ジャンル付けが馬鹿馬鹿しくなる程にパワフルで圧倒的センスに溢れた映像作品。
全編にわたって感じる塚本監督の異常なまでの美術へのこだわりにただただ圧倒されるばかりでした。お口あんぐり。ワケワカメ。ストーリーは考察ブログなどを読んで初めて理解しました(笑)もうひたすら「俺の芸術を見てくれー!」って感じ。もはや映像の暴力です。
その暴力的なまでの映像美にグロ、ホラーの要素が絡んで、緊張感のあるシーンが続きます。ストップモーションを多用した演出は非常に面白く、効果的で、わけのわからない謎のスピード感を味わえます。男が鉄にまみれていく姿も細部までのこだわりを感じられ、俳優の演技もあっておぞましい演出となっております。この美術面と演出面でのセンスとこだわりに、さらにインダストリアルミュージックが響き、唯一無二の世界観を構築しております。すげぇな、この作品。
ただし、観客に対する親切心は皆無。時系列が前後する突拍子もないストーリー、一度観ただけでは到底理解できない設定、少ないセリフ。多くの人達が置いてけぼりを食らったことでしょう。しかし…それでも最後まで魅入ってしまう。取り憑かれたように、この世界観に引き込まれてしまうのです。
この映像の暴力に、私も完全にノックアウトされました。この凄まじいまでのインパクトはきっと忘れることはないでしょう。でも生涯ベスト5には入れない。だってわけわかんないんだもん(笑)