震える舌のレビュー・感想・評価
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思えば思うほどゾっとする
肉体的にも精神的にも最も辛いのはもちろん破傷風に侵された昌子であり、苦痛に苛まれる演技は凄まじく、強烈な印象を打ち付けられる。
しかしそれ以上にこの作品において特筆すべきは、両親の憔悴の過程であると思う。両親が精神を蝕まれる要因として以下があげられる。
1. 昌子の痙攣。
痙攣が来ることはすなわち昌子が血を流し苦しむことである。タイミングを把握しきれないため絶えず緊張を伴う。
2. 暗い部屋、密室状態。
日の光を浴びないとヒトが持つ概日リズムが崩れ、セロトニンが十分に分泌されず、鬱になる。
3. 音や光の刺激。
1にも関係するが、痙攣のトリガーとなるため音や光の刺激に対し、過剰に反応してしまう。
4. 医療器具の物々しさ。
容態が悪化するにつれ使用する装置、器具が大型化する。
まだまだ挙げられそうだけど私が思いつくのはこのくらい。まだありそう。
現代では、憔悴するまでの機序がある程度明らかになっているが、それを作者が学んだか類まれなる観察眼によって作品という形にしたのだと思うと、この作品の深さが伺える。
そして両親の精神状態に関して言えば、これは我々にも起こりうることだと訴えている作品とも言えるはず。途中昭の母が登場し、昭が幼少期に病に罹った時のことを指し、次はあなた達の(辛くとも子を見守る)番が来たという旨を話す。この映画は当時こそ破傷風の恐ろしさを訴えたかもしれないが、むしろどの病であろうと、心を病むほど大切な人を心配するような出来事は身の回りに溢れているのである。それがたまたま沼に棲む菌だっただけで、新型コロナでも、交通事故でも、通り魔でもどこにでもある危険性なんだと思う。私はそのことこそがとても怖ろしいと思った。
【現実的なホラー映画。昭和の演技が圧巻】
・1980年に製作された「破傷風に罹った少女と、その家族の物語」です。主な出演者は、(父親役)渡瀬恒彦さん、(母親役)十朱幸代さん、(少女役)若命真裕子さん、(主治医)中野良子さん、です。
[物語]
・1980年製作という古い映画なので、ホラー映画として「どう落とすか」が見えず、逆に新鮮でした。個人的にラストは「え?この終わり方?」となりました。
[演技]
・少女の演技がとてつもなく上手でした。具体的には、痙攣の演技、破傷風に罹って喋らない演技、破傷風に罹る前の笑顔と罹った後の無表情のギャップ、が良かったです。
・父親役の渡瀬恒彦さんはわかないながら安定の演技。一方。母親役の十朱幸代さんは、一見、昭和な棒読み演技に見えますが、絶望の淵に立たされた時は迫真の演技です。これによって絶望的な状況にとても共感することができて、一層恐怖感が増します。
[音楽]
・ホラー映画でありながらバッハのクラシックをぶつけてくることで、不気味さを一層盛り上げます。
[演出]
・終始、暗い照明・空間が恐怖を一層あおってくれます。具体的には以下です。
- 冒頭、河原で遊ぶ少女のシーン。照明無し。そのままの光。
- 破傷風ゆえに病室が暗室状態になる。
- 家でもほとんど照明を使っていないような暗さ。いわば社宅そのままの光を利用する。
- 家のメイン電気も周りに装飾用の布を被せて少しでも暗くする。
[全体]
・ホラー映画といえば、「日常とはかけ離れた恐ろしいもの(未知のウィルスや幽霊など)に襲われる」という認識がありましたが、こちらの映画では日常にしっかりと存在する「破傷風菌」というウィルスに襲われた家族、というちょっと意外な観点の物語でした。にもかかわらず、しっかりと恐怖させてくれる映画の強さ、を感じます。医療の進み破傷風に悩みづらくなった現代の視点で見ても恐ろしく感じるということは、1980年の医療状況下でこの映画を観ると、本当に恐怖したことでしょう。当時。「絶対に子供に泥遊びをさせない!」と思う親御さんが増えて当然ですね。今でも見応えのある「現実的ホラー映画」な一作でした。
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両親の愛情が薄い!!
初っ端から少女がストレス下に置かれていて、渡瀬・十朱夫婦の毒親臭が凄いです。父親は中盤から娘が死ぬ死ぬ言い出し、「お前が死んでもお前以外に子供は作らない」等とポエムを語るようになりますが、ラストは「うな重特上食いに行くぞ!」とケロッとしていました。母親は初めから愛情が薄く、ギャーギャー言って役に立たない感じでした。総じて私の両親にそっくりなので、毒親とはその時代特有のものなのだろうかという気づきがありました。病室のシーンは明かりが無くずっと暗くて観辛いですし、女医の演技が鼻に付きました。少女が苦しそうにしているだけで全然怖くなく、間延びして退屈ですし、チェロの音色も謎で、一体どの層を狙ったのかと言うマニアックな映画だと思います。現在に当てはめると、前半・コロナ怖いよー!!→後半・コロナ怖いよー!!で具体的な内容はあまりない映画だと思います。5chのコピペに釣られると、つまらなくて時間を無駄にします。
2020年4月18日 #震える舌 鑑賞 破傷風に侵された少女とその...
トラウマ安打製造機としての実績高い!!
トラウマモン
破傷風菌に侵され、恐ろしい症状に見舞われる娘昌子を献身的に支えた昭と邦枝の夫婦を描いたトラウマモノの闘病作品。
映画の良し悪しはさておき、自分は今作を観てしまったことを少し後悔しています。
もちろん娘の昌子を始めとしたキャスト陣は素晴らしい演技をみせてくれたのですが、その迫真すぎる演技と当時の映像の質感も相まって、破傷風の尋常じゃない恐怖が描かれていて、思わず目を背けたくなるシーンばかりの作品でした。
観るまでは破傷風に侵された娘が奇行や珍言を繰り出すような作品と思っていましたが、全編において瀕死のか細い呼吸で、光が当たる、大きな物音がするだけの条件で口から血を出さんばかりの絶叫や痙攣を繰り返される昌子を繰り返し繰り返し綴っていく内容で終始辛い気持ちなってしまった。
作品のコンセプト的には的を外してはいないし、素晴らしいメッセージ性のある作品なんだろうとは感じたが、もう少しハッピーなー展開が多くても良かったのではと感じた。
ラスト数分まで息が詰まるような作品でとても辛かった。
ラストがハッピーエンドで心の底から良かったと思えた作品だった。
子どもの頃
胸の芯にまで食い込む稀有な作品
怖かった
本気で怖かった。
病院での待合室の雰囲気がリアルにあって恐ろしい。
闘病生活に精神が磨耗していく両親も
女の子の濁音混じりの呻き声も痙攣で跳ね上がる体も舌を噛んで顎が真っ赤に染まっているのも怖い。
父親の、なにも罪を犯していないのに
こんなに苦しんで死んでしまうのなら、
一生子どもを作らずにずっとお前だけを愛するからねという独白や、病気に語りかける訴え。
母親の病室のドアを開けるのが凄く怖かったという声が
追い詰められるような気持ちにさせる。
破傷風の症状が本当怖い…
夜に見て泣いてしまった。
心霊とかサスペンスとかとは違う恐怖。
怖かった…でも治ってよかったよ…
小さな女の子が口内の血を吸出されるシーンも苦しい。
女の子の意識がやっと戻って怖かった、チョコパイ食べたいっていうシーン…もう泣いてしまう
お父さんが治った娘にリンゴジュース買って走るシーンが、缶ジュース抱き締めて泣き出すシーンが来てまた泣く。
娘がチョコパイやだ、ポテトチップス食べたい!って言うんですって
お母さんが笑ってお医者さんに言うところも本当に泣ける。
やっと元に戻れた、良かったとほっとする。
家族の愛情vsおぞましき病魔
当時はホラーと思ったが
実は破傷風にかかった娘の闘病記。
土中に潜む細菌によって引き起こされる症状はオーバーに描けば充分なホラーに。
夫婦の混乱は本当に酷い。
この映画を見たら、「お外で遊んだら手を洗いましょう」と言う親は物凄く増えると思う(笑)
ラストに「恐かった」と話す娘に涙しそうになります。
因みに予告編では煽りにあおった内容があり、悪魔が宿ったとかホラー仕立てになってます。
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