殿さま弥次喜多 怪談道中

劇場公開日:

解説

ニセの弥次喜多怪談道中記で「少年探偵団 鉄塔の怪人」の小川正の脚本を、「ひばり捕物帖 かんざし小判」の沢島忠が監督、「鴬城の花嫁」の坪井誠が撮影した。「清水港の名物男 遠州森の石松」の中村錦之助・中村賀津雄に、「怪猫からくり天井」の大川恵子、「血汐笛」の桜町弘子、「鴬城の花嫁」の雪代敬子などが出演。色彩は東映カラー。

1958年製作/85分/日本
原題または英題:Ghost Story on Passage
配給:東映
劇場公開日:1958年7月13日

ストーリー

尾州六十万石と紀州五十五万石の若殿、徳川宗長と徳川義忠の二人は、偶然知り合った江戸町人弥次・喜多と計り、両方の身分をとりかえて気まぐれ旅に出ることになった。すっかりいい気分になった若殿二人がまず出合ったのは巡礼娘の怨霊。ふとしたきっかけから娘の怨みを買い、娘は自害して二人にとり憑いたわけだ。この幽霊に追われて箱根に辿りついた二人は、山賊雲右衛門一味とぶつかる。幽霊には弱いが悪者には強い両若殿、苦もなくネジ伏せて三島宿へ。ここで二人の行方を探す家臣をまいて女歌舞伎小春一座へ飛込む。花形役者たちの歓迎、に二人はいいゴ機嫌だ。やがて由井の宿。と、またしても怨霊! だがよく見れば巡礼娘には足がある。自殺した巡礼娘とこの娘は全然別ものだったのだ。この巡礼お小夜の危難を救うため、二人は有金全部はたいて無一文。大井川の川人足の仲間に入る。折から弥次・喜多扮するところのニセ若殿のお通り。本モノ二人は彼らの蓮台をかついで川の中へひっくり返る。途端に轟く砲声。それは宗長の命を狙ったものらしい。若殿たちは蓮台をひっくり返した罪で掛川の牢屋入り。そこへ紀州・尾州の両家老、鏡兵部と堀田帯刀がやっと本モノの若殿を見つけ出しに来た。手引をしたのはいつかの巡礼お小夜と、鉄砲の名人権兵衛である。両若殿はお小夜から意外な事実--尾州国家老坂崎大膳の大陰謀--を聞いて愕然。しかもお小夜は大膳から偽りの事実を教えこまれ、宗長を父の仇と狙っていたのだ。小夜の姉も同様、怨霊にばけて宗長の父君宗真を狙っているという。権兵衛も大膳一味に踊らされて、ニセ者とも知らず蓮台に発砲したのだ。--すべてを聞いた二人は若殿姿に返り、暗雲低迷する尾州へと一路馬を走らせた。

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映画レビュー

3.0中村錦之介と中村嘉葎雄の兄弟コンビが嵌るミュージカル風幽霊喜劇の東映時代劇の潔さ

2023年5月15日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

中村錦之介と中村嘉葎雄の兄弟が共演した東映娯楽時代劇。制作された昭和33年(1958年)は日本における映画館数が最大ピークに達した年で、言わば映画興行の絶頂期にあった時代です。これ以降テレビの普及が進み映画館の数が減っていく。それは偶然にも、この年の12月23日に竣工した東京タワーによって、テレビの時代が始まろうとしていた転換期に当たります。主演の中村錦之介こと後の萬屋錦之介の映画は、翌年の内田吐夢監督、有馬稲子共演の「浪花の恋の物語」しか観ていません。これは近松と歌舞伎を融合させた舞台劇の優れた様式美が素晴らしく、テレビ見学でしたが深く印象に残りました。これだけの知識で、この作品を語る資格はないのですが、素直に感心するところと面白さに、改めて映画の楽しさを痛感してしまいました。

先ず素晴らしいのは、中村兄弟の息の合った若殿振りであり、錦之介の既に完成された演技、それは時代劇に不可欠な殺陣は勿論、台詞の口上と殿様から町人まで演じる身のこなしの巧さです。二十代半ばの若さの溌剌さと演技の熟度が一つになった、流石の存在感と安定感があります。対して二十歳の嘉葎雄は、兄と比べて演技力は劣るも、何より屈託のない明るさが輝いて爽やかな魅力に溢れている。60万石の尾州と55万石の紀州の殿様役のキャスティングが嵌り、ふたりのドタバタ振りが楽しめる喜劇として立派に成立しています。驚くべきは、この1958年の錦之介の出演作品が13本を数え、つまり一か月に一本以上のペースを1954年のデビュー以来続け、また59年まで6年間は十本以上に出演していることです。日本映画全盛期の映画スターの需要の高さに驚嘆するしかありません。それでいて娯楽作品として手を抜いていない。これは凄いことだと思いました。

今回初めて知る監督の沢島忠は、錦之介の代表作「一心太助」も同時期に演出した名匠として有名とありますが、年齢がこの時監督デビュー二年目の32歳にも驚きました。若くとも短期間で撮影するテクニックと実力を持ち合わせていたのですね。小川正の脚本含め、無駄なショットは無く、テンポ良く物語は進展して、クライマックスの名古屋城でのアクションシーンまで引き付けます。天守閣の上で立ち回る嘉葎雄と城内の階段を一つ一つ上がる錦之介の見せ場の見せ方、そこまでの急展開にみせるカットバックの巧みさ、そして錦之介が変身する映画的な工夫もお見事です。
昭和30年代は、映画館にエアコンが無い時代で夏の風物詩として幽霊映画(個人的には化け猫映画)が上映されていました。そしてダークダックスが歌を披露して出演(但し4人とも清々しい大根)までしています。ミュージカル風幽霊喜劇時代劇のバラエティーに富んだ娯楽映画の潔さ。

ヒロインお小夜を演じた大川恵子の名は初耳です。でも益田喜頓、山東昭子(後に国会議員になる役柄ではない)、田中春男、進藤英太郎と役柄を全うしていて、顔だけは見覚えある悪役専門の役者も何人かは分かりました。これら含め、気楽に楽しめる東映時代劇を身近に感じて満足しました。

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Gustav

3.0入れ替わりコメディ

2020年12月14日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

二人の殿様(萬屋錦之介、中村嘉葎雄)が弥次さん喜多さんになりすまし、気まぐれな旅を楽しむ。
心ならずも恨みをかってしまい、お化けに悩まされたりするが、お家騒動では大活躍。
唄も踊りもあるミュージカルコメディ時代劇。

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いやよセブン

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