人生劇場 飛車角と吉良常

劇場公開日

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解説

尾崎士郎の原作『人生劇場・残侠篇』を、「代貸」棚田吾郎が脚色し、「宮本武蔵 巌流島の決斗」の内田吐夢が三年ぶりに監督した。撮影は「裏切りの暗黒街」の仲沢半次郎。

1968年製作/109分/日本
配給:東映

ストーリー

大正十四年。八年ぶりに上海から故郷に戻った吉良常は、亡き主人青成瓢太郎の子瓢吉を尋ね、東京に出た。瓢吉は文士になるため勉強していたが、中学時代の恩師黒馬と同居していた。吉良常も瓢吉の家に腰をおろすことになった。その頃、砂村の小金一家と貸元大横田の間にひと悶着が起った。飛車角が大横田がやっているチャブ女おとよを足抜きさせ、小金一家に匿ったからである。飛車角は宮川や小金らと殴り込みに加わり、大横田の身内丈徳を斬って勝利を収めた。しかし、飛車角は兄弟分の奈良平が裏切っておとよを連れ出したことから、奈良平を斬った。そのため飛車角は巡査に追われ、瓢吉の家に逃げ込んだのだった。留守宅を護っていた吉良常はすぐさま何が起ったかを悟る。詮索せずに酒を勧める吉良常に飛車角は感謝し自首することを決意するのだった。小金の計らいでおとよに会える算段が整えられていたが飛車角は会わずに自首する。しかし、おとよはそのまま行方をくらましたのである。四年の歳月が流れた。宮川は玉ノ井の女に惚れ、毎日通っていた。宮川の知らないことだったが、それはおとよだった。仲間はそれと知って忠告した。小金一家にとって飛車角は大恩人なのだ。しかし、おとよに惚れ込んだ宮川は二人で逃げようとしていた。一方、吉良常はおとよに、飛車角に面会に行くよう勧めた。だが、おとよの心はもう飛車角にはなかったのだ。苦悩するおとよは、瓢吉の青春の想い出となったお袖と共に姿をくらました。やがて飛車角が特赦で出所した。すでに小金は病気で世を去り、丈徳の跡目を継いだデカ虎に寺兼も殺されていた。そのころ瓢吉は懸賞小説に当選し、大陸に渡ることになった。吉良常は、瓢吉が男として名を上げるまで墓は建てるな、と遺言して自殺した瓢太郎のために、今こそ墓を建てる時だと思って飛車角と共に吉良港に発った。飛車角はそこの旅館でおとよと再会する。溢れる気持ちでいっぱいとなった二人に吉良常は「昔は昔、今は今と言うことにして角さんを気持ちよく酔わせてやってくれ」と優しく助言するのだった。その晩海に入水しようとするおとよを飛車角が止める。そしてそのまま二人は感極まり抱き合う。吉良常は長年の疲れで病床に伏し、やがて瓢太郎かたみのピストルを銀杏の梢に向けて撃ちつづけながら、その生涯を閉じたのだった。その折り、飛車角を丈徳の仇を狙うデカ虎、そのデカ虎を狙う宮川も吉良港にやってきた。宮川は単身、デカ虎が草鞋を脱いだ杉源一家に殴り込みをかけ、全身を斬りきざまれながら果てた。そのことを知った飛車角は杉源一家とデカ虎と渡りあい宮川の仇を討ったのだった。飛車角は宮川の死体をおとよに託すとただ一人、立ち去って行った。

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映画レビュー

3.5任侠オペラ雛形シリーズの完成形

2014年12月4日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

泣ける

興奮

知的

人生劇場飛車角の1963を何度か観た。他の人生劇場シリーズは観たことがないのだが、この二作を知る限り比較しながら観た。

基本的なプロットは同じだが、この1968制作の飛車角と吉良常は内田吐夢が監督。あの『飢餓海峡』を撮った後だという。

同じ話を何度も映画化していて俳優さんもすこし変更しているがだいたい同じ面子。それでも客がはいった時代。芝居小屋でみるお芝居が映画になった感覚だろうか。そんなオペラ的ともいえるヤクザものの芝居だから客もつぎにどのような展開になるかわかっていて観ている筈。
後半宮川と飛車角を小金の墓前でひきあわせるなど、1963版よりも演出が洗練されてかなり見やすくなったように感じた。

とはいえ5年前の鶴田も高倉ももうすこし色っぽい印象だったのだが。ノリノリでやってる辰巳柳太郎がいい。ヒゲも程よく白くなっていて様になっている。
全体的に俳優たちのモチベーションというかエネルギッシュさがつたわってくるのは1963の飛車角のような気もする。が、改良はされているのもよくわかる一本だ。1963のラストシーンはノワールぽい終わり方だったので後味がかなり悪かったが、これはもうすこし観やすい。

暇があればヤクザ映画の原点、人生劇場シリーズを見比べてみてはいかがだろう。

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