祝辞

劇場公開日:

解説

専務から息子の結婚式で祝辞を述べてくれと頼まれた万年課長の姿を、彼の家族と会社を舞台に描く喜劇。脚本は「俺ら東京さ行ぐだ」の高橋正圀、監督は同作の栗山富夫、撮影も同作の安田浩助がそれぞれ担当。

1985年製作/91分/日本
原題または英題:Congratulation Speech
配給:松竹
劇場公開日:1985年12月28日

ストーリー

大手会社の庶務課長の早乙女良介は、定年を間近に控えた万年課長。彼の家族は、妻・絹代、高校生の娘・房枝、母・みよ、それに演劇に夢中で勘当中の息子・宗八郎である。ある日、良介は専務から、息子の結婚式のスピーチを頼まれた。口下手な彼は悩みに悩む。絹代は訪ねてきた宗八郎から、自分たちの芝居のファンでOLの宇佐美恭子と結婚すると聞き、うろたえてしまった。宗八郎は「お父さんにはお母さんから話してくれ」と帰って行った。良介は本を買ってきたり、ビデオを見たりとスピーチの準備に頭をかかえている。それでもいい案の浮かばない彼は、アナウンサーだった友人・原田一郎を訪ねることにした。絹代は宗八郎のアパートに電話をかけ、彼が同棲していることを知る。そして、休日にアパートを訪れ、恭子に会って驚いた。恭子はしっかりした良家のお嬢さんだったのである。絹代の心は緩んで来たが、問題は頑固な良介をどう説得するかである。良介はようやくこれだというエピソードを思いついた。帰宅するなり、スピーチの原稿を書き、家族に読みあげる良介。絹代も房枝も満足そうだった。その夜、良介は絹代に「宗八郎に厳しくあたりすぎたかもしれない、ママには感謝しているよ」と語った。結婚披露宴の当日、良介の前に谷村部長のスピーチが始まった。それを聞いてみるみる良介の顔が青ざめた。彼がようやく考えついたエピソードそのままなのである。スピーチに立つが、動転している良介は「私には二人の年頃の子供がいる」と言ったきり絶句。そして「おめでとうございました」だけで終わる。ガックリして帰宅した彼は家族にあたり、会社をやめると言いだす。そこに専務から電話がかかり、新婦の両親が良介の感情のこもったスピーチに感激していることを告げた。

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映画レビュー

5.0財津一郎さんを偲んで 「配信してちょーだい」

2023年11月11日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

悲しい

楽しい

10月14日慢性心不全のため東京都の自宅にて89歳で他界

レンタルビデオで1回
テレビで1回
今回AmazonでVHSを購入し3度目の鑑賞

監督は『俺ら東京さ行ぐだ』『釣りバカ日誌』第1作から第10作『花のお江戸の釣りバカ日誌』の栗山富夫
脚本は『俺ら東京さ行ぐだ』『釣りバカ日誌5』『釣りバカ日誌7』の高橋正圀

あらすじ
専務の息子が結婚するという
課長の早乙女良介は専務から結婚式の祝辞の頼まれた
部長曰くナントカがつくほど真面目で融通が利かない早乙女良介管理課長
祝辞の内容に四苦八苦悩み苦慮する良介
専門書を数冊買い部長のすすめで専門のビデオを鑑賞し必死に原稿を書く良介
その一方で良介の勘当息子宗八郎も交際中の宇佐美恭子との結婚を決意していた
恭子は父に結婚を反対され家を飛び出し宗八郎と同棲を始めていた
宗八郎の母は2人が住むアパートに行き恭子に好印象を持ったが良介の結婚反対は変わらなかった
北海道出身の部下の東田と社内食堂で雑談をしながら専務の息子の逸話を思い出し帰宅後原稿を書き上げ自信たっぷりの良介
しかし専務の息子の結婚式当日に良介の前の番で部長が話したスピーチの内容は良介が話す内容と全く同じだった
この大ピンチで頭が真っ白になった良介どうする

脇役のイメージが強い財津一郎の珍しい主演映画
監督の実績を鑑みてなぜDVD化されないのか理解に苦しむ
おそらく松竹が会社全体として忘れてしまったのだろう

VHSのパッケージは工藤夕貴がウエディングドレスを着てるが彼女が結婚する役でない
その方が見栄えがいいからだろう
当時の若手人気女優であり大物歌手井沢八郎の娘でもある
一種の忖度だろう

工藤夕貴演じる房枝が同級生の仲良しの女友達と自宅の固定電話で楽しくおしゃべりするシーンがある
長電話を咎める母親
時代を感じさせるシーンだ

房枝が2時まで起きて深夜ラジオで流れた曲を録音したテープに良介が勝手に自分の練習スピーチを重ねて録音してしまい娘に抗議されるシーンがあった
これもまた時代を感じさせる

長電話のシーンのあと房枝がコカコーラを飲み直後ゲップするシーンがあるがあれは普通はNGだろう
コーラを飲んでゲップをする若手女性俳優を映画でいま観ることがあるだろうか
昔ならコーラの一気飲みで再ブレイクした赤信号のリーダーがいたが芸能人でゲップを披露するのは他にあの人くらいだ
工藤夕貴はあまり気にしないかもしれないが彼女が可哀想だ
そののちにハリウッドにも進出した才女だけにあのシーンは撮り直ししてほしかった
その日のフィルムがもうなかったのだろうか

宗八郎は劇団で演出をしている
劇団は下北沢にありかつてあった第三舞台のようだ
稽古をしているシーンで数名の劇団員の中に若き日の筧利夫と筒井真理子がいるが誰が誰だが自分には判別できなかった

財津一郎は課長の役だが課長には見えなかった
どう見ても常務の貫禄だ

若い頃オペラ歌手志望だけあって良介が度々歌い上げるシーンがある
財津さんはわりと歌が上手い

特にふざけているわけでもなく戯けているわけでもないのになぜか財津一郎が面白い

父母と息子娘のジェネレーションギャップも面白い

石倉三郎演じる電車で一人言を喋る男の2度目の登場シーンは笑えた
これが天丼ってやつか

スピーチの相談をするため旧友に久々に会いに行ったら彼は妻に先立たればかりで相談どころか亡くなった妻の思い出話を聞かされるシーンもなんだかおかしかった
2人とも特別にふざけた言動なんてしてないのに笑えるんだ
これが良質なコメディーなんだろう

良介が妻にありがとうと感謝するシーンはほろっとする

部長のスピーチが終わったあとの良介のリアクションがたまらない
いざスピーチする沈黙のシーンも
財津一郎は唯一無二の名優だ

昔の映画のためエンドロールはない
昔は一般的なオープニングロール
本来映画はこうあるべきだと思う
不足分はパンフレットなどでカバーすれば良かろう
ハリウッド映画に至っては地獄だ

配役
大手に勤める定年間際の万年課長の早乙女良介に財津一郎
良介の妻の絹代に林美智子
良介の息子で演劇にのめり込み勘当中の息子の宗八郎に山口良一
良介の高校生の娘で宗八郎の妹の房枝に工藤夕貴
良介の母のみよに賀原夏子
宗八郎の婚約者でOLの宇佐美恭子に和由布子
絹代の友人の照子に鷲尾真知子
電車で一人言を言う男に石倉三郎
良介直属のグータラ部下の東田泰平に柄本明
岩崎専務の息子で良介直属の部下の岩崎範道に山下規介
岩崎範道と結婚する松本に宮沢和子
岩崎範道の大学時代の友人で結婚式の司会を務める南村に鈴木ヒロミツ
会社の忘年会で接待する芸者の菊丸に神崎愛
良介の部下で会社を辞める椿佑子に飯星(当時「飯干」)景子
宗八郎が演出する劇団の俳優の1人に筧利夫
宗八郎が演出する劇団の俳優の1人に筒井真理子
北海道転勤を嫌がり会社を辞めようとする西口課長に三谷昇
良介が勤める会社の谷村部長に前田武彦
良介が勤める会社の岩崎専務に内藤武敏
良介が勤める会社の社長に有馬昌彦
良介の同級生でアナウンサーの原田一郎に植木等

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野川新栄

4.0隠れた名作!DVD希望

2016年3月19日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

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ピニョン