ヴィタール

劇場公開日:

解説

交通事故ですべての記憶をなくした医学生が解剖実習にのめり込み、現実と記憶、肉体と魂の狭間を彷徨う映像叙事詩。監督・脚本・プロデューサー・撮影監督・美術・編集は「六月の蛇」の塚本晋也。音楽は塚本作品のほとんど(『ヒルコ/妖怪ハンター』をのぞく)に参加している石川忠。エンディング曲をCoccoが歌う。出演は「地球で最後のふたり」の浅野忠信、バレリーナの柄本奈美、モデル出身のKIKI。

2004年製作/86分/日本
配給:ゼアリズエンタープライズ
劇場公開日:2004年12月11日

ストーリー

医学生の高木博史(浅野忠信)は、交通事故からかろうじて一命を取り留めるが、父・隆二(串田和美)や母・慎子(りりィ)の顔さえ分からず、すべての記憶を失っていた。自分が一体誰なのか、どこにいるのか……。居場所のない自分を抱えてさまよい始める博史だったが、なぜか医学書にだけは興味を示し、大学の医学部に入学する。2年生の必須科目である解剖実習が始まり、博史の班に若い女性の遺体が割りあてられた。記憶の空白を埋めるかのように解剖にのめり込んでいく博史は、解剖を続けるにつれ、現実とは異なる世界へとフラッシュしていく。それは、左腕に刺青のある涼子(柄本奈美)という女性と自分が一緒に過ごす、甘く切ない記憶を超えた映像だった。一方、実習室では、博史へのもうひとつの強い感情がうずまいていた。同級生の吉本郁美(KIKI)は、かつて恋愛関係にあった中井教諭(利重剛)を自殺させた原因が自分にあるという思いを抱え、博史に同じ“死”の臭いを感じて接近する。しかし、博史はまるで現実感がない。博史の見る映像はじょじょに鮮明になり、彼は、もうひとつの世界で涼子がダンスを踊ったことを、涼子の父・大山三郎(國村隼)と母・のり子(木野花)に報告しはじめる。同級生のがさつな解剖のやり方に耐えられなくなり、自分の班の遺体をひとりで担当したいと、博史は、柏淵教授(岸部一徳)に申し出る。そして、その肉体を愛するかように解剖を続けていく。もう一つの世界が確かなリアリティを持ちはじめ、博史は現実を次第に見失い、様相は死体さながらになってゆく。ある日の実習で、遺体の左腕に涼子と同じ刺青を見つけた博史は、それが彼女だと確信する。恋人同士だったふたりは博史の運転する車に乗っていた時に事故に遭い、涼子は今際の際に遺言として“献体”を申し出、博史に解剖されることを望んで死んでいったのだ。博史はもう一つの世界で涼子と共に生きることを決めるが、目が覚めると涼子の姿はなかった……。やがて4ヶ月間に渡る解剖実習は終了し、博史たち遺された者が見守る中、涼子の遺体は荼毘に付されるのだった。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

フォトギャラリー

  • 画像1
  • 画像2
  • 画像3
  • 画像4
  • 画像5
  • 画像6
  • 画像7
  • 画像8
  • 画像9
  • 画像10

(C)2004 SHINYA TSUKAMOTO・KAIJYU THEATER

映画レビュー

3.0悲劇を乗り越える力

2023年3月24日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

悲しい

主人公(浅野忠信)は交通事故で記憶を無くしてしまう。
同乗していた恋人は亡くなってしまう。
主人公は大学に入り医学部へと進む。
そして解剖実習となり・・・。
悲しみを乗り越えて前に進めるのか?

コメントする (0件)
共感した! 0件)
いやよセブン

3.0死を匂わす

2021年3月25日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

興奮

知的

チョイ役でストレスが溜まる中、やっと浅野忠信を主演に塚本作品が観れる喜びと、現在進行形で廃れない二人の新鮮味。

塚本晋也が撮るラブストーリーは何処か不器用で隔たりのある感覚、そこを巧く体現できる存在感の浅野忠信による無感情な演技。

記憶を取り戻していく中、失ってしまった大きさ、二つの世界、無い世界を選択し、取り戻す大切さ、もう一人の女性、周りの優しさ、正気の今へ、素直に観れば純粋な恋愛映画と受け止められる。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
万年 東一

1.02度見ても撃沈!

2020年8月27日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

怖い

難しい

寝られる

塚本晋也監督2004年の作品。

交通事故で記憶を全て失った解剖医学生が、実習で解剖にのめり込む内に、現実と記憶の狭間を彷徨さ迷う…。

2004年のヴェネチア国際映画祭で絶賛されたらしいが、嘘付いても仕方ないので、はっきり言ってしまおう。
自分は全くダメダメだった!

一応塚本作品らしい鮮烈で不思議な世界観は展開しているのだが、最後まで意味が分からず。
何を見ているのか、何を見せられているのか。
昔一度見た時もそうだった。今回再挑戦しても撃沈。
ある意味、この作風を表しているのかもしれないが…。

主演・浅野忠信の独特の佇まい、狂気を滲ませる存在感はいつもながら見事。
魅せられたのは唯一そこだけ。(★採点も)

コメントする (0件)
共感した! 0件)
近大

3.0塚本晋也っぽくない

2020年1月22日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

エルグロ控えめ。主人公の恋人がなぜ目の光がなくなってしまったのか。もう少し背景が知りたい。親を見る限りまともそうなのに。入れ墨や事故の原因もなんかありそう。恋人の運命を知るかのように検体の希望をしたのもなんかあんのかな。踊りはコンテンポラリーダンスの先駆者?美しかった。検体そのものに興味が湧いた。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
いつこ

他のユーザーは「ヴィタール」以外にこんな作品をCheck-inしています。