昭和残侠伝 唐獅子牡丹
劇場公開日:1966年1月13日
解説
「昭和残侠伝」でコンビの山本英明と松本功が共同でシナリオを執筆、第一作以来コンビの佐伯清が監督した“昭和残侠伝”シリーズ第二作目。撮影は「おんな番外地 鎖の牝犬」の林七郎。
1966年製作/89分/日本
配給:東映
劇場公開日:1966年1月13日
ストーリー
大谷石の特産地として名高い宇都宮の石切場は、榊組をはじめとする、幾つかの組の者が仕切るならわしだったが、新興勢力左右田組の組長寅松は榊組をつぶし、縄張りを拡張しようともくろんでいた。この寅松には弥市、宗二、徳三の三人の息子がいたが、いずれも暴れ者揃いで町中の鼻つまみものになっていた。そうしたなかで花田秀次郎の弟分清川周平の許婚者くみに、弥市が横恋慕した。周平を思う秀次郎の弱味につけこんだ寅松は、周平、くみの縁結びを条件に榊組三代目秋山幸太郎を秀次郎に斬らせた。それから七年の歳月が流れ、秀次郎は刑務所を出た。今では石切場は、左右田組がはばをきかせ、幸太郎を失った榊組は、未亡人八重の必死の努力もむなしく斜陽の一途をたどるばかりであった。秀次郎は出所するとすぐ、心ならずも斬ってしまった幸太郎の墓参に寄った。そこには八重と幸太郎の忘れ形見和夫の姿があった。何も知らない和夫は秀次郎に甘え、八重も心よく秀次郎を家に招いた。そのころ榊組には、この山の持主田代栄蔵の口ききで陸軍省から石千トンの注文が舞いこんでいた。榊組は今までの不況をこれで一気にもり返そうと張切つた。だが一方の左右田組は御用達の注文から外され面白いはずはなく、手段を選ばぬ非道ぶりで、榊組の仕事を妨害した。またそのころ、影に陽なたに八重を助けて罪のつぐないをしようとしていた秀次郎も、八重をだまし続けることが出来ず、幸太郎殺しを八重に告白した。ちょうどその時、幸太郎と八重を結ばせるため自から身を引いて満州に渡っていた榊組の元幹部畑中圭吾が帰ってきた。事情を知った圭吾は秀次郎と対決した。しかし八重が必死に二人を止め、二人はその場を去った。が、目指すところは二人とも同じだった。寅松のいる左右田組に向う途中二人はばったり顔を合せた。志を一つにする二人は、互いの非をわび、ガッチリと手をにぎり合った。まず圭吾が、単身左右田組に殴り込み、宗二と相討ちで倒れた。そして次は秀次郎--凄絶な死闘の末秀次郎は寅松、弥市、徳三を斬った。よろめきながら一人山を降りる秀次郎の背中の唐獅子牡丹が鮮かであった。