ガントレット

劇場公開日:

解説

警察上司の立場がまずくなる裁判の証人を護送するはみだし刑事(でか)の活躍を描くアクション映画。製作はロバート・デイリー、監督は「アウトロー」のクリント・イーストウッド、脚本はマイケル・バトラーとデニス・シュラック、撮影はレックスフォード・メッツ、音楽はジェリー・フィールディングが各々担当。出演はクリント・イーストウッド、ソンドラ・ロック、パット・ヒングル、ウィリアム・プリンス、マイケル・カバナーなど。日本語版監修は高瀬鎮夫。デラックスカラー、パナビジョン。1977年作品。

1977年製作/アメリカ
原題または英題:The Gauntlet
配給:ワーナー・ブラザース映画
劇場公開日:1977年12月17日

ストーリー

朝陽がフェニックスの町を包む--。夜明けだ。酒場より出てきた男は、酒くさい息をはきながら車を運転して市警の前に着く。男の名はショックリー(C・イーストウッド)。ヒラの市警警官だ。重要な事件の担当も今までなく、大きな昇進もしてない彼は今、ブレイクロック(W・プリンス)警部補より呼び出しを受けたのだ。同僚で今はデスク仕事に出世したジョゼフソン(P・ヒングル)に酒くさいのを注意されたショックリーの今回の仕事は、組織のからんだある事件の検事側証人としてある人物を、ラスベガスからフェニックスまで連行するという、ごくありふれたものだった。ところが、ラスベガスに着いてショックリーの驚いたのは、何と証人はマリー(S・ロック)という女だったということ。この売春婦は知的な女で、彼女はショックリーとの旅を拒絶する。行けば殺される! と。馬鹿なことを言う奴だ、と思っていたショックリーも、空港へ向かう途中で起こった待たせてあったレンタカーの爆発や、正体不明の車の追跡等に出合っては、信じずにはいられない。ようやくマリーの言うことにある程度納得した彼は、彼女のいうとおりひとまず彼女の家に身をひそめた。そしてブレイクロックに保護をたのむ彼。警官の来る間、マリーは風呂へ、彼は空港に次の便のチケットを予約した。やがて、パトカーがやって来る。しかも、たのんだ1台ではなく数十台も……。何か事態はおかしかった。警官隊や狙撃隊が家を包囲し、一斉射撃を始める。壁が床が天井がズタズタの穴だらけと化し、マリーは地下室より脱出通路を逃げ、ショックリーもあとを追って脱出に成功。同じ頃、家はくずれ落ちた。再び2人の旅が始まった。途中でパトカーを1台ジャックし、州境へ向かう。そしてその警官より彼は意外なことを聞いた。彼は警官殺しの犯人にされ、マリーも暗黒組織より命を狙われているというのだ。ショックリーは再び、ブレイクロックに電話して保護の確約を取るが、マリーは、ブレイクロックがあやしい、彼こそ張本人だ、という。そういわれてみれば思いあたる点もいくつかある。ショックリーは、ブレイクロックのさしむけた保護隊の待つ州境の手前で、マリーと共にパトカーを下車した。そしてそのまま州境に向かったパトカーは待っていた一団のマシンガンにもちろんハチの巣に……。敵はブサイクロックだ! ショックリーはそう確信した。マリーと共に砂漠の洞穴で一夜をあかしたショックリーは、朝近くにやってきたヘルス・エンジェルのバイクを1台奪い、電話でジョゼフソンにブレイクロックの策謀をつげる。が、その時、頭上にヘリがやって来て、電話ボックスの彼を狙う。マリーを乗せ、彼の逃亡が始まった。執拗に追ってくるヘリ。逃げるバイク。やがてヘリは高圧線に接触して爆破、ショックリーとマリーは、貨物列車に飛び乗った。しかし、そこには先程のエンジェルの男達が……、マリーの必死のオトリ作戦がものをいい、2人は助かった。そして、2人はキングマンという町に着く。フェニックス行きのバスの発車時刻までの間、モーテルに入り、休息する2人。マリーはショックリーに愛を告白。ショックリーもそれを静かに受けとめた。そして再び、ジョゼフソンに今から町に乗り込むことを告げた。マリーは反対するが、こうなれば、男としての意地だ。一方、ジョゼフソンは、友の危険を救うため地方検事フェイダースピール(M・カバナー)に協力を求めるが、彼もまたブレイクロックの仲間だったのだ。早速、ショックリーの計画はブレイクロックにも知れ、警官隊は町へ入ってくるバスのコースの街路に並ぶ。手に銃を持って--。その頃、ショックリーはバスをジャックし、運転席を鉄板で囲むと、マリーと共にフェニックスへ向かった。青空の下、バスはフェニックスへ近づく。街路には銃を片手の警官隊以外1人もいない。やがて、街に入って来たバスにジョゼフソンが近より、ショックリーの計画をやめさせようとするが、彼も狙撃され死亡。ショックリーの怒りは爆発する。ただマリーという証人を連れて前進するのみだ。バスは街角をまがった。と、同時に無数のいやそれ以上の弾道がバスに吸い込まれていく--。やがてバスは止まり、ショックリーとマリーが下車。警官は2人を囲み、ブレイクロックが2人の前にやって来た。そして彼はショックリーを撃つ。傷つき倒れるショックリー。だがマリーがショックリーの銃をとり、ブレイクロックに向け引金を静かに引くのであった--。(ワーナー・ブラザース映画配給1時間50分)

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映画レビュー

3.5【未来のない冴えない刑事と女性証人との、”壮烈なロードムービー”序盤、中盤の猛烈な銃撃シーンと再後半のバス内に8ミリ鋼板を打ち付けて、激烈な銃撃を受けながら悪辣警察長官に向けて進むシーンは凄いです。】

2024年12月14日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

興奮

幸せ

■ショックレー刑事はある日、上官のブレイクロック長官に呼び出され”大したことのない裁判の証人”ガス・マリー(ソンドラ・ロック)を、ラスベガスからアリゾナ州へ移送する指示を受ける。  ”何故、俺が?”とショックレー刑事は思いつつ証人のマリーをベガスで引き取りアリゾナへ共に出発するが、マリーから”騙されている。”と告げられる。  その言葉を信じなかったショックレーだが、移送中にパトカーから銃撃され、マリーの商売部屋に着くと、猛烈な銃撃を受け家は倒壊する。  隠し道から逃げた二人は、追っ手を振り切ろうとするが・・。 ◆感想<Caution!内容に触れています。> ・クリント・イーストウッド監督・主演作にしてはストーリー展開がやや雑で、突っ込み処も多数ある作品である。  例えば、長官の命令とは言え、あそこ迄警官達が従うかなあ、とかね。  けれども、イーストウッドも若くて枯れていないので、惚れた女優には弱かったのかなあ。  兎に角、今作は、ガス・マリーを演じたソンドラ・ロックの強気で頭が切れる姿や、身体を張ってショックレー刑事を守る姿が、格好良いのである。 ・唯一の仲間であるジョセフソン刑事(パット・ヒングル)の説得に応じるも、彼までスナイパーに撃ち殺される所も突っ込むところだが、今作は兎に角、銃撃シーンが物凄いので、良しとする。 ・そして、ショックレー刑事とガス・マリーは、バスジャックしたバスから乗客を降ろし、バスの両側に8ミリ鋼板を溶接で打ち付け、両サイドを警官達に固められる中、フェニックスの街中を進むと、両側から激烈な銃撃を受けるのである。  だが、それに怯まずに進むバス。そして、警官に囲まれて待ち受けるブレイクロック長官と、彼に入れ知恵をしたフェイダースピール判事(マイケル・キャヴァノー)。  そして、ショックレー刑事とガス・マリーは二人に向かって歩いて行くが、それまで銃撃していた警官達は、ブレイクロック長官が”撃て”と喚く中、銃口を下げるのである。  フェイダースピール判事は、全ての企みを口にしてしまうが、ブレークロックに射殺されるが、彼も又ガス・マリーにより、射殺されるのである。 <今作は、兎に角もイロイロと特に後半は突っ込み処満載なのだが、エンターテインメントに徹し、只管にソンドラ・ロックの魅力を描いた作品なのである。  イーストウッドも若くて枯れてないので、惚れた女優には弱かったのかなあ。  それにしても、激烈な銃撃シーンの数々は、物凄い作品である。キッパリ!>

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NOBU

2.0アメリカ映画のジャンルに「クリント・ イーストウッド」があってもいい

2024年8月25日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

単純

 自分の目線から観て、正直本作は大した作品ではない。点数がそれを大まかに物語っている。ざっくりして雑に感じるストーリー。見どころがないわけではないが、そんな盛り上がるというより、「なんでや!?」と首をかしげてしまう演出と展開。凡庸な感じが否めず、いつもなら個人的に凡作と捉えてしまう内容なんですが・・・本作を、自分は凡作と捉えません。理由はただ一つ・・・ クリント・イーストウッドが作った映画という視点です。  ストーリーとしては、フェニックス州の刑事でアウトローな男が、長官の命によりラスベガスから裁判に必要な証人である女性を護送する仕事に就く。しかしそこから証人ともども誰かに命を狙われるハメになる・・・という感じです。  刑事モノの作品ではありますが、正直これは“西部劇”です。無法者な感じの堅物男が見ず知らずの女性のために漢を張る。今回は女性ですが、だれかを助けるためには相手を殴り、銃を突き付けても守り抜くステレオタイプな男。まさに西部劇の典型的なストーリー展開に思えるのです。しかも監督・主演はその西部劇で名を馳せた名優・・・ クリント・イーストウッドです。  つまり、これはイーストウッドが西部劇を模して作った現代劇であると思うんです。そして、その厳つさ、胆力、漢気に面白さを感じてしまうんです。そう、本作は「イーストウッドの厳つさと男らしさを楽しむ作品」と言えるのではないでしょうか。そうなると本作の見方がガラリと変わります。凡庸な作品が、アウトローに生きる男の渋さと厳つさにカッコよさを感じる作品に変わるんです。  かといって、これが他の俳優にできるでしょうか?たとえ話で申し訳ありませんが、芸人の浜田雅功のツッコミ、言動は“彼特有のキャラ”と思える節があるでしょうか?よくよく考えれば「そんなどぎついことよーできるなぁ」と思えることをやっていると思いますが、それは彼が今まで積み上げてきたモノが成せる領域であると思います。このイメージが、イーストウッドにも当てはまるのです。イーストウッドが積み上げてきた“アウトローの漢”、だからこそこのストーリー・演出で作品が成立していると思うんです。それが本作の核ではないでしょうか?  正直序盤を観てるだけで「なんやこの作品・・・」と思ってしまう本作。しかし、イーストウッド好きであるなら本作はお勧めです。本作はイーストウッドらしさを存分に感じる作品であると思います。  また、これだけイーストウッドらしさで成立してしまうクリント・イーストウッドの凄さに敬意を表し、アメリカ映画のジャンルに「クリント・イーストウッド」を入れても良いのでは、とさえ感じてしまいました。やっぱすごいわ(笑)。

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asukari-y

2.0激しい銃撃戦

2024年8月22日
iPhoneアプリから投稿

バスをハチの巣にしたいだけ。 黒幕のやることが理解不能。隣の州のパトカーを警官ごとハチの巣にするあたりで理解不能。 最後の警官がバスをハチの巣にするのも理解不能。 最後に歩いている主人公を撃たないのも理解不能。 警官は銃を持っている相手には即座に撃つんじゃないのか? 銃撃を楽しむ?映画。

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myzkk

3.0徐々に真相が明らかになっていく

2024年5月31日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

 初めはただの証人の護送任務として始まるストーリーが、身内であるはずの警察や裁判関係者などが加担する大きな陰謀が潜んでいる。主人公の刑事ベンは、自分が濡れ衣を着せられている状況を徐々に理解していく。ここで、普段の勤務態度がよろしく無いと思われるベンが護送任務の実行者として選ばれたのは、彼が濡れ衣の対象として好都合だからということに観ていて気づく。しかしベンが思いの他有能だったのは、首謀者にとって誤算だっただろう。単純に悪の組織が追ってくるといった展開では無いところが面白い映画。  ストーリーは、大勢の警官や裁判者関係者などを巻き込んだ大掛かりな陰謀にしては、その後の展開を予想させるだけに留まる、あっけない終わり方をするのが物足りない。  演出面では、大勢の警官がバスを銃撃で蜂の巣にする終盤のシーンは、映画としての盛り上がりを優先させ過ぎていて不自然な気がする。そこまで抹殺したいのならば爆弾でも使用するか、タイヤをパンクさせてから確実に殺しにかかるべきなのになぜかそうしない。  それから、これだけ多くの警官を動員して市全体を警戒態勢に置くと、テレビ局などからも相当な注目を集めることだろう。すると、なるべく内密に事件を処理したいはずの首謀者としては気が気でないんじゃないだろうか。そもそもここまで警官を動員できるほど公権力を濫用できるのもおかしい。この辺は違和感があった。

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根岸 圭一