最新作『エイリアン ロムルス』鑑賞前にBlu-rayで復習。
シガニー・ウィーバーはほんの少し歳を重ねたものの、冷凍睡眠ポッドで彼女だけがスキャンティーだったりして相変わらずセクシーだ。女性海兵隊員からは〝白雪姫〟と言われる。
『ターミネーター』(’84)で一躍注目の監督となったジェームズ・キャメロンが、サラ・コナーよりも先にエレン・リプリーを戦士に進化させたヒット作。
『ターミネーター』で戦闘型サラ・コナーを知らずに終わったマイケル・ビーンが、本作で戦闘型リプリーと共闘した。
前作から7年後、公開時のキャッチフレーズは…“今度は戦争だ!”
前作の世界的ヒットを受けて続編の製作を決めたウォルター・ヒルが組み立てたコンセプトに基づき、ジェームズ・キャメロンが脚本を執筆したのだが、その時期キャメロンは『ターミネーター』と『ランボー/怒りの脱出』の脚本も書いていたというのだから、なんだか凄い。
公開は『ターミネーター』より後になったが、キャメロンの起用は『ターミネーター』製作より前なのだ。
ノストロモ号を爆破して脱出したリプリー(シガニー・ウィーバー)と猫のジョーンズを乗せたシャトルは、57年間も宇宙を浮遊していたという。
これはこれで驚きなのだが、リプリーはエイリアンに遭遇したあの小惑星LV-426に開拓民が入って20年も経っているということに驚いても、技術の進歩に戸惑うような場面はなかった。もう発達しきっていて57年くらいではさらなる進歩はなかったのだろうか。
サルベージ船に救助されたリプリーが収容された、地球軌道に浮いている中継ステーションは、〝会社〟が地球との中継拠点として運営しているのだろうか。そこで諮問会議にかけられたリプリーは、ノストロモ号を爆破した責任で貨物係に左遷され、そのまま従事しているのだから、やはりそこは〝会社〟の中なのだろう。
それにしても、57年経っても責任を追及されるのだから厳しい。
ところで、ウェイランド・ユタニという会社名は本作で示されていただろうか。それを気にして観ていた訳ではないが、前作同様〝会社〟としか呼ばれていなかったような気がしたのだが。
背広組がみんな襟の後ろを立てているのが、なんとも可笑しい。
さて、リプリーが同行する〝植民地海兵隊〟とはいったい何なのだろうか。軍の部隊だとは理解するが、どこの軍なのだろう。彼らは統率された軍の一部隊というより、傭兵部隊のように見えた。
剛腕の女性隊員が「(エイリアンの)いる場所だけ教えてくれれば退治してやる」とふざけ半分に言う。
「本当に退治してほしいわ」とリプリーは返すが、「できるものならね」と付け加えたかったのではないか。
一行がLV-426に到着すると、開拓基地の生存者は少女一人だった。
エイリアンがカプセルに保存されている研究施設は実に不気味で、それが蠢いてガラス越しに醜い生殖器を晒すのだから、身の毛がよだつ。
隊員たちがエイリアンと遭遇すると、原題が示すように、エイリアンが大群で襲ってくるという、前作のホラーっぽい恐怖とは質が異なる恐ろしさの死闘が展開する。
LV-246には大気を地球型に変える工場があり、そこで発砲すると大爆発を起こすという緊張感の中で、隊員たちは初めてエイリアンに襲われ恐怖と錯乱に陥るという仕掛けが面白い。
リプリーが少女ニュート(キャリー・ヘン→本作以降の芸能活動はない)を救うための戦いが物語の主軸となっているのだが、合成人間ビショップ(ランス・ヘンリクセン)が敵か味方かというサスペンスがあったり、やはり〝会社〟から密命を受けていたバーク(ポール・ライザー)の暗躍があったりと、飽きさせない。
ニュートを助け出したリプリーにエイリアンが迫る万事休すのタイミングで、ビショップの降下艇が颯爽と浮かび上がってくる名場面は、何度見ても熱い。
多くの専門家が続編として成功した稀な作品だと評価したとおり、ある意味で高温多湿な前作よりもエキサイティングに楽しめるアクション巨編だ。
そして、リプリーがエイリアンと戦うというシリーズのコンセプトを決定づけた作品でもある。
右手にパルスライフルを持ち、左手に少女を抱いたリプリーの姿は凛々しい限りだが、銃規制主義のシガニー・ウィーバーは銃を持つ役に抵抗があったようだ。