帰らざる夜明け

劇場公開日:

解説

メグレ警部ものなので知られているフランスの推理作家ジョルジュ・シムノンの小説から、「帰ってきたギャング」「未青年」などのピエール・グラニエ・ドフェールが監督したもので、彼自身が、「栗色のマッドレー」のパスカル・ジャルダンと共に脚色した。製作はラルフ・ボーム、撮影はワルター・ウォティッツ、音楽はフィリップ・サルドが各々担当。出演はアラン・ドロン、シモーヌ・シニョレ、オッタヴィア・ピッコロ、ジャン・ティシェ、モニク・ショーメット、ボビー・ラポワントなど。日本語版監修は高瀬鎮夫。イーストマンカラー・メトロスコープ。

1971年製作/フランス
原題または英題:Widow Couderc
配給:メトロ
劇場公開日:1972年9月30日

ストーリー

緑に囲まれたフランスの田舎町。通りすがりの男ジャン(A・ドロン)は、車の荷台から石油ふ卵器をおろしている未亡人クーデルク(S・シニョレ)の手助けをしたことから、彼女の家で働くことになった。運河の跳ね橋を挟んで、夫の妹夫婦(M・ショーメットとB・ラポワント)が住んでいた。彼らはクーデルクと一緒に住んでいる父親アンリ(J・ティッシェ)を丸めこんで、クーデルクが支えてきた農地を自分たちのものにしようとたくらんでいた。クーデルクとジャンの間には、男と女の微妙な気持ちが流れ始めた。ジャンが人殺しの前科者で脱獄して追われている身と分かってからも、クーデルクの愛は深まるばかりだった。一方、アンリ老人も彼女が夜の求めに応じなくなったのは、ジャンのせいだと思っていた。妹夫婦にはフェリシー(O・ピッコロ)という十六歳の娘があったが、知的障害者のようなところがあり、誰の子か分からない赤ん坊まであった。フェリシーは、ハンサムなジャンに興味を持ち、ジャンもクーデルクにないういういしさに惹かれ、結ばれた。その夜、クーデルクは新調したネグリジェで彼の帰りを待ちわびた。翌朝、クーデルクはジャンにでていくよういったが、彼は、ふ卵器だけは動くようにしていこうと考えた。妹夫婦は、ジャンを目の仇にしていた。老人を問い詰め、ジャンが人殺しらしいことを知るとフェリシーをそそのかし、彼のスキをうかがって身分証明書を盗みださせた。その頃、ジャンの苦心がやっと実って、ふ卵器がいくつかの卵をあたためだした。卵は二十一日でヒナにかえる。クーデルクの怒りはふっ飛んだ。翌朝、フェリシーが戸を叩いた。警官がジャンを掴まえにくるというのだ。妹夫婦の密告で、ジャンの身元が割れ、凶悪犯人として大がかりな捕り物がくりひろげられようとしていた。急を知って、ジャンはクーデルクを残して裏口から逃げた。だが付近一帯は既に警官に包囲され、ジャンはクーデルクの所に舞い戻った。彼女はジャンから逃げるよう進められたが、自分の家にとどまる覚悟を決めていた。弾丸がこの家に集中し始めた。ジャンは戸外に走りだしたがたちまち射殺された。クーデルクもまた、ふ卵器の石油に引火した火焔に包まれ、炎の中で死んでいった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

3.0

2019年3月28日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 田園風景に心洗われる。娘オッタヴィア・ピッコロの透きとおるほどの白い肌も印象的だ。しかし、アラン・ドロンが単なるスケベな犯罪者という気もする。橋が美しいのですが、『マディソン郡の橋』の橋と似ていますね。  シモーヌ・シニョレの演技は良いのですが、台詞が直情すぎるというか、もっと奥ゆかしく愛を告白するなどの脚本が欲しいところだ。

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kossy