青 chong

劇場公開日:

解説

在日朝鮮人高校生が直面する自我の悩みを描いた青春ドラマ。監督・脚本は、本作で第22回ぴあフィルムフェスティバルPFFアワード2000グランプリを受賞した新人の李相日。撮影を早坂伸が担当している。主演は、映画初出演の眞島秀和と竹本志帆、「殺し KOROSHI」の山本隆司。尚、本作は第22回ぴあフィルムフェスティバルPFFアワード2000で、企画賞、エンターテインメント賞、音楽賞も同時受賞している。16ミリ。

2001年製作/54分/日本
配給:ぴあ(PFFパートナーズ 提供)
劇場公開日:2001年4月21日

あらすじ

“朝鮮人として誇り高く生き、朝鮮人同士の結束を大切に”と両親に育てられてきた在日三世の大成は、朝鮮学校に通う高校3年生。親友の玄基とつるんでは、なんとなく毎日を過ごしている。ところがある日、姉とチョッパリ(日本人)の結婚話や、幼なじみの奈美にチョッパリのボーイフレンドがいるという噂話を聞かされ、少なからず動揺。しかも、野球部のエースとして出場した日本の高校生との親善試合で大敗を喫し、自信も失ってしまう。玄基が止めるのも聞かず野球部を離れる大成。彼は、生まれて初めて朝鮮人でも日本人でもない自分を見つめ直すことに。そんな中、奈美の大事にしていた楽器・ヘグムの弓を壊した不良グループに仕返ししてやった大成は、奈美に野球を再開するように勧められる。そして予選試合の日。朝鮮人であること、自分らしく生きていくことに目覚めた彼は、晴れやかな表情でマウンドに立つのだった。

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映画レビュー

3.5学生映画でこの完成度はすごい

2020年7月31日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

『怒り』や『フラガール』の李相日監督の学生時代の作品であり、商業映画デビュー作でもある。学生映画が劇場公開まで行くだけでもすごいが、ナラティブな完成度の高さに驚く。監督自身のルーツでもある朝鮮高校の青春を描いた作品なのだが、マイノリティの悲哀にとどまらず、自分は何者であるのかという普遍的な自己形成の葛藤を描いている。「関係ねえよ、俺は俺だ」という最後の台詞は、シンプルだがここに至るまでの葛藤を丁寧に描いている。結局最後は自分が生きたいように生きるしかない、しかし、その結論を安易に出さずに悩み抜くプロセスこと大切だと本作は描いている。
作風は、本人も認めているが、北野武監督の作品の影響が色濃い。編集による時間の飛ばし方や省略話法、ブルートーンの映像、独特の切り返しのタイミングなど、『キッズ・リターン』を思わせる画がいくつか出てくる。
しかし、監督自身の脚本を織りなす物語は間違いなくオリジナリティにあふれている。主演が有名になる前の眞島秀和なのも感慨深い。

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杉本穂高

3.0チョッパリって久々に耳にした

2025年6月26日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

楽しい

2001年公開作品
初鑑賞
U-NEXTで鑑賞

監督と脚本は『スクラップ・ヘブン』『フラガール』『悪人』『怒り』『流浪の月』の李相日

李相日監督のデビュー作
当時は27歳

第22回ぴあフィルムフェスティバル
グランプリ・企画賞・エンターテインメント賞・音楽賞 4賞受賞作品

神奈川の朝鮮学校に通う在日朝鮮人の若者の青春物語
眞島秀和のデビュー作

粗筋
朝鮮学校軟式野球部が日本の公式大会に出場できることになった
打倒日本人に燃える彼らではあったが練習試合は強豪横港高校相手に27対0のコールド負け
すっかり自信を失いしょぼくれてしまう朝鮮学校野球部の皆さん
その一方で野球部のエース楊大成の姉が自宅に男を連れてきた
結婚するのだという
相手は日本人ということで両親は猛反対
でもなんやかんやで許された
その一方で大成のクラスメイトの尹奈美の彼氏が日本人ということでクラスの男子に誹謗中傷されていた

映画学校の学生の作品としては上々
予算がない中でも非凡な才能を感じた

この作品を公開した当時のインタビュー記事も読むとしっくりとくる

在日問題に関してはどっちもどっちでお互い差別しあっていると
在日は被害者意識も持ちすぎずに前向きに生きろと
日本人は知ったうえで「関係ない」と思ってほしい
お互いの壁を壊したいという思いが伝わる

在日問題というタブーを笑いにしている青春コメディー
タイトルも攻めている
朝鮮語では「青」は「チョン」と発音する
差別用語とかけている
「蒙古斑のイメージ。青くて恥ずかしい青春時代の象徴」と監督の弁
たけしブルーの影響もかなり受けている

配役
朝鮮学校野球部のエースの楊大成に眞島秀和
朝鮮学校野球部でキャッチャーの趙玄基に山本隆司
大成のクラスメイトの尹奈美に竹本志帆
朝鮮学校野球部で補欠の李青福に有山尚宏
大成の父に湯澤勉
大成の母に金東姫
大成の姉に清水由佳
大成の姉の婚約者で辛い物が苦手な鈴木に西川方啓
朝鮮学校の校長に小木曽玲一
朝鮮学校の野球部監督に藤原孝哉
朝鮮学校の女教師に呉星姫
朝鮮学校の男教師に池慶秀
コンビニ店員に越川一彦
趙玄基が木村として働いているバイトの先輩の斉藤に斉藤麻美
朝鮮学校野球部にインタビューにやってきたアナウンサーの大宮玲子に木村郁世
クラスの不良に久保和明
クラスの不良に枦山浩司
クラスの不良に小池直道
地下道の不良に徳永亮太
地下道の不良に八代定治

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野川新栄

3.5【李相日監督って、大学時代からヤッパリ凄かったんだ!在日朝鮮人の高校生達の日常をクスクス笑える描写多数で描いた作品。】

2024年8月20日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

知的

幸せ

ー 在日朝鮮人高校生たちの日常を描いた作品となると、どうしても「パッチギ!」を思い出すが、今作でも在日朝鮮人の高校生達の日常や、恋や、朝鮮人としての誇りと言うテーマを、決して重くならずに描いている点が、若き、李相日監督の映画センスを感じるなあ。-

■在日朝鮮人学校に通うテソン(スンゴイ若い眞島秀和さん。ビックリ!)は、朝鮮人として誇り高く生きるよう教育を受けながら、在日朝鮮人高校で、野球部に入り平和な生活を送っていた。

◆感想<Caution!内容に触れています。>

・今作で描かれるテーマはともすれば重くなりがちだが、それをコミカルに描いている。

 1. 姉が日本人であるスズキサンと婚約したことで、スズキサンを家に連れて来るが、父は無視、母は敢えてすんごく辛そうなスープを飲ませる。スズキサンは頑張ってスープを飲むが咽る。序でに父も咽る。可笑しい。

 2.高野連に高校野球地方予選出場を認められるが、日本人学校と練習試合をして、ぼろ負けする一連の流れ。
   そして、ピッチャーであったテソンは、一度は野球部を辞めるが、幼馴染のユンナミが日本人と付き合っている事から苛められている事を知り、彼女と海岸で野球をして、再びマウンドに上がるのである。

<その他にも、男子朝鮮高校生が、チョゴリの匂いを更衣室で、コッソリ嗅いで居たり・・。あー、可笑しい。
 今作は、在日朝鮮人高校生たちの日常を、さり気無く日本と朝鮮の軋轢を盛り込みながら、けれどもコミカル描いた作品である。
 この作品の延長上に「フラガール」が、あったのかなあ。>

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NOBU

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