アラビアのロレンス

ALLTIME BEST

劇場公開日:1963年2月14日

解説・あらすじ

アラブ民族独立に尽力した実在のイギリス陸軍将校T・E・ロレンスの波乱に満ちた半生を、「大いなる遺産」の名匠デビッド・リーンが壮大なスケールで描いた不朽の名作。20世紀初頭、アラビアはドイツと同盟を結ぶトルコの圧政下にあった。イギリス陸軍カイロ司令部に勤務するロレンス少尉は、トルコからの独立を目指す反乱軍の指導者ファイサルに会うため旅に出る。反乱軍の無力さを目の当たりにしたロレンスは、アラビア民族をまとめあげてゲリラ戦を展開し、見事トルコ軍を打ち破ることに成功。その後も次々と勝利を収めていくが、その一方でロレンスはアラブ人同士の争いや国同士の政治的駆け引きに翻弄されるようになっていく。当時まだ無名だったピーター・オトゥールが主人公ロレンスを熱演。共演は「戦場にかける橋」のアレック・ギネス、「炎の人ゴッホ」のアンソニー・クイン、「ドクトル・ジバゴ」のオマー・シャリフ。1963年・第35回アカデミー賞で作品賞・監督賞など7部門に輝いた。

1962年製作/227分/イギリス
原題または英題:Lawrence of Arabia
配給:コロムビア
劇場公開日:1963年2月14日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第35回 アカデミー賞(1963年)

受賞

作品賞  
監督賞 デビッド・リーン
撮影賞(カラー) フレディ・ヤング
編集賞 アン・V・コーツ
作曲賞 モーリス・ジャール
美術賞(カラー)  
音響賞  

第20回 ゴールデングローブ賞(1963年)

受賞

最優秀作品賞(ドラマ)  
最優秀助演男優賞 オマー・シャリフ
最優秀監督賞 デビッド・リーン

ノミネート

最優秀主演男優賞(ドラマ) ピーター・オトゥール
最優秀主演男優賞(ドラマ) アンソニー・クイン
最優秀作曲賞 モーリス・ジャール
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映画レビュー

4.0 やっぱり名作!!

2025年9月28日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

興奮

ドキドキ

何十年もの時を経て、3回目の劇場鑑賞。
見応えある、やっぱり名作!!
歳を重ねたからこそ理解できたところ多し。

当時のアラブ、部族争いばかりしていた。
近代兵器が主流の中、ラクダとウマに乗り剣で闘う。
その様は戦国時代の日本の武士の姿。
奇声をあげ闘う姿はアメリカインディアン。
ま、遅れてたんですな。
ロレンスは考古学者だったこともあり…古のアラビアに憧れというか郷愁を感じていたのか。

ガザも出てくる。

CGでなく全部実写、リアリティが違う。
音楽が本当に素晴らしい!
主旋律が砂漠の風景にピタリとハマる。
本編スタート前に、暗い館内に音楽だけが流れる…「序曲」ということなのだ。
2次元の映画だけど、舞台の演劇と同じ感覚。

冒頭、オートバイで疾走するロレンス…
ラスト、傷心のロレンスが帰還する車の横をオートバイが走り抜けてゆく…

ロレンスのバイク事故、果たして事故死だったのか?
それとも…

ピーター・オトウォール、顔は実在のロレンスにそっくり。
しかし身長…ロレンスは166cm、オトウォールは188cmだという。

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マヤクロ2

4.0 文句なく素晴らしい大好きな映画

2025年4月6日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

知的

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共感した! 2件)
ねこたま

4.0 若い時TVで見ていたのは、この映画の前編だった。

2024年10月26日
PCから投稿
鑑賞方法:その他

米国からの帰国便で、レストア版を鑑賞、発色がきれいだった。

1916年、第一次世界大戦下の中東。オスマン・トルコ帝国が枢軸国(ドイツ・オーストリア)側についたことから、英国はアラブの後ろ盾となるべく、詳しい知識を持つロレンス中尉を抜擢し、アラブ側に派遣する。

前編はヨルダンやモロッコでロケした映像が、際立って美しい。砂漠に太陽が昇る、水平線の向こうから蜃気楼のようにラクダに乗った男が現れる、砂嵐の中の行軍。

ロレンスは、ハリト族の理解を得てラクダ隊の50騎と、利にさといハウェイタット族の騎馬隊も味方に引き入れ、誰も考えていなかった内陸から、トルコ側の要衝である港町、アカバを攻めて占領する。カイロの英国陸軍司令部に辿り着いて、2階級特進、少佐に昇進する。

ところが一転、後編に入ると、彼の苦悩が語られる。確かに後編でも、彼はヘジャーズ鉄道爆破を指揮し、一度は、本務地へ戻ることを願い出るが翻意し、アラブの人びとに歓呼の声で迎えられて、ダマスカスを目指す。英国陸軍の本隊よりも先にダマスカスに辿り着き、占領を果たす。またも2階級特進して、大佐に。

ただ、彼の苦悩には、三つの背景があった。それまでの戦いで、彼は自分にきわめて近い部下を失い、指揮官として味方を処刑せざるを得ない場面もあった。Coup de grace(とどめの一撃)を与えたことも。さぞや、苦しかったろう。

彼は、幾多の戦功によりカリスマとなるが、恥ずかしがりやで、人見知りする一方で、物事に打ち込む。そうした人によくあるように、閾値を超えると、突然身勝手にふるまい、誤解されやすく、外観と内面のギャップに傷つきやすい。

さらに、中東では第二次世界大戦後、英仏の二大国が協議して、イスラエルを建国したように、国の間の政治バランスが全てを決める。ロレンスは、結局現場の人。これは当時、映画を観た欧米のビジネスマンたちの共感をうんだことだろう。

しかし、決して現在の日本の社会からロレンスやアラブの人たちの行動を理解しようとしてはいけない。アラブの人たちは、喫煙はするが、原則飲酒はしない。特に、中世スペインを支配していた時に、ギリシア・ローマ文明を継承していたのは彼らだった。いったん、イスラム語に翻訳された後、ヨーロッパに拡がっていった。しかも彼らは寛容で、キリスト教徒もユダヤ教徒も許していた。ただし、自分の文明に自信を持っていた分、近代文明(電気・水道・医療など)を受け入れるのに時間を要した。しかし、ロレンスは、Oxfordで学んでいたので、それらの経緯をよく知っていて、なかんずくコーランを諳んじていた。だから、アラブの人たちに慕われたのだ。

それにしても不思議だったのは、この映画には、一部のアラブ人以外女性が出てこなかったこと。やはり、ロレンスは当時の英国では犯罪であったある種の性癖を持っていたのだろう。ダルアーで、いったん捕まったとき受けた暴行に、それが示唆されていた。

この映画こそ、一度は大スクリーンで見るべき。しかし、その後編を見ることはつらいことも事実である。

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詠み人知らず

4.0 ロレンスの人物像を多面的に捉えている

2024年5月2日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

オスマン帝国に対するアラブ人の反乱に、強国のイギリスが手を貸してやろうという上から目線な態度では、一連の作戦は上手くいかなかっただろう。それがロレンスの言動から分かる。ロレンスはアラブ人に対等な仲間として接し、国家や人種の垣根を越えて彼らに溶け込もうとした。アカバを攻める際の行軍中にはぐれたアラブ人をただ一人助けに行くことで、アラブ人はロレンスを真の仲間として認め、彼らの人望を得ることができた。そうでなければ、民族間の対立もあるアラブ人を束ねて作戦遂行するのは難しかったことだろう。このように人格と能力を備えたロレンスだが、彼もまた一人の人間。やむを得ないとはいえアラブ人を処刑したり、オスマン帝国軍の拷問によって味方の情報を話しそうになる状況に苦悩し、自己嫌悪に陥る。ロレンスという人間を単純に英雄として描いていないのが、ストーリーに奥深さをもたらしている。

今作は映像美と壮大なテーマ曲も素晴らしい。これが視聴者をストーリーに引き込む。青空の元に広大な砂漠が広がる。夕焼けに染まったアカバの海に赤く輝く太陽が反射し、浜辺にいるロレンスのシルエットが浮かび上がる。このような映像にテーマ曲が合わさって、ストーリーのスケールを感じさせる。

総合的には素晴らしい映画だと思う。人物描写の奥深さや音楽を効果的に使用したストーリーは、『ライアンの娘』『戦場にかける橋』のデビッド・リーン監督らしさを感じられた。しかしストーリー後半からは長い割にやや散漫な印象。前半の方がロレンスの魅力を感じられるし、アカバ攻略の行軍に焦点が絞られていて面白みを感じた。

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根岸 圭一

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