ムツゴロウの結婚記

劇場公開日:

解説

動物をこの上なく愛し、動物と暮しながら何ものにも束縛されない人間になりたい、と願い行動した畑正憲の同名小説を映画化した青春喜劇。脚本は満友敬司と今関健一、監督は脚本も執筆している「恋は放課後」の広瀬襄、撮影は「塩狩峠」の竹村博がそれぞれ担当。

1974年製作/89分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1974年4月27日

ストーリー

大畑正、通称ムツゴロウは大学の動物学科で、愛する動物たちを相手に日々を送っている。だが、九州にいる父の八造は、ムツを医者に育てたく、ムツが医学部へ通っているものと信じこんでいた。学生運動の闘士・根岸、終末論をぶつヒゲ、マージャン気運いの杉田、ムツと同じ下宿の悪友どもで、皆、見てくれは悪いが、陽気で、人間臭く、ムツにとって信頼できる仲間である。ムツには、九州に明子という恋人がいる。高校時代から愛し合っている仲で、ムツが東京に来てからは、毎日のように手紙のやりとりが続いている。ある日、ムツは急に明子に会いたくなり、九州に帰ろうと思った。ヒッチハイクもままならず、国道をトボトボと歩くムツを、ミツバチを追って九州へ向かう一行が、トラックに同乗させてくれた。美しい九州の山なみの中に、ムツと明子の楽しそうな姿が映えた。「無人島へでも行こうか」「ステキだわ」「その時は明子も一緒だぞ」一方、八造はムツを一人前の医者にするため、医者の娘と結婚させようとしていた。そして、ムツが東京に戻った後、八造は明子にムツとの交際をやめるように頼んだ。明子は、ムツが動物学料にいること、そして絶対に別れないことをきっぱりと言った。その日明子は倒れた。結核が悪化していたのである。飛んで帰って来たムツの顔を見て、明子の目から涙がこほれた。その夜、二人は結ばれた。就職シーズンである。根岸は銀行に、ヒゲは建設会社に行くことになった。しかし、下宿で就職祝いを行なった直後、根岸は職をけって、姿をくらませた。しばらくして、ムツは思いきって明子を東京に呼んだが、研究室に残ったムツには全く収入がなく、明子は、自分がムツの学問の妨げになると感じ、一人寂しく九州に帰った。自分の無力さに失意の日々を送っていたムツのところに、根岸がひょっこり現われた。彼は、ムツが以前世話になったハチ屋の娘と結婚し、ハチ屋として独立したのだ。根岸の帰った後、ムツ宛に一通の速達が届いた。明子と二人で問い合わせていた北海道の無人島の返事である。夢が実現したのだ。ムツは急いで九州に帰り、父の反対を押しきって、結婚式をあげた。北海道--遥か海上に小さな島か見える。小舟の中のムツと明子の表情は、悔いのない人生を生きている者のみが持つ自信にあふれていた。

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