古きものと新しきもの 全線

解説

「同盟罷工」「戦艦ポチョムキン」等によって世界的にその名を知られているセルゲイ・M・エイゼンシュテイン氏が「十月」の後に製作した映画で、脚本は同氏及びその助手たるG・V・アレクサンドロフ氏が共同で執筆し、エイゼンシュテイン氏総監督の下にアレクサンドロフ氏がメガフォンをとった。撮影主任はこれまた「同盟罷工」以来エイゼンシュテインに従属しているエドゥアルド・ティッセ氏で農婦マルファ・ラプキイナ夫人を主人公とした以外一人の職業的俳優をも用いず、特殊なモンタージュによる新しい構成法を以って描写されているものである。無声。

1929年製作/ソ連
原題または英題:Old and New/The General Line Staroei Novoe/Generalinaya Linya

ストーリー

ロシアの農村には無知と貧窮とが永らく巣喰っている。農婦マルファ・ラプキイナもその一人だが、餘りに難渋な生活より目醒め、多くの人々の嘲笑の間に、農業教師指導のもとに一つの協同組合をこしらえる。旱魃のため農民は神に祈るがその効果はない。マルファの組合では新らしい機械、牛乳分離器を手に入れてその成績がいいので、次第に組合員の数が殖える。マルファの夢は夢でなくなった。組合共有の種牛の結婚式の日は来て、華やかな笑いが初めてこの村に訪れる。草刈る頃となり、収穫の頃となって人々は一層、機械(トラクター)の必要を感じる。だが都会では、官僚主義がはびこって埓が明かない。マルファはトラクターを手に入れるべく代表となって町へゆく。その留守の間に彼女達の種牛は富農の手で殺される。だが、そんなことでは、もうこの組合はつぶれはしない。終にトラクターは町からやって来る。ユーモアに富んだその試運転の日の興奮。そして、それは鋼鉄の大進軍の前衛部隊に外ならないのである。

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