さらば愛しき大地

劇場公開日:

解説

「十九歳の地図」の柳町光男監督が、農業と工業が渾然一体となる地方都市を舞台に農家の崩壊を徹底したリアリズムで描いた人間ドラマ。高度経済成長のあおりを受け、田園地帯に工場群が押し寄せる茨城県鹿島地方。農家を継がずにダンプ運転手として家族を支える幸雄は、最愛の息子2人を水難事故で亡くしてしまう。深い絶望の中、幸雄は弟の元恋人である順子と出会い同棲生活を始める。しかし仕事が減ると、幸雄はその不安を紛らわすため覚せい剤に溺れるようになっていく。幸雄を根津甚八、順子を秋吉久美子が演じた。

1982年製作/138分/日本
配給:プロダクション群狼
劇場公開日:1982年4月9日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第6回 日本アカデミー賞(1983年)

ノミネート

監督賞 柳町光男
主演男優賞 根津甚八
助演女優賞 山口美也子
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映画レビュー

5.0云わずと知れた柳町の出世作

2023年12月23日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

学生時代に見て衝撃を受けた作品だったが、今見ても全く見劣りしない。中上健次の原作をベースにしたものよりさすが地元舞台にしただけあって、生々しさが半端ない。稲穂が大きく画面で揺らいで風の神の通り道を描いたシーンが好きだ。今も変わらぬ茨城平野の風景だ。人は生き死にで入れ替わるが受けた文化や環境は継承し拡散される。つくづくたゆまぬ基礎教育の重要性が浮かび上がる名作である。

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mark108hello

4.0田園地帯から工業都市に変化していく鹿島を舞台に、時代に合わせられない根津甚八と秋吉久美子を描く、一方逞しく生きる矢吹二郎と山口美也子

2023年6月19日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
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Kazu Ann

2.0主人公の廃退的ドロップアウトが地方性が原因とは思われなくて…

2023年2月23日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

鑑賞したタイミングが悪かった。 「蒲田行進曲」がキネマ旬報ベストワンの年の 第2位作品とのことで期待して観たが、 直前に鑑賞した作品が デヴィット・リーン監督の 「ライアンの娘」と「インドへの道」。 資料からは、製作費は、夫々、 「さらば…」の約100倍位はあるのだろうか。 充分な時間と資金に支えられたであろう 2作品との落差に、 この作品が、まるでTVドラマでも 見ているかのような気分になり、 鑑賞への集中感が削がれる一因にも なってしまった。 しかし、そんなことはさて置き、この作品、 あたかも地方社会の経済的・文化的側面が 悲劇をもたらしたかのような主人公の 廃退的ドロップアウトが描かれているが、 良く良く観ると 主人公の周りの人物のほとんどは 地域にしっかりと腰を据えて生きる 誠実な人々ばかりだ。 私も故郷の田舎を離れてかなり経ったが、 時折帰省しての 故郷の方々との触れ合いに際し、 なんら田舎だからと言う廃退性を 彼らに感じることはない。例えば 田舎町には不釣り合いと思われるような 立派な美術館があったりと、 手厚く福祉・文化環境も 保たれているような気がする。 もし、この映画の制作意図に、 二次産業的都市化の地方社会への悪影響が もたらした挙げ句の果てとしての主人公の 悲劇を描く意図があったのだとしたら、 この作品の内容では、 あくまでも個別の環境と彼自身の人格性が もたらしたこととしか思えず、 地方性そのもので括るべき内容ではない ように思えた。 結果、前述の理由も相まって、 キネ旬第2位にはなかなか納得のいかない 鑑賞になってしまった。

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KENZO一級建築士事務所

4.0堕落の一途

2022年10月29日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

興奮

萌える

今の売れている女優じゃ真似出来ない、秋吉久美子が素晴らしい女優魂を魅せつける、危ういままに突き進み一線を越える根津甚八の存在感が凄まじく、息抜きとばかりに場を和ませるような蟹江敬三はまさに逸品、とにかく出て来る役者が皆巧すぎる。 ダンプの運ちゃんは容易にシャブに手を出せてしまう危険な時代だったのか、小林稔侍が唐突にそれを受け入れてしまう女の鬱憤が炸裂、起こる全てが演技にしろリアルに映るには十分な脚本と演出が頗る冴えマクった柳町光男の手腕に脱帽。 激しくて痛々しい男女の関係性と静かで穏やかな雰囲気を感じながら幸雄と順子に魅了されてしまう。

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万年 東一