地獄の天使(1930)

解説

ルパート・ヒューズの甥で百万長者の相続者たるハワードン・ヒューズが設立したカッド・プロダクション社で製作された映画である「尖端足化粧」「タキシー十三号」の監督者たるマーシャル・ニーランとジョーゼフ・モンキュア・マーチが共同で組み立てたストーリーから「四枚の羽根」「店曝しの天使」のハワード・エスタブルックと「ビッグ・パレード」のハリー・ベーンが脚色し、ヒューズ自身が監督に当たったもので、主なる出演者は「恋の走馬灯」「これぞ天国」のジェームズ・ホール、「青春の夢(1929)」「空中軍団」のベン・ライオン、「鉄青年」のジーン・ハーロウ、「娘乱暴記」「某重大事件」のジョン・ダーロウ、ルシアン・プリヴァル、ジェーン・ウィントン、ウィンダムン・スタンディング・エヴェリン・ホールなどでカメラは「彼女は戦にゆく」「クラック将軍」のガエタノ・ゴーディオ、「空の王者」のエルマー・ダイヤー、ハリー・ヴェリー、バートン・スティーン、ハリー・ゼッヒ、デウイー・リグレーの6人の担任。ちなみにこれはその投資額と撮影日数の長さに於いて米国記録を破れる作品として知られている。

1930年製作/アメリカ
原題または英題:Hell's Angels

ストーリー

英国青年のローイとモンティーの兄弟はオクスフォードでの学友カールの故郷を訪れてドイツに遊んだ。北欧の風物はいたく2人を喜ばせたが生来放縦なモンティーがクランツ将軍夫人に接近しすぎたことから将軍に決闘を申し込まれ急遽英国へ引き上げるような始末になった。モンティーにひきかえてローイはたった1人ヘレンに対する思慕を深めていたがヘレンは彼の空想しているような清純な娘でなく男から男へと心を移す多情者であった。突然、欧州一角に端を発した大戦はローイ、モンティー、カールの身辺にまで及んで来た。親友同志が敵味方に別れて戦線に立たねばならぬことになった。ローイとモンティーは英軍航空隊に、カールは独軍の航空隊に加わった。やがて戦局は進展し、拡大した。独軍の誇りであるツェッペリン飛行船のロンドン襲撃が突如として敢行された。攻撃の指揮を命ぜられたカールは英国を愛するの余り己を殺してロンドンを爆破から救った。ローイとモンティーは偵察機を駆って僚機と共にツェッペリンを追撃した。気流と重量とに速度の加わらないツェッペリンはあらゆる搭載物を放棄し、なお足らずして操縦者を残す他、乗組員全部が身を捨てて救おうとしたが、命を的に自機を衝突せしめた英飛行家の悲壮な行為によりさしもの大飛行船も爆破してしまった。一方ヘレンは食料班に加わってフランス戦線に渡り、奉仕の限りを尽くしていた。いよいよ英軍は最後の攻撃に移る準備として独軍の爆薬庫を爆破する計画をたて、再三の攻撃に失敗した経験から、捕獲した敵の爆撃機を利用して敵陣地へのりこましめんとした。ローイとモンティーはすすんでこの重大任務を志願し真夜中の3時を帰して壮途に上ることになった。その夜、ローイが別離の挨拶をなすべくヘレンを訪れた時彼はそこに他の男性の腕に抱かれる彼女の狂態を見せつけられた。今日までの思慕を裏切られたローイ。だが任務の時間はそうした個人的感情には関係なく迫った。やがて2人を載せた独軍軍用機は出発した。独軍にとって味方の戦線上に飛来した該飛行機は許より疑う筈もない。しかし爆薬庫が爆破されるに及んで彼らは直ちに数十台の機を出動せしめてこの怪機をとりかこんだが、ちょうどその時暁の偵察を行い2人を救助しようとする英機の来援によって彼我入り乱れての空中戦となった。この結果ローイとモンティーとは武運拙なく敵の陣地に落下して捕虜となった。敵機を利用したものは勿論スパイとして銃殺さるべきである。敵の将軍はその点を利用し2人の生命と交換条件に英軍の行動を自白せしめようと試みた。モンティーは銃殺を恐れ自白しようとするがローイは英軍総攻撃の時期迫りつつあるのを知りかつ全軍の生命にかかるモンティーの自白を恐れて弟を銃殺し己もまた敵軍の銃殺の刑を甘受して死に就いた。間もなく英軍最後の攻撃によって独軍陣地を占領することが出来たのであった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第3回 アカデミー賞(1930年)

ノミネート

撮影賞  
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映画レビュー

3.5赤い男爵 と フライングサーカス

2023年10月19日
Androidアプリから投稿

監督はハワード・ヒューズほか、1930年 米映画

第一次世界大戦で英国航空軍団の隊員になる兄弟を軸に物語は進む
兄弟の性格は大きく違うが
優等生的なロイが女性を(人間を)見る目がなく
bad girlであるヘレンを賛美したりしていて
人間は間違える、ということも描いているようだった

この女をジーン・ハーローが演じていて
戦闘場面が始まるまでは女性の私でも
今にもこぼれ落ちそうな彼女の胸元に目がいった
脇の開きも大きな、あんなドレスを着て来られたら
普通のパーティーでは出禁になりそうだけど…
これで一世風靡したらしい
下からのアングルの方がいい人みたいだった
(ちなみに男爵夫人のドレスも透け透け!)

ツェッペリン飛行船の内部とか
スパイバスケット(←怖い)の存在も興味深かった

見せ場は終盤の空中戦だが
ヒューズの眼窩前頭皮質損傷と数名の死亡者を招いてしまった

壮大だが 戦争の虚しさが感じられる
神の目線だと〈茶碗の中の嵐〉ということだろうか

ヒューズの並々ならぬ情熱も感じられた

女性(女優)遍歴が有名だが
「彼はモーターのついていないものを愛することは出来ないと思う」
と G. ティアニーが言ったとか
真偽はわからないが、そんな感じもした

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jarinkochie

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