ガス燈

劇場公開日:1947年6月

解説

パトリック・ハミルトンの舞台劇より、劇作家として著名なジョン・ヴァン・ドルーテン、「男は神に非ず」の脚色監督および「たそがれの維納」の脚色者ウォルター・ライシュ、「ドラキュラ(1979)」「フランケンシュタイン(1931)」等怪奇映画「永遠に愛せよ」「ベンガルの槍騎兵」等の脚色者ジョン・L・ボルダーストンの3人が協同脚色をし、「ロミオとジュリエット」「素晴らしき休日」のジョージ・キューカーが監督した。撮影は「決断の谷」「冒険」の近作、古くは「冬来りなば」のジョセフ・ルッテンバーグの担当。「カサブランカ」のイングリット・バーグマンと「運命の饗宴」「永遠の処女」等のシャルル・ポワイエが主演するほか、「恋の十日間」「疑惑の影」の新人ジョセフ・コットン、「断崖」「永遠に愛せよ」のディム・メイ・ホイッティ、本作品にデヴュー後「ナショナル・ベルヴェット」「ドリアン・グレイの画像」等に出演した新人エミール・ラミュウらが出演している。なおバーグマンは本作品で1944年アカデミー主演女優賞を得た。1944年度製作。

1944年製作/114分/アメリカ
原題または英題:Gaslight
劇場公開日:1947年6月

あらすじ

1870年のロンドン。オールクィスト家に起こった歌手アリス・オ ールクィスト嬢の殺人事件は未だ犯人があがっていなかった。アリスの姪ポーラはグレゴリー・アントンと結婚したが、良人の言に従い問題の家で結婚生活を営むことになった。ある日ハンドバックに入れたはずの首飾りが紛失して以来、グレゴリーはポーラが自分のしたことを少しも記憶していないといってことごとに彼女を責めた。そのあげく、彼女も精神病で死んだ彼女の母と同じく次第に精神が衰えて死ぬだろうというのだった。ポーラは良人の言を気にしながら一人不安な日を送っていたが、次第に自分の精神状態に自信を失い、夜ごとにポッと薄暗くなるガス燈の光も、天井に聞こえる奇怪な物音も、自分の精神の衰えているための錯覚かと焦燥にかられた。ある夜久し振りで良人と出かけた知人宅で時計を隠したといって良人から辱しめられたとき、彼女は堪え難い悲しみに襲われたがその様子を注視している若い男があった。彼はブライアン・カメロンという探偵で、少年時代憧れていた名歌手アリスの殺人事件には非常な関心をもっていた。彼はある夜グレゴリーの外出中家人の制止もきかずポーラに会い、彼女の叔母の事件についていろいろとポーラに語ってきかせ、また、彼女が決して精神に異常を来しているのではなく、良人の策略にすぎないこと、夜ごとに暗くなるガス燈の光も良人が閉鎖された屋根裏の部屋にいるためであることなどを説明した。ブライアンがグレゴリーの机をあけてみると、彼女が隠したと良人から責められた数々の品物が現われ、20年前のこの家の殺人事件にグレゴリーが重大な関係を持っていた事実を説明する手紙も発見される。やがて探し求めていたダイヤモンドを手に入れて現われたグレゴリーはブライアンにひかれてゆくのだった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

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映画レビュー

3.5 バーグマンが執拗なモラハラでヨタヨタ

2025年11月8日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

モンスター夫を演じるシャルル・ポワイエの演技と、家庭の中に閉じ込められてメンタルをズタズタにされていくイングリット・バーグマンの演技が、どちらも素晴らしいです。また、バーグマンに反発する気が利かないメイド役のアンジェラ・ランズベリーも、とても良かった。アカデミー賞にノミネートされたと知って、然もありなんと思いました。

序盤に結婚を申し込まれた時点で、モラハラのフラッグが立ちまくっていて、案の定、バーグマンが執拗なモラハラでヨタヨタになっていきます。その過程がサスペンス。

80年前にモラハラを世間に広く知らしめた映画だけれど、モラハラは、今も根絶されていませんね。

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ねこたま

4.0 イングリッド・バーグマン。意外とパワフルなボディ

2025年11月8日
PCから投稿

とにもかくにも、この映画のレンズが素晴らしい。
私は映画オタクであると同時に、カメラオタクでもある。私の部屋にはフィルムカメラばかり7台もある。 なぜそんなにフィルムカメラを買ってしまうかというと、描写の良いレンズで撮った写真を見るとレンズが欲しくなるからだ。
レンズによって写り方が変わる。私は写真を見ただけでどのメーカーのレンズがわかるというのは大袈裟だが。傾向ははっきり分かる。だから、レンズのためにカメラも買ってしまう。

そして、この映画を撮影したレンズは本当に特別だ。
どう特別かというと――ピントがぴったり合っていて且つ周囲の“ボケ”が美しい。
35ミリの普通のスチルカメラでピントを合わせても、こんな大画面で見たら完全には合っていない。(私はプロジェクターで大画面にして映画を見ている)・・このレンズはすごい。
もちろん現代のオートフォーカスなら別だが、この時代はまだ完全マニュアルフォーカス。 それなのに、これほど正確にピントが合っているのは驚異的だ。そしてボケが美しい。なぜ35ミリフィルムで撮った映画のピントがここまでのレベルなのか?
それは、映画用カメラと市販カメラの技術レベルがまるで違うからだ。
一般のカメラを乗用車とすれば、映画用カメラはF1マシン。
当時は1台1台が職人の手で組み上げられ、レンズも一本ずつピントは性格で且つ微妙なボケが出るように手研磨で仕上げられていた。
しかも当時の光学ガラスは今ほど均質ではなく、そのわずかな不完全さが味わいを生んだ。
現代の完璧なレンズでは出せキャノンでも、フジでも、ニコンでもペンタックスでもいい。
あのオールドレンズの味わいを、もう一度蘇らせてほしい。
もしそんなレンズを作ってくれたら、私は迷わず一番高いカメラを買うだろう。現代のカメラにはない“柔らかさ”がそこにある。

そして、そのレンズで撮影されたイングリット・バーグマンは抜群に美しかった。だけでなく、豪華な衣装、それも肩だし衣装で惚れ惚れする美しさだった。イングリット、意外とパワフルボディ。

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KIDOLOHKEN

4.0 ガスライティングってここから来てるんでしたっけ?

2025年6月15日
iPhoneアプリから投稿

怖い

シャルル・ボワイエの作品を初めて見たのがこの作品だったせいで、長い間他の作品で見ても怖くてしかたなかったのは苦い思い出笑
イングリッド・バーグマンの美しさがスリルに拍車をかけているかと。
古い作品って捻りすぎていないけれど良い塩梅で結構面白いですよね。

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piper

4.0 手に汗握る

2025年2月3日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

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tommy