17歳の風景 少年は何を見たのか
劇場公開日:2005年7月30日
解説
常に時代と向き合いながら根元的なテーマに挑む問題作、衝撃作を世に送り続ける鬼才、若松孝二監督が、2000年に岡山県で起きた17歳の少年による母殺しの事件にインスパイアされ撮り上げた異色ドラマ。母親を殺した後、ひたすら北へと自転車を走らせる少年の姿に密着、少年が何を見、何を感じていたのかを探るように描いていく。主演は「美しい夏キリシマ」の柄本佑。
2005年製作/90分/日本
配給:シマフィルム
劇場公開日:2005年7月30日
ストーリー
あんたはいつも遠くから見ているだけだ…。富士山を仰ぎ見ながら少年はそう呟き、北へ向かって自転車をこぎだす。若者達が群れる東京・渋谷の繁華街、朝の通勤ラッシュの人の群れに逆らうように独り歩く少年。彼や彼と同世代が起こした事件についての新聞記事、ラーメンを食べながら母親を殺した少年について語り合う高校生達。母親や勉強部屋、自分が犯したことから身を引き剥がすようにして、ひたすら自転車をこぐ少年。三国峠から六日町、柏崎から象潟、男鹿半島へと北上していく、その目に映るのは北の峻烈な風景だけである。招き入れられた雪洞で大人達が交わす会話、海辺の青海川駅の待合室で出会った老人が語るその青春と戦争体験、漁業の行末を憂える猟師達……ただじっと彼等の話に耳をそば立てるばかりで何もしない少年。そんな少年が、通りかかった村の雪道に倒れ、救いを求める老婆を背負って家まで連れていく。その家で味噌汁をかけただけの飯をほおばりながら、朝鮮から連行されてきた老婆が唄う祖国の歌を聞き、チョゴリに身を包む自分と同じ年頃の少女を重ね見る。なおも続く少年の旅。竜飛岬へ、さらに北へ、もっと遠くへと続いていく。