グリード
解説
フランク・ノリス氏作の有名な小説「マックティーグ」を映画化したもので、エリッヒ・フォン・シュトロハイム氏とジューン・メイシス女史とが映画脚色し、「愚なる妻」「アルプス嵐」「悪魔の合鍵」等と同じくフォン・シュトロハイム氏が監督した。主役は「赤熱の十字架」「アルプス嵐」等で端役を演じていたギゾソン・ガウランド氏で、「ジョアンの嘆き」等出演のザス・ピッツ嬢と「ステラ・ダラス(1925)」等出演のジーン・ハーショルト氏とが対手役を演じ「愚なる妻」「メアリー・ゴー・ラウンド」等に出演したデイル・フラー嬢を始めチェスター・コンクリン氏、シルヴィア・アッシュトン嬢、ジョーン・スタンディング嬢、オースティン・ジュエル氏等が重要なる役を演ずる。
1925年製作/130分/アメリカ
原題または英題:Greed
ストーリー
マックティーグは総身に知恵が回りかねる大男でかなり野蛮なところもあったが、それなりにまた相当な品格を保とうとするだけの考えはあったので日常生活にはまず普通の市民であった。彼の働きの鈍い頭脳が長い間田舎回りの歯科医の助手をして得た歯科医術が彼のただ一の生活の資本だった。彼は歯科医の免許状は持っていなかったがサンフランシスコで歯科医院を開いて相当に流行った。彼は親友のマーカス・シューラーの紹介でトリブ・シェップと知合いになった。マーカスはトリナを愛していたがマックティーグが彼女に恋し始めているのを知ると親友に愛を譲った。しかし彼はトリナが結婚前に富籤で5000ドルを貰った時マックティーグを憎らしいと思った。彼はマックティーグはトリナの金を目当てに結婚すると中傷したが二人は予定通り結婚した。トリナは5000ドルを虎の子にして良人の収入で生活し良人の鈍感を利用して半分はトランクに秘匿した。かくて10年後マーカスがカリフォルニア州東南部に去って後5、6日してマックティーグは免許もなしに開業まかりならぬと命ぜられた。彼はこれはマーカスの復讐と信じ呪った。トリナは貧民街に移転することを主張した。マックティーグは自由労働者となった。トリナはその零細な金をもためて貯蔵し例の5000ドルも金貨に換えて弄んだ。ある夜マックティーグは遂に妻を殺して金貨を持逃げた。彼は追われ追われてカリフォルニア州東南部の死の谷と言う砂漠に逃込んだ。追跡隊は引き返したがただ1人マーカスは尚も追って遂にマックティーグを発見した。2人は争いマーカスは手錠をはめると同時に撲殺された。死人と手をつないだマックティーグは金貨を傍らにして熱と飢とに死んでしまった。