問題のない私たち
劇場公開日:2004年2月28日
解説
当時15歳の現役中学生だった牛田麻希が手掛けた小説をコミック化した同名少女漫画の映画化。現代を生きる10代の少女たちを様々なキーワードで綴り、リアルかつ鮮烈にこの年代の世界を描いている。主演は「仮面ライダー555 パラダイス・ロスト」の黒川芽以。
2004年製作/97分/日本
配給:レジェンド・ピクチャーズ
劇場公開日:2004年2月28日
ストーリー
15歳の笹岡澪(黒川芽以)は、いじめを苦にして自殺した中学生のニュースを聞いて、こう思っていた。「死ぬ勇気があるくらいなら、歯向かっていけばいいのに……」。澪は学校でリーダー的存在であり、いじめの中心人物だ。今のターゲットは、地味で行動がとろい潮崎マリア(美波)。臭いからとプールに突き落としたり、手伝ってあげると言ってマリアのノートに落書きをしたり…。そんな行為を「潮崎マリアに対する不快感への正当防衛」と称して、悪びれる様子もなく、当然のようにいじめていた。周りには澪のグループを止めるクラスメートは誰一人もいない。ある日、新谷麻綺(沢尻エリカ)が転校して来る。気さくで明るい麻綺は、あっという間にクラスに打ち解けていった。しかし、そんな麻綺が気に入らない澪は、クラスメイトに全員で麻綺を無視するように命令し、麻綺を孤立させることに成功。いじめのターゲットはマリアから麻綺に変わった。その夜、澪は家に帰ると父親(勝村政信)が、見知らぬ女性(大塚寧々)を家に連れて来ていた。幼い頃に母親を亡くし、父親との二人暮らしの生活に慣れていた澪。「同僚の松下桃花さんだ」。突然紹介してきた父親の行動はあまりに唐突で、笑顔を作る澪だったが、心の中はむしゃくしゃしていた。翌日、いつものように学校へ行く澪。だが、何故かクラス全員から無視され、自分の席には画鋲が置いてあった。そこに現れた麻綺が言う。「置いたのは私」。麻綺は澪の知らないうちに、クラス全員を味方につけていたのだ。この日から立場は逆転し、澪はいじめる側からいじめられる側となる。皆から無視され、暴力を受け、酷いイタズラをされ続ける日々。自分がやってきたことがいかに残酷なことだったかを知ると同時に、今まで親友と思っていたクラスメイトたちに裏切られた衝撃が澪を打ちのめす。しかし父親は娘のことには全く無関心で、先生に相談すれば必ず今まで以上のいじめの制裁が待っているのは分かっていた。澪はついに、死ぬことを決意する。だが、それを止めたのは、今まで澪がいじめ続けてきたマリアだった。「どんなに辛くても、がんばろうよ」。マリアの励ましで、澪は勇気づけられる。やがて、麻綺のいじめのターゲットは変わり、澪はいじめられなくなった。おとなしくしていれば、いじめられることはない。だが、もう澪は我慢出来なかった。澪はいじめを続ける麻綺を思いっきりひっぱたいた。その日から、麻綺はいじめられる側、澪はいじめる側に逆転する。ふたたび澪にすり寄ってくるクラスメイトたち。これじゃ、同じことの繰り返し…。澪はクラスメイト全員を学校の屋上に集めた。そして宣言した。「私はいじめゲームから抜ける」。屋上での一件から、クラスのいじめはなくなった。麻綺もマリアも今では澪にとって大事な友達となった。そんな中、澪の父親が桃花と再婚した。まさに公私ともに良いことが続き、ようやくこれから澪の学校生活も楽しくなろうとしていた……はずだった。そんなある日。澪は偶然コンビニで担任の教師・加藤(野波麻帆)が万引きするのを目撃してしまう。目が合い、思わず走り去る澪。その日から、加藤の澪に対する態度は厳しく冷たくなっていく。そう、これは新たな“いじめ”の始まりだった。教師から生徒へのいじめ。立場の強い者から弱い者への“いじめ”。澪の戦いはまだ終わっていない。