さゞなみ

劇場公開日:

解説

死んだはずの父親から届いた手紙をきっかけに、母と娘のそれぞれの恋のかたちを描いた静謐なラブストーリー。監督・脚本・編集は「鉄塔武蔵野線」で文化庁優秀映画作品賞を受賞した長尾直樹。撮影は写真家としても活躍する藤井保。美術設計はアートディレクターの葛西薫。台詞協力に芥川賞作家の保坂和志が参加している。出演は「パルコフィクション」の唯野未歩子、「命」の豊川悦司、「カタクリ家の幸福」の松坂慶子、「真夜中まで」の岸部一徳。「写真美術館で観る映画シリーズ」のVol.1 作品。

2002年製作/112分/日本
原題または英題:さゞなみ
配給:ザナドゥー
劇場公開日:2002年11月23日

ストーリー

温泉地として知られる山形県米沢市。市の職員として水質検査に携わる稲子(唯野未歩子)は、奥津館の源泉調査に赴き、そこで温泉についてまかされているという便利屋の男・玉水(豊川悦司)と出会う。稲子の母・澄江(松坂慶子)は、和歌山県太地町でカメラ店をひとりで経営しており、夫は17年前に海の向こうに渡っていった。噂では、ブラジルで女と暮らしているらしい。稲子は母から、父は海難事故で亡くなったと聞かされていた。ある日、山形で暮らす叔母夫婦(天光眞弓・きたろう)の元に、サンパウロの日本人会から出された澄江の夫からの手紙が届く。それを電話で伝えられ、穏やかだった澄江の心がかすかに揺れ動く。奥津館で稲子は、幼少の頃の出来事がきっかけで、今でもたまに音が聞こえなくなることを玉水に打ち明ける。そんな稲子を玉水は無言でそっと抱きしめる。いつしか彼に惹かれはじめた稲子は、意を決して玉水のアパートを訪ねる。しかし彼は破産して妻に逃げられた過去があり、幼い息子・暁がいることが判る。暁の存在に動揺しつつも、稲子は料理を作り、3人は言葉少なに食事をする。数日後、玉水は市役所を訪れ、墓参りの代行で仙台に行くので一緒に行かないかと稲子を誘う。だが、死んだ父を想いつづける母を見ていて恋愛に臆病になってしまった稲子は、応えることができない。やがて、お盆で帰省する稲子は新幹線で奥津館の主人と偶然出会い、玉水が町を去ることを知らされる。帰省中、稲子と澄江は家族の思い出の地・凌雲峡へ出かける。そこで澄江は旅館の女将から、夫が以前愛用していた水枕を渡される。それを懐かしみ、部屋でひとり涙を流す澄江。実は数日前、電話で夫の死を知らされていたのだった。澄江の泣く姿を見て、母の父への想いの深さを改めて感じる稲子。その夜玉水に電報を打った稲子は、翌朝山形に帰り、玉水のもとへ向かうのだった。

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