イン・ザ・プール

劇場公開日:

解説

ちょっと変わったビョーキの患者たちが、自分よりも普通じゃない医者と出会い、なぜか癒される医療(?)コメディ。『空中ブランコ』で直木賞を受賞した作家・奥田英朗の“伊良部シリーズ”第一弾である原作『イン・ザ・プール』を、シティボーイズライブの作・演出を手がける演出家・三木聡によって映像化。劇団大人計画を率いる松尾スズキが映画初主演。

2005年製作/101分/日本
配給:日本ヘラルド映画
劇場公開日:2005年5月21日

ストーリー

現在、都市生活を営む人々の多くは、心に何らかの闇を持っている。そして、そこから来る症状とは? 伊良部総合病院の地下にある神経科に勤務する精神科医・伊良部一郎(松尾スズキ)は、病院の跡取り息子。ヒョウ柄のシャツとブーツに白衣という出で立ちも怪しいが、性格はいい加減、お気楽、マザコン、無茶、凶暴、患者への対応はテキトーで話を聞いてないし、ともかくメチャクチャである。いつも一緒にいるお色気ナースのマユミちゃん(MAIKO)は、ほとんど伊良部をシカトしているが、趣味が注射という所だけは共通。そんな伊良部が最近ハマっているのが、近所のプールで泳ぐこと。プールで泳ぐことに夢中になっている男がここにもひとり。大型アウトレットモールの開発担当・大森和雄(田辺誠一)。妻一人、愛人一人、そして仕事もできる男だ。現在抱えているプロジェクトはそれなりに忙しく、気も遣う。ストレスを感じる日々が続くようになり、偶然見た雑誌の特集記事の影響で、何となく水泳を始める。そのお陰で体調は少しずつ落ち着く。しかし、そのうちにまた忙しくなり水泳ができなくなると、てきめんに体調が悪くなる。自分ではストレスを解消するためにプールに通っているはずが、徐々に「プール依存症」に。だんだんとその症状はエスカレートし、徹夜仕事のちょっとした合間にも、プールに向かってしまう有様。一方、中堅メーカーに勤務する営業マン・田口哲也(オダギリジョー)は、ある日突然、24時間勃ちっ放しという「継続性勃起症」に悩まされるように。泌尿器科に駆け込み、たらい回された末に、伊良部の元にたどりつく。女性に対してはっきりモノがいえない、自己を発散する事ができない性格。そんな田口に対して伊良部はあっさり言う。「何か心に引っかかることがあるんじゃないですか?」。妻・佐代子は同僚と浮気をし、自分の元を去った。しかし、いまだ妻への想いは捨てがたいのか、夢を見たりしてしまう。そんな自分が情けない。しかしどうすることもできない。何をやっても治らない勃起。彼は心に引っかかりを持ったまま会社へ行き、さらには接待旅行で温泉まで行く羽目に…。取り巻く状況は悪化する一方で、病気が治る気配がない。そんな田口に対してまたしても伊良部は言う。「その別れた女の所へ行って、おもいっきり文句を言ってやろう」と…。さらに、伊良部の元を訪れている女性がひとり。ジャーナル系出版社に出入りするルポライター・岩村涼美(市川実和子)。生真面目で努力家、しかも探究心が強いので、気になると、いてもたってもいられなくなる。その性格が災いしてか、確認行為の習慣化、いわゆる「強迫神経症」に陥ってしまう。家のガス、電気はもとより、鍵を閉めたか? 果てはさっきまで自分が食べていた焼肉屋のガスの元栓を締めたかまで気になってしまうのだった。仕事も度々すっぽかし、自分でもショックを受ける涼美。そんな彼女に対して、伊良部は治療と称して様々なことをするように助言。「隣の悪徳病院に、石を投げてやれー」。そんな伊良部の強引さというか身勝手さに次第に引き込まれていく涼美だが、ある日、子供の頃の重大な過ちを思い出し、またも、いてもたってもいられなくなってしまう。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

3.5【”勃ちっぱなしは、つらいっす・・。”女性には分からないおバカな男の性癖や、数々の強迫神経症の人々の姿を描いた作品。ホント、品が無いレビューでスイマセン。】

2022年10月19日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

単純

幸せ

ー 私は、奥田英朗の「伊良部」シリーズが、大変好きである。全三作の短編集であるが、強迫神経症になった人々が、精神科医の伊良部を訪れるという基本パターンは変わらない。   特に第2作目となる「空中ブランコ」の中の”義父のヅラ”は絶品である。   何度、読んだか分からないが、とにかく面白い。  で、今作であるが、第1作の「イン・ザ・プール」の幾つかの短編を基に描かれているが、主は「勃ちっぱなし」がメインで描かれている。- ■伊良部総合病院の精神科医・伊良部一郎(松尾スズキ)はテキトーな診察でお気楽に過ごしていた。  だが、なぜか彼のもとには、その不思議な魅力に引き込まれるように患者が次々と訪れる。そしてまた、ストレスが原因による奇妙な病気に悩まされる患者が診察室に駆け込み…。 ◆感想 ・今作のメインである、何故か”勃ちっぱなし”になってしまった男(オダギリジョー)の困惑したような表情、仕草が面白い。 ー 大変、お下劣で申し訳ないのであるが、流石に不惑を迎えてからは、”滅多にはないが”(あるんかい!と、突っ込まないで・・。)男とは、哀しき生き物であり、”そういう場面になると”勃起してしまうのである。  オダギリジョー扮する男が、”勃ちっぱなし”になってしまい、及び腰で女性と握手するシーンは笑ったなあ。- ・”勃起”・・男が、好きな女性(場合によっては男性)と恋愛関係に陥った際に、”自分の意思とは関係なく起こる”下半身の生殖器官の変化。 ー 有名な話であるが(高校生あるある・・である。)、彼女と身体を交わしたいが故に、彼女を自室に迎えた際に態度は軟化しているが、下半身は硬化し、”コトが終わった際には”態度は一気に硬化し、下半身は軟化している・・。ホント、男って、自分勝手でスイマセン・・。- <今作は、”勃ちっぱなし”に加え、”イン・ザ・プール”が盛り込まれているが、原作を読んでいないと、面白さは分かるかな・・、と思った作品である、  だが、独特のリズム感と、会話の間で構成した“三木ワールド”が確立している作品ではあると思った作品でもある。>

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NOBU

2.0深夜ドラマ系です

2021年7月28日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

30年前位にテレ朝の深夜ドラマにあった感じの作品でした。今観るとオダジョーが美しいですね。

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ミカ

2.5松尾スズキ、サイコー!(笑)

2020年12月14日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

オダギリジョーと市川実日子ちゃんのお部屋のインテリアが、サイコー! 特にスーツケース利用のドレッサー!

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mamagamasako

4.0いい感じ。

2020年1月29日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

三木聡っぽいんだけど、なんか言いたいこともわかりやすくて筋が通ってる気がした。精神疾患ってドラマとか映画とかで悲観的に描かれがちでマイナスなイメージだけど、これ見たらなんかみんな滑稽でいい意味で笑えて、可愛らしい。理由なんかどうでも良くて、本当に些細なことでケロっと治ったりする。こーゆー人たちって珍しくないのかも、もしかしたら自分もそうなのかも、とか思ったり。治療してる人が一番おかしいぐらいなんだから。悲観的に、深刻になってしまうことを少し楽観的に考えられる気がした。

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いつこ