宣告

劇場公開日:

解説

信念に基づき、死刑反対のため孤独な闘いを繰り広げる裁判官の姿を描いた社会ドラマ。シチリア出身の作家レオナルド・シャーシャ(89年死去)の同名小説を、社会派闘士としても知られた「荒野の用心棒」「予告された殺人の記録」の名優ジャン=マリア・ヴォロンテ(94年死去)の主演、『心のいたみ』(特別上映のみ)、「小さな旅人」のジャンニ・アメリオの監督で映画化。

1990年製作/114分/イタリア
原題または英題:Porte Aperte
配給:アスミック
劇場公開日:1996年6月29日

ストーリー

1937年3月、ファシズム政権下のイタリア、パレルモ。芸術家ファシスト同盟を解雇された男、スカリア(エンニオ・ファンタスティキーニ)は、ある朝、かつての上司スパダフォーラ(トゥッチョ・ムスメチ)と同僚だったスペチャーレを、銃剣で殺害。直後、妻を強姦して射殺、都合三人を殺したこの男に、世論は死刑を要求。だが、死刑反対を信条とする担当判事のヴィト(ジャン・マリア・ヴォロンテ)は、大勢に与せず、裁判を進行させていく。だが、精神鑑定の結果は正常、法廷では口汚く悪態をつき、自分から死刑を望みさえするスカリアの心証は最悪で、見通しは暗い。独り悩むヴィトに、一介の農夫だが高い知性と倫理性を持つ陪審員、コンソロ(レナート・カルペンティエリ)が歩み寄った。二人はそれぞれの立場から、事件の真相究明、死刑の阻止へ向け、巨大な時流に立ち向かっていく。父親の投獄で孤児となったスカリアの息子レオナルドを訪ね、よりその信念を強固にするヴィト。彼は同盟の経理に不正があったこと、スカリアの妻とスパダフォーラの不貞、それへのスペチャーレの関与を法廷で突き止め、事件の真因へ迫っていく。明かされた真実は、誰もの想像を超えていた。妻とスパダフォーラの関係は、経理責任者であったスカリアが、自らの横領行為を隠蔽させんが為、彼女に強要したものだったのだ。同盟を解雇されたスカリアは、すべてを清算し闇に葬るべく、凶行に及んだのだった。結局、死刑は宣告されなかったが、ヴィトは左遷される。彼は郊外にコンソロを訪ね、公的な立場を離れ、はじめてしみじみと語りあう。いつの日か、この判決の意味が理解される時が来ると。トンマーゾ・スカリアは最高裁で死刑となり、パレルモの墓地において銃殺された。1938年3月のある朝のことであった。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

受賞歴

第63回 アカデミー賞(1991年)

ノミネート

外国語映画賞  
詳細情報を表示

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

映画レビュー

映画レビュー募集中!

この作品にレビューはまだ投稿されていません。
皆さまのレビューをお待ちしています。
みんなに感想を伝えましょう!

レビューを書く