若者たち

劇場公開日:

解説

同名のテレビドラマでコンビを組んだ山内久がシナリオを執筆、森川時久が劇映画初の監督をした青春もの。撮影は「怪談」の宮島義勇。

1967年製作/87分/日本
配給:(自主上映)
劇場公開日:1968年12月16日

ストーリー

太郎、次郎、三郎、オリエ、末吉の佐藤きょうだいは早くから両親を失い、設計技師である長男の太郎が、弟妹たちの面倒を見てきた。ある日、雑用一切を背負わされてきた高校生のオリエが、堪え切れずに家出してしまったことからいろいろな問題が露呈してきた。末吉の大学受験問題、食費の分担金のこと、運転手次郎の事故等々、それらは、長い間、堅く団結してきたきょうだいの間を、気まずくさせるほど、現実的な問題だった。オリエはしばらく友だちのアパートに身を寄せたが、勤め先が倒産して行商をやっているマチ子を見て、生活のきびしさを知った。そんな時、オリエは原爆孤児の戸坂と知り合い、次第に惹かれて行った。一方、太郎は会社とある事故の処理をめぐって対立し、学歴を持たぬ下積み労務者の悲運を痛感していた。大学生の三郎は授業料値上げ反対の学園闘争の中で、学友の河田靖子や小川の、積極的な生き方に共鳴するものを覚えるのだった。ある日、次郎は行商中のマチ子と会い、彼女を励ました。ところが、数日後、そのマチ子が信頼してすべてを許した争議団の指導者に裏切られ、自暴自棄になって酒場の女給になっているのをみた次郎は、激しい言葉で説得して再び働く仲間に引き戻した。また、生活の厳しさを知ったオリエは、家に戻ってくると、自分も兄たちと同じように働きに出ると主張した。兄たちは反対したが、オリエの決心は堅かった。やがて大学の入学試験が始ったが、末吉は不合格の憂目にあい、大学へ行く気はないと言って、学歴の社会的価値を知る太郎に叱られ、喧嘩になった。また、オリエも、兄たちの反対を受けながらも、戸坂と結婚したい旨、自分の決心を述べた。翌朝、太郎の仕事場に来た末吉は、働きながら勉強をつづけると言って、兄を喜ばした。しかし、彼らきょうだいの苦闘は、まだこれからが本番だった。

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映画レビュー

4.0鉄男ファンとして

2024年8月18日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、VOD

悲しい

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okaachan

4.51970年大阪万博より3年前の映画

2023年3月22日
iPhoneアプリから投稿

観た後に、大切な人と話したくなる。
アイデンティティ形成時の心情を描いたこんな映画がすきだ。

ご飯茶碗を箸で鳴らして食べるシーンが頭に焼き付いて
今夜は家で家族で飯食いたいなって思ったよ。

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りょう

4.0高度経済成長期が舞台だが、ここに描かれている社会問題は50数年経った現代でも根本的に変わっていない。時代に関係なく人間社会が宿命的に持たざるを得ない問題なのか…令和の若者たちはどう感じ考えるだろう…

2022年6月6日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

①お気楽な大学生だったけれど現代社会の矛盾とか問題とか結構真剣に考えていたなぁ。就職して仕事の忙しさにいつの間にか流されてしまったけれど。定年過ぎたけどまた当時の熱さを思い出した。②本当に良く出来ているのはオリジナルのTVドラマの方。ドラマの初め部分をリメイクしているのでやや軽めの作り。③長男と次男とは高等経済成長を支えたブルーカラー。長女もやはり女工(死語かな)として靴工場で働いている。三男は頭が良いということで長男と次男とが働いた金で進学した大学生。時代が学生運動盛んな時代の為どうしても理想主義(正論ではあるんだけど)に走り、兄弟を育てるために理不尽な事や矛盾と妥協して我慢して働いて来た現実的な長男と事あるごとにぶつかってしまう(私も父親とぶつかりましたね。)末っ子の四男は受験生。それぞれがそれぞれの境遇で当時の若者たちが直面している問題にぶつかり、悩み、時には乗り越え、時には挫折する姿を描いた物語。④どんぶり飯をガツガツ食うシーンに続いて(どんぶり飯をガツガツ食うのが若者の象徴みたいな時代だったんだね)、もーれつな兄弟喧嘩のシーンから始まる。一つ屋根の下に住んでいても個室なんてないしプライバシーもなく、お互い言いたいことを言い合って取っ組み合いの喧嘩も辞さない。もう令和では見られない光景(平成でもそうか)。⑤俳優座協力の映画なので、ベテラン・若手併せて俳優座の役者が多く出演。栗原小巻も若くてまだ頬が丸い。⑥小川真由美も若っ!長男(田中邦衛)が好きになる女性役だが、好きな男に他の女(重役の娘)に鞍替えされた経験から、男を選ぶ目が打算的になってしまったということを自己嫌悪を漂わせながら自嘲的にだが覚悟を持って長男に告白して去っていく女性の複雑な心理を若いながら好演している。

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もーさん

3.0筋を見るより社会を見る映画

2022年4月18日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 1967年、戦後22年、マタゾウ生誕3年。東京の、恐らく特別に豊かではない方の家族と関係者の生活が描かれる。親代わりをしてきた長男が自分と同じ苦労をさせまいと、三男四男には大学に行けとうるさい。恩着せがましくもあるその態度に家庭内はいつも殺伐としており、寺内貫太郎一家のオリジナルかとも思われるような家庭内プロレスが何度も登場する。背景には学歴差別や被爆者差別など当時の社会課題が取り上げられる。オリンピックは過ぎていてもまだまだ貧しさと戦わなければならない層が確実に存在していた。
 考えてみると先日見た「ベルファスト」と同じような時代だが、こちらはリアルタイムだ。

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またぞう