セーラー服と機関銃

劇場公開日:

解説

遠い血縁関係にあるヤクザの親分が死んで跡目を継ぐことになった女高生が四人の子分と、対立する組織に戦いを挑む。赤川次郎の同名の小説の映画化で、脚本は「陽炎座」の田中陽造、監督は「翔んだカップル」の相米慎二、撮影は「獣たちの熱い眠り」の仙元誠三がそれぞれ担当。

1981年製作/112分/日本
配給:東映
劇場公開日:1981年12月19日

あらすじ

四人しか子分のいない小さなヤクザ、目高組の親分が跡目は血縁者にと遺言を残して死んだ。その頃、女高生の星泉は、成田空港の前で車に轢かれて死んだ父・貴志と火葬場で最後の別れを惜しんでいた。泉が帰りかけたとき、中年の男が父の遺骨に線香をあげていた。泉の母はずっと昔に亡くなって、これで彼女は本当の一人ぼっちだ。泉がマンションに帰ると、マユミという女がおり、彼女は「もし自分が死んだら泉をよろしく」という父の手紙を持っていた。フーテンの様な格好のマユミはとても父の愛人には見えない。その日からマユミと一緒に暮す泉。翌日、黒いスーツを着こんだ大勢の男たちが学校の前に並んでいる。泉のとりまき、智生、哲夫、周平が止めるのを無視して、泉は校門に向った。すると、あの火葬場にいた男が歩み出て「星泉さんですね」と言う。佐久間というその男に汚ない事務所に連れていかれた泉は、そこで、目高組四代目組長を襲名してほしいと頼まれた。佐久間の話では、親分の遺言通り血縁者を探しあてると、事故死したばかりだった。それが泉の父だ。だから、跡目は血縁者の泉に回ってきたのだ。かたくなに拒否した泉だが彼らの熱意にしぶしぶ承諾してしまう。目高組は佐久間の他に、政、ヒコ、明の三人しかいない小さなヤクザだ。その日から、泉は佐久間に連れられ大組織の組長、浜口のところへ挨拶に行った。可愛い組長に浜口は驚くと同時に笑いだすが、佐久間は大真面目だ。数日後、泉のマンンョンが何者かに荒されていた。そこへ、黒木と名乗る刑事がやって来た。黒木は「泉の父の死は、麻薬の密輸が絡んでおり、そのために部屋が荒らされたのでは、そして、マユミは札付きの不良娘だ」と話す。父が麻薬を密輸、泉にはとても信じられない。さらに、マユミも姿を消してしまった。その日から数日後、組の事務所の前にヒコの死体が投げだされていた。暫くして、マユミから泉に電話が入り、二人は会った。マユミの父は、“太っちょ”と呼ばれる、浜口も恐れるヤクザの大親分だと言う。そして、太っちょが動くときは必ず麻薬が絡んでいるそうだ。泉のマンションが再び何者かに荒され、かつての佐久間の弟分、萩原に、ボディガードの明が殺され、彼女は太っちょの所に連れて行かれた。麻薬を渡せと太ょちょに迫られ、泉があわやというときマユミがやって来て、麻薬のありかを教えるから彼女を助けるように話す。娘の願いで泉を解放する太っちょ。そこへ、あの刑事の黒木が現われた。黒木は刑事の特権を利用して麻薬を密輸していたが、あの日、成田の取締官に追われ、麻薬を隣にいた泉の父のバッグに投げこんだのだ。ところが、その父が死んでしまった。一方、愛人だったマユミは麻薬を見つけ、それを水に溶かしローションの瓶に入れてあると話した。早速、黒木はマンションに向った。その夕、佐久間が現われ、泉を連れて逃げだした。後を追おうとする太っちょの前にマユミが立ちはだかり、父を撃った。そこへ、マンションの黒木から電話が入り、浜口組の奴に麻薬を横取りされたと言うと、息絶えた。泉と佐久間は政を連れて浜口の所へ向った。「太っちょを殺ってくれたし、麻薬も手に入った、お礼に目高組のシマを広げてあげよう」と言う浜口の言葉を無視して、泉は、机の上にあるローションの瓶に機関銃をブッ放した。しかし、そのドサクサで政が殺され、佐久間と二人きりになった泉は目高組を解散することにした。佐久間は堅気になると言って故郷に帰った。数日後、警察から泉に死体を確認してほしいと呼び出しがあった。佐久間だった。サラリーマンになって東京に出張に来た佐久間はヤクザ同士の喧嘩を止めに入って殺されてしまったそうだ。泉のマンションには、佐久間のサラリーマンの名刺に書かれた伝言が置いてあった。「出張で東京に来ました。留守なのでブラブラしてまた来ます」と。泉は話すことのない佐久間の唇に自分の唇を重ねるのだった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第5回 日本アカデミー賞(1982年)

ノミネート

話題賞 作品部門/俳優部門  
話題賞 作品部門/俳優部門 薬師丸ひろ子
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映画レビュー

4.0角川映画で大人になった

2024年10月28日
iPhoneアプリから投稿

私は角川映画を観て育った。
主題歌だってほとんど歌える。
その影響なのか自分はちょっと変わった発想をする子供だったように思う。
ちょっと変わった発想って?
それは「17歳になったら黒のダブルスーツに身を包んだヤクザのおじさん達が学校の正門前にズラリと並び自分を出迎えに来てくれるだろう」と言う、まあ発想と言うかは妄想?いや憧れのみたいなものが兎に角あった。
セーラー服を着た女子高生がある日突然、目高組なる弱小ヤクザの4代目組長を襲名しいぶし銀の兄貴分や陽気な若い衆と兄弟の盃を交わす事になる。そしてクライマックス、新興勢力の悪徳ヤクザ組事務所で彼女は正義の機関銃を撃ちまくる。まさにタイトルそのままにセーラ服と機関銃の世界観である。その非日常的なストーリー展開に子供ながらワクワクしたものである。
私にはそれこそが映画だった。
兄貴分の佐久間を演じた渡瀬恒彦さんは当時30代後半だったはず。自分はその年齢をいつの間にか追い越してしまった。大人が今以上に大人だった時代。自分の命をかけて誰かを守るとか本気で誰かに惚れるとか私が憧れ目指した大人は角川映画の中にいたように思う。結局、憧れのままでしたけど。
いや、今からでも遅くない。その憧れにちょっとだけでも近づけるよう慣れ過ぎた生活から抜け出してみるのも良し。セーラー服と機関銃を口ずさみながらね。

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ychiren

3.0圧巻の長回し

2025年5月19日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

笑える

興奮

カワイイ

ストーリーはあってないようなもの。

次はノーカット「完璧版」を観たい。

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YOU

5.0単なるアイドル映画ではない、大いに実験的で野心的な演出で、今でも語りつがれる理由も納得です。

2025年5月17日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

興奮

カワイイ

惜しまれつつ25年7月27日に閉館する「丸の内TOEI」さんにて「さよなら丸の内TOEI」プロジェクトがスタート。同館ゆかりの名作80作品以上の特集上映中。
今週は角川映画特集。
『セーラー服と機関銃』『時をかける少女』の豪華2本だて。

『セーラー服と機関銃』(1981年/112分)
ご存じ薬師丸ひろ子氏が一躍国民的トップスターへ駆け上がった代表作。
監督は相米慎二氏、薬師丸氏とは監督デビュー作『翔んだカップル』(1980)以来2度目のタッグ。
すでに何度も鑑賞してますが鑑賞するたびに新たな発見がありますね。
いわゆる主演アイドルの笑顔のアップがバンバン多用される【アイドル映画】ではなく、ひたすら望遠のロングショットと、ほぼすべてのシーンがワンカットの長回しで圧巻。
ほとんど寄りのアップショットがなく、あまつさえ移動ショットでは樹木がキャストに被ってしまうほど。
通常なら「ここで切り返してアップ」が定石のシーンでもロングの長回しで、脇の目高組トリオや柳沢慎吾氏、光石研氏が演じる高校生トリオはほとんどアップがなく最後まで個々の判別がつかずですが、その徹底ぶりは芸術の域。特に地蔵菩薩から暴走族と遭遇、バイクを借りて新宿通りを疾走するシーンは5分近くのシーンは壮観ですね。
単なるアイドル映画ではない、大いに実験的で野心的な演出で、今でも語りつがれる理由も納得です。本作での長回しの試行錯誤が『ションベンライダー』(1983)、そして『台風クラブ』(1985)と洗練されていきますね。

薬師丸氏も前作『翔んだカップル』で監督と気心が知れていたのか、監督の意図する演出に忠実でしたね。逆にアップのシーンが少ないので、佐久間真(演:渡瀬恒彦氏)との別れのキスのシーンなどがより強く印象に残ります。

クライマックスの機関銃を撃つシーンは、ヘロインを溶かして隠した瓶の破片が、薬師丸氏の頬に直撃、実際に流血しているのですがカットせず続行、OKテイクにしたのは、スローモーションシーン、流行語にもなった「カ・イ・カ・ン」のセリフともあいまって映画史に残る軌跡のシーンになりましたね。

ラスト。
目高組の仲間全員と別れ、元の女子高生に戻った泉が、新宿東口の歩行者天国でセーラー服姿に赤い口紅と赤いヒールを履いて、マリリン・モンローのようにスカートをひらめかす長回しに、本人歌唱の「セーラー服と機関銃」が流れるエンディングは、薬師丸ひろ子氏の神々しい魅力と歌声で、何度観てもグッと来ますね。

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矢萩久登

3.0さよなら丸の内1

2025年5月17日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

さよなら丸の内のプログラムで観て参りました。
天涯孤独になった少女が祖父の遺言で、ヤクザの組事務所を襲名して、奮闘するという話。
ずっと昔に小説は読んでましたが、映画はテレビで見たきりでした。
今回、せっかくの機会なので劇場に足を運びました。

それにしても
話の流れや成り行きが強引過ぎる印象でした。
このヒロインの行動に当時はどう共感とかあったのかなぁ。
展開が早いやら、常識が違いすぎるやらで
あまり物語に集中出来ず。

あの名場面、「……カイカン……」の前後や繋がりが観れたのは良かった。
このセリフのおかげでヒットした映画なんじゃ?
薬師丸ひろ子の綺麗さは当時はわからなかったけど、今見るとやっぱり違うな、という印象。

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のんさば

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