劇場公開日 1982年4月9日

「主人公の廃退的ドロップアウトが地方性が原因とは思われなくて…」さらば愛しき大地 KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

2.0主人公の廃退的ドロップアウトが地方性が原因とは思われなくて…

2023年2月23日
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鑑賞方法:DVD/BD

鑑賞したタイミングが悪かった。

「蒲田行進曲」がキネマ旬報ベストワンの年の
第2位作品とのことで期待して観たが、
直前に鑑賞した作品が
デヴィット・リーン監督の
「ライアンの娘」と「インドへの道」。
資料からは、製作費は、夫々、
「さらば…」の約100倍位はあるのだろうか。
充分な時間と資金に支えられたであろう
2作品との落差に、
この作品が、まるでTVドラマでも
見ているかのような気分になり、
鑑賞への集中感が削がれる一因にも
なってしまった。

しかし、そんなことはさて置き、この作品、
あたかも地方社会の経済的・文化的側面が
悲劇をもたらしたかのような主人公の
廃退的ドロップアウトが描かれているが、
良く良く観ると
主人公の周りの人物のほとんどは
地域にしっかりと腰を据えて生きる
誠実な人々ばかりだ。

私も故郷の田舎を離れてかなり経ったが、
時折帰省しての
故郷の方々との触れ合いに際し、
なんら田舎だからと言う廃退性を
彼らに感じることはない。例えば
田舎町には不釣り合いと思われるような
立派な美術館があったりと、
手厚く福祉・文化環境も
保たれているような気がする。

もし、この映画の制作意図に、
二次産業的都市化の地方社会への悪影響が
もたらした挙げ句の果てとしての主人公の
悲劇を描く意図があったのだとしたら、
この作品の内容では、
あくまでも個別の環境と彼自身の人格性が
もたらしたこととしか思えず、
地方性そのもので括るべき内容ではない
ように思えた。

結果、前述の理由も相まって、
キネ旬第2位にはなかなか納得のいかない
鑑賞になってしまった。

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KENZO一級建築士事務所