花物語

劇場公開日:

解説

太平洋戦争末期、花作りの盛んな千葉県南房総を舞台に花を守り愛した実在の女性の姿を描く。田宮虎彦原作の小説「花」の映画化で、脚本は「ムッちゃんの詩」の小森名津が執筆、監督は同作の堀川弘通、撮影は「快盗ルビイ」の丸池納がそれぞれ担当。

1989年製作/96分/日本
配給:大映
劇場公開日:1989年7月15日

ストーリー

太平洋戦争末期、食料難は深刻だった。あちこちで花畑も野菜や穀物に転作されていた。そんなご時世にもかかわらず、花の栽培に夢を託すハマに村人たちは“非国民”と陰口を叩いていたが、ハマは小さな善兵衛畑の花だけは残そうとしていた。次男・作次は母親を亡くし実家に身を寄せている近所のゆり江と仲がいい。長男・勇一は杉子と恋仲である。そんな時、食糧管理法が施行され、すべての田畑に食物を植えることが義務づけられた。花を栽培することは、明らかに法を犯すことになる。勇一は、作次が止めるのも聞かず、善兵衛畑の花を引き抜くのだった。落ち込むハマだったが、雑木林の片隅の吹きさらしの谷に小さな荒地を見つけた彼女は、そっと水仙を植えつけるのだった。戦争はどんどんひどくなり、夫の五十次には再び召集が、勇一は予科練を志願した。そんな悲しみを紛らすかのようにハマは谷の花をひたむきに守り続けるのだった。しかし、この花も何者かに引き抜かれてしまい、戦争は花を咲かせる自由すら奪った。そんな時、ハマに五十次の戦死が告げられた。そして終戦の日が来た。戦争から戻った父親と再会したゆり江を目の前にしたハマは、勇一が戦争から戻って来るのを願いながら、花の栽培に励むのだった。

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