唇によだれ

劇場公開日:

解説

ヌーベル・バーグの母胎となった映画評論誌『カイエ・デュ・シネマ』の編集長ジャック・ドニオル・ヴァルクローズの第一回作品である。シャトーを舞台に三組の男女の恋愛が展開する。脚本は監督自身がジャン・ジョゼ・リシェールと共同で書いた。撮影はロジェ・フェルー、音楽は「墓にツバをかけろ」のアラン・ゴラゲールとセルジュ・ゲンズブールの担当。出演は「二重の鍵」のベルナデット・ラフォンと「墓にツバをかけろ」のポール・ゲールのほかは新顔で、フランソワーズ・ブリオン、アレクサンドラ・スチュワルト、ミシェル・ガラブリュ、ジャック・リベロル、ジェラール・バレーら。製作ピエール・ブロンベルジェ。

1959年製作/95分/フランス
原題または英題:L'Eau a la Bouche
配給:映配
劇場公開日:1960年6月29日

ストーリー

ある地方の城館の持主である老未亡人が死に、孫娘ミレナ(フランソワーズ・ブリオン)と公証人ミゲル(ジェラール・バレー)は遺産相続人を招集することにした。ミレナとともに相続人に指定されている従兄妹のジャン・ポール(ポール・ゲール)とセラフィーヌ(アレクサンドラ・スチュワルト)兄妹が城館にやってくることになった。セラフィーヌ=愛称フィフィヌがまず到着し、ついで一人の男がやってきた。彼はフィフィヌの情夫で、ジャン・ポールの助手ロベール(ジャック・リベロル)だったが、ミレナにジャン・ポールと誤認されたのをそのまま、城館に入りこんだ。同じ日、若い女中のプリュダンス(ベルナデット・ラフォン)が雇われ、早速好色な下男セザール(ミシェル・ガラブリュ)に目をつけられた。やがて遺産相続会議がはじまった。長い夏の夜と孤立した城館の古めかしい雰囲気の中で会議に集った四人の若い男女はロベールとミレナ、ミゲルとフィフィヌがそれぞれ結びついた。セザールに追いかけられる女中のプリュダンスはロベールの身分証明書を見つけ、彼がジャン・ポールではないのを発見して彼を誘惑した。しかし彼女も、やがて下男セザールの腕に抱かれた。明くる朝、ロベールとミレナが眠る部屋にプリュダンスはロベールの身分証明書を置いた。男の正体を知ったミレナに、ロベールは彼女への愛だけは本物だと言った。それを聞いたフィフィヌはどこかに身を隠してしまった。ミゲルはフィフィヌを本当に愛してはいなかったのである。フィフィヌの本当の兄ジャン・ポールもやってきて、自殺の恐れのあるフィフィヌがさがし求められた。料理女の娘である少女フロランスが、フィフィヌを城館の屋上の隠れ場所からつれ出してきた。こうして城館を舞台とする恋愛ゲームは終りをつげた。

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