生きる(1952)のレビュー・感想・評価
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死ぬことは生きること
命短し
自分の心が温かくなったような、そして世間に対して冷たくなったような…たまらない気持ちになりました。決して派手な作品ではありません。ところが、徐々に引き込まれていく。そんな作品です。
志村喬の、台詞だけでなくアクションでも魅せる演技に、心を打たれました。
表情の一つひとつが胸に突き刺さり、あのブランコで歌う場面は特に感動しました。それはつまり、前半で歌う姿とラストで歌う姿が違うということです。
当時の社会に対する批判を、前半ではコミカルに描いています。
最初は面白おかしく観ていたのに、実はそれは、"あまりにダイレクトな皮肉"だということに気づかされます。そして、クライマックスで「生きる」意味を見つけた主人公に、小さな希望の光が降り注ぐ。何と巧妙なストーリー構成でしょう。
普通の人生ほど、つまらないものはないのです。それは死んでいるも同然です。
僕たちは、ちゃんと「生きて」いるのだろうか。
丁寧かつ分かりやすく、かつ絶妙な構成、絶妙な演出、カット割り・・・言うまでもなくとにかく凄い作品です
さえない志村喬・・・ボソボソなに言ってんのか分からん・・・容姿の格好良さなんてものも微塵もないし、なんだろう、ホント古くさいし、これは見るに堪えん─と思いながら見たと記憶しております。説明くさいし、この調子で長時間を耐えねばならんのか・・・
多少耐えなければなりません。地味で、時代後れで、台詞も聞き取りづらいので・・・正直、音声の質には終始我慢が必要だと思いますが、ぼやっとしているところと明瞭なところの差でもって作品を堪能できるはずです。さえない志村喬・・・その強烈な印象が、何気にミソだったりします。見終わって、巨匠とか名優と呼ばれる所以を噛み締めるに違いありません。
絵的に素晴らしい黒澤映画は他にたくさんあるので、それらに比べるとこの作品はそれほど映像が優れているような印象は持ちません。けれども、何度見ても見入ってしまいます。見返せば色んな再発見や味わい深い演出演技や丁寧な構成なんかを実感できるに違いありません。時代を感じる社会的情景も記録として眺める価値も感じます。
とにかく超名作であることは間違いありません。
『生きる』
最初に見た黒澤さんの作品
高校の教科書に生きるが載っていて、現国の先生が嬉しそうに視聴覚室で何時間もかけて見せてくれた。
得意そうに、どうだった?と聞かれるものの、なんと応えていいやら、高校生には微妙な映画だった。
でも、私の心の中に、志村喬さんラブな気持ちが強く残ったのだ。
それまでなんとなく自分の好みは、ジャニーズ系やら美形俳優ではないことに気づいていたが、これではっきりしたのだ。
私は、冴えないおじさまや、知的なお爺様が大好きである、真剣に、ということに。
ゴンドラの唄のシーンなんか、後ろから、よくやったね、頑張ったね、と抱きしめたくなるくらいだ。
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