大きな翼を持った老人

劇場公開日:

解説

大きな翼を持った老人に大騒ぎする人々の姿に、ラテンアメリカの現実を反映させた寓意的な作品。ガブリエル・ガルシア・マルケスの原作を基に、アルゼンチン出身のドキュメンタリー作家、フェルナンド・ビリが監督、脚本、主演を兼ね、製作はミゲル・メンドゥッサ、撮影はラウル・ペレス・ウレタ、音楽はホセ・マリア・ビティエル、ジャンニ・ノチェンツィが担当。

1988年製作/キューバ・イタリア・スペイン合作
原題または英題:Un Senor Muy Viejo Con Unas Alas Enormes
配給:ヘラルド・エース=日本ヘラルド映画
劇場公開日:1990年11月3日

ストーリー

カリブ海沿岸の小さな村。ペラーヨ(アスドゥルバル・メレンデス)は、翼を生やした老人(フェルナンド・ビリ)が流れついているのを発見する。村の人々は「天使ではないか」と大騒ぎ。神父の否定にもかかわらず、一目天使を見ようと遠くからも人々が集まってくるようになる。ペラーヨの妻エリセンダ(デイシー・グラナドス)は見物料を取ろうと言い出し、たちまち夫妻は大金持ちになる。しかし、そこへカーニバルがやってきて、飛ぶ気配もなく、しゃべりさえしない老人よりも、妖しげで美しい蜘蛛女の方へ人気は移ってしまう。6年後、静けさを取り戻した村で、もはや老人は見向きもされず、見せ物で稼いだ金で豪邸を建てたペラーヨの息子の遊び相手になるばかり。しかし、そんな中で老人は、こっそり鶏の羽をむしり取っては、新しい翼を作り、そしてある風の強い日、はるか海のかなたへ向かって飛び去っていった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

5.0宗教の発生と収束

2021年7月23日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

これは実は自分たちの姿だと気づいてしまえば、なんとなく居心地が悪くなる。そんな映画です。 嫌な思いをする人も、いるんじゃないでしょうか。 宗教施設には必ず門前町が作られ、栄えます。これ、日本も例外なく。 拝観料、おみくじ、記念グッズのお土産店、食事処に休憩所、BGMのスピーカーに本殿の整備拡張、類似の寄生宗教は集来するし、“客”を取られた旧来の宗教家(神父さん)との軋轢も。そして参拝ツアーから売春宿まで。 宗教は、一大産業です。 南米のノーベル賞作家、ガブリエル・ガルシア=マルケスの原作。 カトリックのマルケスとしては、宗教の持つ欺瞞性を冷めた目で観察しつつ、信仰の拠り所を求めて右往左往する同朋たち=人間への憐れみと、いとおしさを、彼はホントに優しい眼差しで描いている。 ブームは去って静寂が戻るんですね。次の御神体を求めて群衆は去っていくわけで。 観終わって振り返る、 ・・そういえば、この天使はひと言も言葉を発せずに天空に戻って行きましたよ。 何か語ろうにも、あれほどまでに人間たちの欲と喧騒、好奇の目と救いを求める絶叫に攻められ続けていては、天的存在は口を封じられて、語るに語れないという残念さ。 6年間も同居していながら、天使と無言で心通わせ合ったのは、6歳になった少年だけでした。 強欲を抑えて、鎮まって天使の囁きに耳を傾けるのもいいんじゃないでしょうか。 しかしまあ、トリ小屋で天使を飼うとか、もう爆笑。最後は邪魔者の居候はボケ老人扱い。 批判チクリの大人のファンタジーでした。 脚本を書いて監督を務めたフェルナンド・ビリさんが、あの情けない天使本人を演じました。 「ベルリン・天使の詩」のブルーノ・ガンツにも負けず劣らずの熱演だったと思います。 ただしこちらはラテン気質なのでベルリンの暗さはありません。 迷作ですが、鋭いですよ。 DVD化されていないため YouTubeで鑑賞 Un Senor Muy Viejo Con Unas Alas Enormes

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きりん

愚かで醜い。でもそれこそがひたむきな人間の美しさなのかも

2019年2月8日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

笑える

楽しい

とにかくバカバカしいんです。 そもそも話の始まりがもうタイトルまんまで、「ある朝 小さな漁村に 大きな翼を持った老人が漂着する。」 もうなんなんでしょうねこの破壊力。 荒唐無稽にもホドがあるというか。。 映像もね、美しい自然や町並み・じゃなく、どっちかというと庶民の騒然・雑然というか、薄汚れてて小汚いんです(笑) けれどもそれが、そういうところこそがいいんです。 映画をみてると人間てホント、愚かでせわしなくて醜いという印象を受けます。 (とくにこのスペイン語系?ラテン系?の人たちが・とか云うと偏見ですか笑) ときにはモメたりダマしたり、ケンカのときも基本相手の話なんかきかないもんだから収拾つかない。 でもそんな行動の根底には、とにかくみんな幸せになりたい!という素直で率直な感情があるのだとわかります。 そんな日常が、ともすると陰湿になりそうなところがむしろ清々しささえ感じるのは、たぶんそういう率直さが開放感をもつからではないでしょうか。 明日のことはわからない、今日を生きぬきたい。 モラルとか美徳とか、そんな綺麗事つべこべ云ってるヒマなんかないのよアタシタチ! て感じ。 人間はホント愚かで醜く、そして逞しくて 美しい。 基本コメディなので笑いもあります☆ 絶版、しかもPAL以外の規格DVD化すらされてないみたいで 日本で見られる可能性はほぼゼロかと思いますが、まあもし機会があれば!!

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えんぞ