社長三代記
劇場公開日:1958年1月3日
解説
「サザエさんの青春」の笠原良三の脚本を「青い山脈(1957)」「続青い山脈」のコンビ、松林宗恵が監督、小原譲治が撮影したサラリーマンもの。主演は「猫と庄造と二人のをんな」の森繁久彌、「続々大番 (怒涛篇)」の加東大介、「続サラリーマン出世太閤記」の小林桂樹、「青い山脈(1957)」の司葉子、「青春航路」の雪村いづみ、団令子、扇千景、それに越路吹雪、中田康子、トニー・谷など。
1958年製作/86分/日本
原題または英題:President 1
配給:東宝
劇場公開日:1958年1月3日
ストーリー
福島電機工業は創立十周年を迎え、関西から初代社長未亡人ヨネと末娘トメ子も列席して、折しも盛大な祝賀会が催されていた。ヨネ未亡人の前に出ると、口も八丁、手も八丁の二代目社長啓太郎も子羊のよう。席上、トメ子が撮影した8ミリ映画が映写された。先代にドナられてペコペコしている啓太郎の惨めな恰好が写し出され、見入る社員達は笑いをこらえるのに苦労するといった有様。そんな中にあって、大場営業部長だけは、先代の姿が出て来ると、こみ上げる涙を押さえることが出来ないといった態である。その様子は、ヨネ未亡人をいたく感激させてしまった。さて、啓太郎は技術提携のため近々渡米する予定である。留守居をさせる厚子夫人のために、彼は休日の一日位は同伴で買物に出掛けねばならない。彼はこの役を秘書課長の長谷川に命じた。そして自分は止むを得ぬゴルフの大会があると偽って新橋芸者梅千代の許へ参じた。とその日の昼下り、二組の男女連れは街頭でバッタリ鉢合せ。梅千代の買物包を持たされた啓太郎は、とっさの機転に厚子夫人に向い、ゴルフの賞品だといってゴマかした。彼はにわかに方向転換して夫人の後に従い一路帰宅。--さてこんな具合でともかくも啓太郎は、無事羽田を出発し米国に向った。留守中の社長代理には、祝賀会で泣いていた純情な営業部長大場が、ヨネ未亡人のお目がねにかなった。途端に秘書課長も手持無沙汰になってしまった。社外の雑用から一切解放されたからである。そこで彼は同じ課にいる後輩松村のために一肌脱ぐことになった。松村は大場の娘春枝と恋仲なのである。長谷川は大場の機嫌が良い時を狙って切り出そうと思っていたが、あいにく大場は流感で倒れた。そこへ啓太郎が帰って来た。彼の目的が達せられたので、今宵は祝賀パーティ。その席で、酔った啓太郎があられもない姿で女装踊りをやったのである。トメ子がなんでこの撮影の好材料を見逃そう。そのフィルムはヨネ未亡人の許で映写され、彼女の激怒を買ってしまった。たちまち啓太郎はニューヨーク支店長にされ、大場が正式の三代目社長に就任するということに相成ったのである。