にいる別れた妻のもとを訪れ、復縁をせまるが、殺し合いしか考えない男とは暮せない、とスゲなく断わられる。思い直してエンディーンの依頼を受けることにしたシャノンは、ロンドンで作戦準備をはじめ、ドルー、デレク、ミシェルらとチームを組み、綿密な計画の下に実行に移していった。クラレンスに入港した一行は、ただちに大統領官邸を襲い大統領の寝室に乱入し狙撃した。その場に倒れる大統領。しかし、砲弾のさ中、エンディーンが、大統領とその座を争っていたボビー大佐(ジョージ・W・ハリス)を伴って現れ、今は邪魔者となったシャノンら一行を抹殺するのだった。

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映画レビュー

3.0映画としては正直つまらない 原作が映画との相性が悪い以上に、それをどうにかしようという製作側の熱意が不足しているのだ

2020年12月2日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

フレデリック・フォーサイスの原作
彼の小説3作目で映画も同じく3作目

舞台は赤道ギニアがモデル
この国の首都は珍しいことにアフリカ大陸本土になく、大西洋上のビオコ島の街マラボ
しかもそこは本土からは250キロも沖合い
北側の隣国カメルーンからの方が50キロで近い
カメルーンの西隣のナイジェリアからなら100キロだ
日本でなぞらえば、八丈島に首都が在るような国なのだ

つまり変な国だ
なにかおかしい
逆に言えば付け入る隙がある国だ

この国は1968年にスペインから独立している
そこから本作に登場するような独裁者の大統領が無茶苦茶な統治を長年つづけた
本作はそんな同国の1980年頃を舞台にしている

物語はこの国にプラチナの鉱脈がみつかったのだが、この大統領が邪魔で採掘できない
こいつを排除して、誰か代わりを連れてき新しい大統領に据えて、都合の良いように騙して採掘権を得たい
傭兵を金で雇ってクーデターを起こしてしまおうということになる

早速人選され、同国に馴染みのある傭兵の主人公が現地に植物研究家の触れ込みで調査に入る
そこまでが序盤

可能性を検討してやれそうだとなり、仲間を集め、武器を買い、兵隊も雇う
段取りを付けて現地に乗り込む
これが中盤

終盤は実際の戦闘になるが、作戦計画では僅か15分だ

実はこの物語は、原作者のフォーサイスが自分がジャッカルの日で一山当てて儲けた金をつぎ込んで本当にやろうとした実話がベースだ

1967年、当時彼はBBCの特派員としてナイジェリア内戦(ビアフラ独立戦争)の取材をして、その悲惨さを目撃した
ナイジェリア東部の部族が迫害をうけ独立を目論んだが逆に政府軍に包囲され飢餓、疫病、虐殺により150万人が死んだという
「骨と皮にやせ細っているが、お腹だけが異様に膨らんでいる子供達」の写真は今でも有名だ

フォーサイスはイギリスが政府軍側に荷担することを批判した報道を行ったことで左遷されてしまい遂には後にBBCを辞めてしまう

その彼がベストセラーを書いて手に入れた大金で、ナイジェリア内戦に敗れ祖国を失ったビアフラ人のために傭兵部隊を自ら雇い、赤道ギニアに対しクーデターを仕掛けて彼らの国を作ってやろうとしたのだ

それが1972年のこと
しかし実際は失敗する
本作の劇中で船に武器弾薬を積み込むところに官憲が現れて怪しむシーンがある
実際ではそこでことが露見して未遂に終わったのだ

だからこの物語は彼が本当は成し遂げたかったことを映画にしたものをベースにしている

本作ではビアフラのビの字もでない
あくまで白人による金の為のクーデターの物語だが、最後の最後にフォーサイスの理想をほんの少しだけ混ぜ込んである

しかし極めてキツい言い方をすれば、それは偽善だ
よそ様に恵んでもらう国に、なんの価値があるものか
それも他国から奪った土地で
いくら映画の中で現地民の良い大統領が統治するためだと糊塗しても胸くそは悪い

ではビアフラの人々は悲惨な運命のまま、見て見ぬふりでよいのか?
それは難しい、結論はない
しかし民族自決というなら、他国の干渉を実力で排除できる強い軍事力を持たなければ、自主独立を主張することが、ビアフラのような運命を呼び寄せることになってしまうという教訓を学ぶことはできる

日本にもその覚悟が必要になる日は近いのかも知れない

映画としては正直つまらない
睡魔が襲う
準備が具体化しだす中盤からは少し面白くなるが、主人公がプロらしさがあるが人間的な魅力が乏しいものだから、クリストファー・ウォーケンをもってしても酷薄な人物だけになってしまった

原作が映画との相性が悪い以上に、それをどうにかしようという製作側の熱意が不足しているのだと思う
正直残念な作品

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あき240