天国にいちばん近い島

劇場公開日:1984年12月15日

解説

父から教えられた“天国にいちばん近い島”を探しに出かけた少女が、その島を見つけ、成長してもどってくるまでを描く。森村桂原作の同名小説の映画化で、脚本は「時をかける少女(1983)」の剣持亘、監督は「廃市」の大林宣彦、撮影も同作の阪本善尚がそれぞれ担当。

1984年製作/102分/日本
配給:東映
劇場公開日:1984年12月15日

あらすじ

桂木万里は、ドジで根暗な高校生。彼女は5歳の時、南太平洋に浮かぶ小さな島・ニューカレドニアの名を、父・次郎がしてくれたおとぎ話で知った。そこは、神さまのいる天国から、いちばん近い島だという。万里にとって“天国にいちばん近い島”は父と一緒に行く約束の場所だったが、突然、その父が亡くなった。“天国にいちばん近い島”を自分の目で確かめてみたいと思った万里は、母・光子に相談し、冬休みのニューカレドニア・ツアーに参加する。島に着いた彼女は、一人自転車でヌメアの街に出、すみずみの景色を見て回るが、何か違うように思えた。万里はそこで、日系三世の青年・タロウと出会い、名も聞かずに別れた。ふとしたことで、中年男の偽ガイド・深谷有一と知り合った万里は、彼のガイドを受けることになった。彼女から“天国にいちばん近い島”の話を聞いた深谷は、イル・デ・パン島に連れて行くが、そこも万里が想っていたものと違っていた。万里は、タロウを探しに市場に出かけ彼を見つけた。そしてタロウに教えられたウベア島へ、一人船に乗って出かける。万里はウベアで、島の人達の歓迎を受けるが、ここもまた違っていた。そんなことを考えながら、海辺を歩いていた彼女は、エイを踏んで倒れショックで熱を出す。そのため、ツアーの帰りの飛行機に乗り遅れてしまった万里は、ホテルを追い出され、ヨットで一晩明かそうとしているところを警察に保護された。身元引受人としてタロウが迎えに来て、万里は次の飛行機が飛ぶまで、タロウの家にいることになった。ある日、祖父・タイチから観光客を好きになるなと注告されたタロウは、もうすぐウベアに行かなくてはならないからと、ヌメアのホテルに彼女の部屋をとったことを告げる。その日、万里は自分に嫌気がさしドラム缶の風呂の中で泣いた。次の日、エッセイスト・村田圭子と戦争未亡人・石川貞が訪れた。貞の夫が死んだ海を一緒に見に行った万里は、貞から人を好きになることへの誇りを教えられる。万里は、貞たちのいるホテルに移り、そこで深谷と会う。深谷と圭子は、元恋人同士であった。二人は万里の言葉で、20年ぶりに愛を確かめ合った。その夜万里は、荷物の中からタロウの手紙とお金の入った袋を見つけた。手紙には「このお金で日本に帰って下さい」とあった。貞にお金を借りた万里は、タロウのいるウベアに飛んだ。タロウは子供たちに紙芝居を見せていた。万里は、彼にお金を返し私にも見せてほしいと言う。二人は、紙芝居が終わった後、「私の天国にいちばん近い島を見つけた。それは眼の前にあります」「僕もニッポンを見つけた。それは万里さんです」と告げ合った。日本に帰国した万里は、以前と変わり明るい女の子になっていた。

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映画レビュー

2.5 0229 新婚旅行がニューカレドニアだったもんで

2024年10月11日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

1984年公開
嫁さんが新婚旅行はニューカレにしましょう!
どこそれ?
フランス領?
クラブメッド?カニか?
時差なし。8時間直行。
サイクリングしようぜ!
嫁さんの自転車はブレーキが壊れていた。
1日口聞いてもらえなかった。
イルデパン。真珠の海。でも行き来は小さい飛行機。
アメデ灯台。行き来は船。
聖子ちゃんの唄をギターで弾き語る現地のオジサン
歌詞が適当でサイコー。

別に原田知世は好みではない。
てか角川春樹の好みは全く同意できまへん。
50点
製作 角川映画 配給 東映

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共感した! 2件)
NWFchamp1973

2.0 原作は森村桂

2022年12月5日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

大林節全開の角川映画で、当時の若い女性に支持された森村桂が原作。
主人公(原田知世)は女子高生、父を亡くし、生前約束していた天国にいちばん近い島を求めて、ニューカレドニアに行く。
そこで日系三世の若者(高柳良一)と出会い・・・。
風光明媚とはここのことかな。

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いやよセブン

2.0 1984年の日本人ツアー旅行

2022年8月13日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:TV地上波

単純

幸せ

本作はほぼ全編ニューカレドニアロケで作られた、いわばリゾート映画ですが、よく見てみると戦後、復興、高度成長、学生・空港闘争、これらがみな一息ついてしまって、でもまだのちにバブル景気云々と言われるほど日本産業・経済が過加速しているとは分かってなかった頃わずか数年間の日本の空気感がよく感じられる作品です。

当時“漢”のみの部活とバイクに没頭(こう書くとカッコいいな‥)していた頃の自分は見向きもしなかった(鑑賞するお金もなかった)ですが、若者の皆さんの間では結構話題となり(角川筆頭に雑誌・イベント影響力も巨大だった)、色々なものと原田知世が流行しました。

と、映画の中身ですが、長年の予想通り大したものはありません。役者さんは懸命に演じているしロケ先の風景とその画の構図は綺麗ですが、撮影の光の具合が平坦、音声がまるでラジオ朗読劇、台詞回しが大林演出を超えて単調で陳腐、そしてそれらを気にしてしまうと物語進行(それも文字通り“微妙”)にも集中できません。

ただコレを「南国リゾートホテルの豪華パンフレット」とか、「ゆるいラブストーリー仕立ての観光紹介ビデオ」と思って見ればそれなりに落ち着いて楽しめます… スミマセン大林監督、私はアンチではありません(「ねらわれた学園」とかはまあ酷かったけど)。

いくつかの意味でエポックメーキングだったことは事実な映画で、少し懐かしい気分にもなれて感謝の作品です。同時代以上の方々以外には多分全くワケ分からないレビューでスミマセン。

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keebirdz

3.0 ここが、天国にいちばん近い島

2021年6月1日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

楽しい

幸せ

大林宣彦監督1984年の作品。

グズでドジでのろまな女子高生、万里。彼女は幼い頃、父が話してくれたニューカレドニア諸島の何処かにある“天国にいちばん近い島”に憧れていた。
父が急死し、彼女は決意する。ニューカレドニアの旅行ツアーに参加。“天国にいちばん近い島”を探しに…。

旅に出たのはいいものの、自分でツアーにはぐれたりとトラブル続き。
そんな時出会った人々。
非公認のガイド、深谷。ダンディーな大人の男性。峰岸サンがカッコいい!
戦争でニューカレドニアの海に散った夫に会いに来た老婦人。乙羽信子がさすが気高く。
現在で暮らす日系人三世青年、タロウ。高柳良一が好青年。お互い、仄かな感情を…。
メルヘン×ノスタルジックの中にも込められた反戦への訴え。
開幕やその音楽、深谷と老婦人に同行した女性エッセイストのロマンスは往年のハリウッド映画のよう。大林色、お遊びも。
異国の地での経験、出会いを経て、少女は上っていく。大人という階段を。

はっきり言って他愛ないストーリー。
“天国にいちばん近い島”も見ている内に、それが“場所”じゃない事も何となく察し付いた。
全てがご都合主義、予定調和。
でも、それでもいいのだ。
本作が映画主演3本目。原田知世の初々しい魅力まだまだたっぷり。彼女のアイドル映画でもある。
そして何より、誰もが絶対思う。行ってみたい。ニューカレドニアの美しい島々、海、空の風景。
これらを見て、癒されるだけでいいのだ。

劇中での印象的な台詞。
万里はニューカレドニアを天国のように憧れていた。
タロウはまだ行った事の無い日本を夢の国のように思っていた。
それぞれの国、住む人によって感じ方は違う。
この地球上に“天国にいちばん近い島”はあるのかな、と。
それとも、気付いてないだけで、今私たちが居る所が“天国にいちばん近い島”なのでは、と。

Wikipediaによると…
映画公開の翌1985年、ニューカレドニアはフランス植民地に対する独立運動が激化。撮影中も緊迫した雰囲気があったらしいが、作品にはそんな雰囲気は微塵も無く、酷評を浴びたという。
でも…
これが政治的なドラマだったら描いて当然。
しかし本作はあくまで一人の少女のメルヘンチックな自分探しの旅。そこに血生臭い政治色を入れたら作品がブレてしまう。
本作を見て当時、あまり馴染み無かったニューカレドニアへの旅行がブームになったという。
現地に着いて、独立運動に驚愕もしたであろう。
後の判断は個人に委ねる。
何が“天国にいちばん近い島”だ!? 怖くてもう来たくない!
そう思った人もいただろう。
でもその一方…
惨状を目の当たりにして、何か出来ないか。現地に着いて、初めてニューカレドニアの真実を知った。もっとよく“天国にいちばん近い島”を知りたい。
映画は時に、そんな事を教えてくれる。

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近大