雲のむこう、約束の場所
劇場公開日 2004年11月20日
解説
2002年に発表したフルデジタルの個人制作アニメーション「ほしのこえ」で一躍脚光を浴びた新海誠が、初めて挑戦した長編監督作。津軽海峡を挟んで南北に分断された戦後の日本を舞台に、世界の謎を背負った1人の少女を救うため葛藤する少年たちの姿を描いた。米軍統治下の日本。青森に暮らす中学生の藤沢浩紀と白川拓也は、海峡を挟んだ北海道に立つ巨大な塔に憧れ、いつかその塔を目指そうと廃駅跡でひそかに飛行機の組み立てにいそしんでいた。ある夏休み、2人はもうひとつの憧れの存在・同級生の沢渡佐由理に飛行機の秘密を打ち明ける。3人は一緒に塔を目指す夢を共有し、ひと時の幸せな時間を過ごすが、中学3年の夏、佐由理は理由を告げることなく転校してしまう。飛行機で塔を目指す夢もそのまま立ち消えとなり、3年の時が過ぎる。それぞれの道を歩んでいた浩紀と拓也だったが、世界情勢に暗雲が漂い、塔の秘密が次第に明らかになったことをきっかけに、2人は再会する。声の出演に俳優の吉岡秀隆、萩原聖人。
2004年製作/91分/日本
配給:コミックス・ウェーブ
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よくわからん
複雑だし壮大だし、入り込めない
映像は綺麗だけど何が言いたいのかわからなかったーーー
2021年3月9日
スマートフォンから投稿
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平行宇宙、ユニオン、南北分断の背景がほぼ語られないまま、何故かいきなり寝たきりになった少女を起こす話。
大変魅力的な設定の割にはそれらの背景が語られる事無くわけの分からんまま、「世界は滅びましたが少女は起きて少年満足です。」という内容。
これは酷い
2020年6月25日
iPhoneアプリから投稿
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少女と過ごした鮮やかな夏、そこで交わした約束。恋に似た感情の昂りは「あの夏」を過ごしたかつての少年になら、誰でも思い当たる節があるだろう。
大人になった僕たちは、最初の恋がうまくいかないことをよく知っている。夢破れ傷つくこともすでに経験済みで、だからこそ、「あの夏」の鮮やかさに目を奪われる。
物語後半、事態は急展開を見せる。「南北分断」の政治的状況が緊迫化、いつのまにか成長した少年たちによる「世界救済」の展開には、まるでエヴァンゲリオンかとツッコミを入れたくなるほど。少女の夢と塔の覚醒がシンクロしていて、並行宇宙が世界の記憶を置換するというプロットなど、まんまエヴァじゃんと笑ってしまった。とはいえエヴァ同様、哲学的なメタファーに満ち、とても興味深い。
大事な人を救いたい。世界を救いたい。その一つしか選べないという究極の選択にどう決着をつけるか。とても面白い設定だと思ったが、結末はやや予定調和的。少女は救う。しかし世界が失われないように、塔を破壊。そんな当たり前のやり方ならあんな奇襲的方法取らなくてもっていう疑問。
でもこれは虚構のアニメ。面白ければなんでもいい。
愛しい少女の存在と、この世界を同一視するのは間違っていない。好きな子のことばかり考えて1日を過ごした、かつての僕らの世界はまさに、世界=少女であったはずだ。愛する少女と夢で繋がり、ありえた可能性に思いを馳せる。その夢想は午睡の白日夢のようで、いつまでも叶わぬ夢のよう。
「いつも何かを失う予感がある」。冒頭、語られる少女の言葉が全てを物語っている。僕らは無数の可能性の中で生き、可能性の一つを選び取ることで生きることを続けている。選ばれなかった可能性は失われていき、選ばれた可能性にしても、達成されることで、やはり失われてしまう。その喪失の日々に気づかないフリをしていても、ふとした時に思い出す。「いつも何かを失う予感がある」。それは僕たちの実感なのかもしれない。
ストーリー展開は強引だけど、鮮やかな色彩で描かれる感傷的な作風は、忘れてしまった大事な記憶を呼び覚ましてくれる素敵な映画体験でした。
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この作品の伝えたいことは、「夢」である。この「夢」を叶えるためには、多くの障害があり、代償も大きい。けれどもそれを背負って生きて行かなければならないという物語である。ここでの代償とは、世界が滅びてしまうことである。結果的には、世界が滅びることはなかったが、「夢」つまり「サユリ」ともう一度会うということは世界が滅びる可能性があり、そのリスクを覚悟で助けに行く。ここが代償や罪に当てはまる。
他者のレビューで、「戦争がなぜ出てくるのかわからない」。といったコメントがあったが、これには理由がある。それは戦争が、「塔」つまり「夢」を壊そうとする描写で描かれている点である。現実世界の話で言うと「夢」を叶えようとすると、お金や家族の面で障害が出てしまうことがある。それを戦争に置き換えているだけであり、そこにディテールは不必要だ。なので戦争について詳しい説明がされていないのである。
こう見ると、「天気の子」や、「君の名は。」でも罪を背負いながら生きて行くという新海誠氏の一貫されたテーマが垣間見える。では本作品のアイデンティティというのはどこにあるのか。それは物語の冒頭にある、成長したヒロキが一人で歩いているシーンにある。左下を少しだけ見て、俯き加減で歩いているヒロキに、本編ラストの笑顔のかけらもない。これはヒロキとサユリが、今は一緒にいないことが描かれている。本編で「とても大切な、消えちゃった」とサユリが呟くシーンがあるが、これはお互いの夢を重ねることが出来なくなったことである。ヒロキとサユリの「夢」は「塔」に行くことであり、その夢が叶ってしまうと、お互いの「夢」が消えてしまうということになる。お互い「夢」を共有することによって繋がりあっていた二人が、繋がりが絶たれてしまう。つまりはそれぞれの道を歩んでいくということである。本作品は、こういった夢を叶えることの希望と絶望を表現した作品であると言える。
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