太平洋の地獄

劇場公開日:

解説

製作のルーベン・バーコヴィッチのストーリーを、「殺しの分け前 ポイント・ブランク」のアレクサンダー・ジェイコブスと新人エリック・バーコヴィッチが脚色、「殺しの分け前 ポイント・ブランク」のジョン・ブアマンが監督した。撮影は「冷血」のコンラッド・ホール、音楽を「女狐」のラロ・シフリンが担当した。出演は、日本側から「祇園祭」の三船敏郎、アメリカ側から「殺しの分け前 ポイント・ブランク」のリー・マーヴィンの2人。製作総指揮は、ヘンリー・G・サバースタインとセリッグ・J・セリッグマン。

1968年製作/アメリカ
原題:Hell in the Pacific
配給:松竹映配
劇場公開日:1968年12月21日

ストーリー

第2次世界大戦の末期。南太平洋のカロリン諸島の小島に1人の日本海軍大尉(三船敏郎)が漂着し、飢えと孤独の中で生きる道を求めていた。ある暴風雨の夜、その島にアメリカ海軍少佐(リー・マーヴィン)が救命ボートでたどり着いた。(ここで2人を仮に、その皮膚の色で、ブラウン、アメリカ人をレッドと呼ぶ)2人は、豪雨の中で会った。が互いに、その正体がわからぬまま、ただ不安がつのるばかりだった。翌朝、ブラウンは、救命ボートを発見、昨夜の化物の正体がアメリカ兵であることを知った。灼熱の太陽はレッドの喉を灼いた。そしてついにブラウンが水を貯めてある貯水布に近づいた。ブラウンは眠ったふりをしてレッドをつかまえようとしたが逃げてしまった。そこで、ブラウンは煙でレッドを森からいぶり出すことにした。が、レッドは出てこなかった。翌日、水をめぐって2人の闘いは続いた。そして遂にその翌朝、レッドはブラウンの捕虜となった。しかし、この特殊な環境の中で勝者と敗者にどれほどの違いがあろうか。2人の間には無益な疲労感が残るだけで、ブラウンもレッドを捕虜扱いしている無意味さに気がついた。2人はこの疎外感を救うにはほかの世界へ脱出するしかないという気持ちに到達、筏をくんで外海に出た。そして数日後、ついに第2の島へ着いた。その島にも人影はなかった。が、そこは旧日本軍の陣地であったらしく、建物、軍服、酒、缶詰などが見つかった。生きられたという気持ちがゆとりとなったのか、2人は初めて友情を感じ、酒をのみながら、言葉もわからないままに身の上話を始め、徹夜で騒いだ。そうしているうちに、ブラウンはふと手にしたライフ誌の中に日本兵の死体の写真を見た。ブラウンの心にレッドは敵だという意識がわいた。だが、2人はお互いに闘いの空しさを知っていた。今日もまた島は、南海特有の美しい朝をむかえた。互いに正装し、2人は、敬礼を交わし、それぞれの方に去っていった。

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映画レビュー

4.0太平洋ふたりぼっち

2020年5月3日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 南太平洋の孤島に日本兵とアメリカ兵が漂着した。魚を採り、水を溜め、サバイバル精神に溢れていた日本兵三船と、敵対心を剥き出しにするアメリカ兵リー。ジャングルへと逃げ込んだリーに対して三船は火を放って燻りだそうと試みる。さらに水を求めて、小さな争いが繰り返す二人だったが。

 言葉の通じない二人。お互いその言葉を理解しようともしない。威圧的な態度によって捕虜にしたり、捕虜にされたりと力のバランスも見事に描いている。しかし、殺してしまおうという考えは双方とも持っていないし、中では一方的に料理させようとするリーが面白い。

 そんな一進一退の二人の関係も、このままでは死ぬのを待つだけだという気持ちが通じ、筏を作って近くにあるはずの大きな島を目指すことになったのだ。後半はこの無謀とも思える筏での漂流、海上サバイバル映画と変化し、何度も苦難を乗り越えて島に到着する展開だ。

 筏の移動とか、かなり金がかかっていそうな雰囲気。言葉が全く通じないことを徹底していたりするのもいい。筏作りからは友情も芽生え、到着した島は日米どちらが占拠しているのかとワクワクさせられる終盤なのです。シュールなエンディングにも驚愕!ちなみにこのページにある“あらすじ”は全く違います。

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kossy
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