ザザンボ

劇場公開日:

解説

1976年、福島県で実際に起こった少年の自殺事件をモチーフに、事件の裏に隠された真実の追求に迫るドキュメント・タッチの作品。監督は「島国根性」の渡辺文樹で、製作、脚本、撮影、編集、そして主演も兼ねている。

1992年製作/日本
配給:マルパソプロ
劇場公開日:1992年12月5日

ストーリー

東北の農村で、ある日中学3年生の野崎善一(秋山誠)が首を吊って自殺するという事件が発生した。学内盗難の容疑者として度重なる追求を苦にしての自殺だった。早速マスコミがこの事件に飛びついたことで、騒ぎはどんどん大きくなっていく。少年の複雑な家族環境、校内体罰の問題、盗難の真犯人らしき人物の出現、そして少年自殺説に対する疑惑--。善一の担任の渡辺(渡辺文樹)は、体罰教師という立場で事件の渦中にありながら、善一の残したメモを手がかりに自力で盗難の真犯人を探し出し、そして自殺事件の真実に迫るため、少年の墓を掘り起こすのだった……。

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映画レビュー

2.5稚拙さを誤魔化すショッキング描写

2024年8月27日
iPhoneアプリから投稿

『バリゾーゴン』のセンセーショナルなポスターで有名な渡邉文樹の代表作。奥山和由が目をかけたほどの才能というから期待して観てみたのだが、面白くなかった。

おそらく現地の人々と思しきキャストは見るからに素人。プロだろうが素人だろうが持ち味を引き出すことは可能だということはジョン・カサヴェテスから濱口竜介に至るまで数多のシネアストが証明しているが、本作に限って言えば悪い効果しか発揮していない。

素人の朴訥さはうまいこと利用できれば独特の不気味さに結実させることもできるが、その前に「棒読み」の印象が先行してしまい、結果的に全く緊張感のない画になっている。もう少し演技指導というか、役者とのコミュニケーションを重ねるべきだったんじゃないかと思う。

そしてその杜撰さを誤魔化すようにショッキング描写(自殺、放火、乱闘など)が挿入されるが、もちろんそんな付け焼き刃には何の意味もない。子供騙しのしょぼいアトラクションだ。

一見すると深遠そうな長回しも細部の作り込みの甘さゆえに単なる技術的稚拙のように思えてしまう。とはいえ実際、本作の長回しは深遠さなどとはまったくもって無縁だ。長さに見合うだけの映画的豊かさがいっこうに立ち上がってこない。素材を取捨選択する苦労に背を向け、長回しが歴史的に担う美学性に凭れかかっているだけという印象を受ける。

本作は一部からカルト映画として評価されている向きもあるようだが、本作のカルト性を担っているのはあくまで本作の元ネタとなった実際の死亡事件だ。本作はその事件の怠慢な再現でしかない。

唯一良かった点とすれば、渡邉文樹演じる学校教師がクラスメイトたちに糾弾されるシーンだろうか。教師を睨みつける子供たちの眼差しを淡々と映していく。ここのショットの長さもちょうどよく、観ていて気持ちが良かった。

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因果

5.0ポスターには騙されないでね

2012年2月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

知的

難しい

この映画が来た時のキャッチフレーズとか「げろ袋用意」みたいなこと書いてあって、みな怖さ見たさで観に行った人もいるかもしれませんが、ほとんどが「なんだこりゃ?つまらん」と思ったことでしょう(実際私の友人もそう言ってました)。

ただこれは「マニア」という考えを持って、よーくよく観たら話の内容で「げろ袋」ですよ。いや本当に。だって観ているとやたらリアリティがありすぎるんですよね。
出演者は全員素人でしょう。だから棒よみっぽいのは否定できませんけど、ただそれがなんだか「他人の家」を覗き見しているような感覚で・・・
ほんとラストシーンは薄気味悪いと言うか、精神的に追いやられた感覚です。

家庭教師観て島国根性、ザザンボ、バリゾーゴンまで渡邉文樹は観てますが、「反権力」なんでしょうね。
大体この映画は松竹で配給されるはずだったのにポシャッたわけで(詳しくは検索すればわかると思います)、そこから全国行脚して上映し頑張っているようですね。
個人的にはファンなので応援してます。・・・が、誰かに刺されて死なないでね(苦笑)。

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青山大輔

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