愛人 ラマン

劇場公開日:

解説

フランスのジャン=ジャック・アノー監督がマルグリット・デュラスの自伝的小説を映画化し、貧しいフランス人少女と裕福な中国人青年の愛の日々を美しくも官能的につづった恋愛映画。1920年代。フランス領インドシナで暮らす貧しいフランス人少女は、田舎町の実家からサイゴンの寮へ向かう途中の船で、資本家の御曹司である中国人青年から声を掛けられる。それ以来、頻繁に会うようになった2人は、いつしか互いの体を激しく求め合うように。少女の母は娘の変化に気づきながらも、娘を通して金品を援助してくれる男の存在を黙認するしかなかった。やがて、2人の関係に終わりが近づき……。主演は本作でデビューしたジェーン・マーチと、「炎の大捜査線」のレオン・カーフェイ。名優ジャンヌ・モローがナレーションを務めた。

1992年製作/116分/フランス・イギリス合作
原題または英題:L'amant
配給:日本ヘラルド映画
劇場公開日:1992年5月9日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第16回 日本アカデミー賞(1993年)

ノミネート

外国作品賞  
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映画レビュー

5.0つかみ良し、官能シーン良し、そして映画史に残るラスト10分。死ぬまでに観ておきたい恋愛映画の筆頭!

2024年9月19日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

萌える

初老の自分には、胸に染み入る珠玉の物語だった。
タイトルの「愛人」から連想するいかがわしさや浅ましさ、快楽をむさぼる卑俗さからさえも逸脱して、おそらくは映画史に残るだろうラスト10分の神がかったような美しい情景とこみ上げる少女の情動に、観た後しばらく動けなかった。

本作を特別なものにしているのは、おおよそ愛人関係とは呼べそうもない2人の特殊な関係性にあるだろう。

華僑資本家の御曹司である青年は、運転手つきの豪奢な車に乗り、仕立てのよい白いスーツを着こなして、いかにも金持ち然とした振る舞いをしているが、その実は家柄としきたりにがんじがらめにされ、自分の職さえ持てない自由のない男で、自らを「ひ弱な男」と卑下している。

一方の少女は、フランス移民でありながら父の死により家が貧困に陥り、暴力と苦悩と絶望の中に生きているが、なにより性への強い関心を持っている。そして、この少女の性への好奇心、快楽の喜びこそが2人の関係を駆動させていくのだ。

実際、二人の愛人関係は、出会った最初から逆回転している。
船上で声をかけた中国青年がオドオドしながら話す一方で、少女はまるで召使いに車で送らせるかのように堂々としているし、最初の情事の場面でもためらう青年に対して少女は「愛はいらないわ。ただ抱いて欲しい」と告げる。

こんな年の離れた愛人関係でさえも、アジア人蔑視の差別は色濃く映し出されるのかと驚くばかりだが、フランス人である少女は青年との肉体関係を主導し、生活費を工面してもらいながらも常に青年よりも優位に立ち、少女の家族は中国青年を徹底的に見下しさえする。

そして、二人の愛人関係は、いびつに逆回転したままラスト10分の港での美しくも切ない別れを迎えるのである。

70歳になった時、こんな風に振り返れる恋愛、性愛の思い出が自分にはあるだろうかと、はたと考えさせられる映画だった。

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コタツみかん

5.0ラストシーンで初めて少女は、これは愛であったのだと解り感情が溢れでてしまうのです そのとき大きな感動があなたにもたらされると思います

2021年8月6日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

1992年、ベトナムを舞台にしたフランス映画の大作が立て続けに2本公開されました

1992年1月公開の本作「愛人 ラ・マン」
同年10月の「インドシナ」の二つです

それは一体何故でしょうか?
それは50周年記念だったからです

何の?
日本に関係あることです

その年は1942年の日本軍による南仏印進駐から50年の記念だったのです

仏印とは仏領インドシナのこと
今のベトナムです
本作の舞台のサイゴンは今のホーチンミン市のことです

フランスは日本の幕末の頃にベトナムを植民地にして、日本軍進駐後も間接統治を続けてドイツ敗戦直前に親独ビシー政権消滅まで約80年間維持し続けていました
戦後、一時的に植民地は(フランスから見て)回復されますが、結局1954年にはベトナムの独立により完全に失われます
フランスに取って日本の仏印進駐の衝撃の強さが伺えます

北アフリカのアルジェの事例を見ても分かる通り、フランスは植民地に強い執着をもっている国なのです

その執着が仏領インドシナ喪失50周年の記念の年に、その二つの映画を撮らしめたのです

本作は1984年のフランスのベストセラーの映画化です
原作は女流作家マルグリット・デュラスで彼女の自伝です
つまり本作の独白のナレーションは彼女の追憶なのです

彼女は「二十四時間の情事」、「かくも長き不在」といった名作の脚本家としても有名です

本作のポスターの少女の白黒写真は彼女の当時の写真を模したものです
本作の主演女優の少女ジェーン・マーチが恐ろしく似ています

ロリータ
少女偏愛の映画と言われたならそうかも知れません

胸は薄く、腰は細く、脚は棒のようで大人の女性の曲線はまだないのです
髪は三つ編みのおさげで少女そのもの

しかし男の目を惹きつける堪らない磁力を発しています
男性用のパナマ帽を被り、少女の甘さより中性的な官能さをアピールしています
靴はかかとの高いものです
そして平坦な胸でも乳房の尖端は薄い綿の生成りのドレスを突き上げているのです

15歳半の少女、しかし17歳だと気がありそうな大人の男に初対面で嘘をつく
性への憧れ、若さ故の性への衝動から始まったのは確かでしょう
相手はフランス人が見下している中国人であっても、金持ちだったのです
打算もあったのです
フランスで教育を受けて西洋人の身なりでフランス語を話す清潔そうな中国人まだ若い大人だから彼女に取って抵抗感は低いのは確か

露骨な性行為シーンもあります
しかしそれは男性の感覚のものではなく、あくまで女性が感じとったそれの描写です
中国人街の喧騒から鎧戸一枚隔てただけの、愛人用の部屋で、処女でありながら自ら身を任せるのです

本作のテーマは一体何だったのでしょうか?
西洋人の少女と華僑の金満青年との人種間の恋愛?

もちろんそうでしよう
当時は、米国での白人と有色人種との人種間恋愛がタブーであったようにこの二人もまた白い目で家族にも世間からも見られています
でもそれは一要素にしか過ぎません

西洋と東洋、フランスとベトナム、貧者と富者、少女と大人、男と女、母と娘、兄と下の兄
様々な要素が多重に折り重なって圧倒的な厚みで、この二人の関係を描いて行きます
ラストシーンで初めて少女は、これは愛であったのだと解り感情が溢れでてしまうのです
あの中国人街の青い鎧戸の愛人用の部屋は彼女にとって辛い生活の中の楽園であったのです
そのとき大きな感動があなたにもたらされると思います

身体と金だけの関係であったのは確か
しかし二人には確かな愛があったのです

カメラは、主人公を超アップで美しく写します
それだけでなくベトナムの風土も同じ以上に美しく撮っています
泥水のメコン川のまるで湖のような広さ
サイゴンの優美な街並み、中国人街の雑踏
どれもこれも本当に美しく、主人公の肢体、肌、美貌と同じだけの情熱で撮影をしています

愛人 ラ・マン
それはフランスに取ってベトナムだったのかもしれません

インドシナのことを、より詳しく知りたくなったなら、カトリーヌ・ドヌーヴ主演の「インドシナ」もご覧になって下さい
こちらも大変素晴らしい作品です

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あき240

4.0遠い日の想い

2021年4月4日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

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モビ

4.0ドキドキした

2021年2月28日
スマートフォンから投稿
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Mayu