GONIN

劇場公開日:

解説

バブル崩壊で世間からはみ出してしまった五人の男たちが仕組んだ強盗計画の顛末をスタイリッシュな映像で描くバイオレンス・アクション。監督・脚本は今回は名美と村木の愛の物語を離れた「夜がまた来る」の石井隆。撮影は石井とのコンビが冴える佐々木原保志。五人に紛するのは、「プ」の佐藤浩市、「RAMPO」の本木雅弘、「ゴト師株式会社スペシャル」の根津甚八、「EAST MEETS WEST」の竹中直人、「新宿黒社会 チャイナ・マフィア戦争」の椎名桔平。LD化の際再編集され119分の<特別版>が製作された。また2007年には121分の<REAL EDITION>が製作されている。

1995年製作/109分/日本
配給:松竹

ストーリー

かつてはヤングエグゼクティブとして雑誌に紹介されたこともあったディスコのオーナー・万代は、バブル崩壊で多額の借金を背負い、暴力団大越組の借金の取り立てに苦しんでいた。ある夜、万代は新宿のバッティングセンターで、サラリーマン風の男・萩原に執拗にからまれ、反対に殴りつけると、萩原は呆気なく倒れて泣き出した。リストラで会社を解雇された萩原は、職を求めて夜の街をさすらっていたのだ。怪我をした萩原を車に乗せて店に帰った万代を待っていたのは、大越組組員による嫌がらせだった。調子に乗って暴れる組員を、美貌の青年・三屋がナイフで刺した。三屋はホモ男を恐喝して刑務所に入ったことがあり、それが万代の密告によるものと思い込み付け狙っていたのだ。三屋の誤解をとき、万代は一緒に仕事をしないかと持ちかける。万代は、大越組の金庫に眠っている大金強奪を計画し、仲間を探している最中だった。万代に憎しみとともに憧れも抱いていた三屋はそれを承諾する。翌日、万代は借金の返済を延ばしてくれるよう、大越組に頼みに行った。そこへ組員の金髪の青年・ジミーが、女の借金のことで文句を言いにきて幹部と大もめになってしまう。ジミーは、タイ人の売春婦ナミィーのヒモだった。その夜、ジミーを探しに行ったバーで、万代は用心棒をしている刑務所帰りの元刑事・氷頭に出会う。氷頭は万代が現金強奪を計画した時から、仲間にしようと思っていた男だった。事務所の内部に詳しいジミーも仲間に引き込んで、打ち合わせを行っているところへ萩原が現れ、なかば強引に仲間入りし、計画は五人で遂行される。決して思い通りには運ばなかったものの、まんまと大金を手に入れた五人。だが大越組は、大金と一緒にナミィーのパスポートが盗まれていたことに気づき、ナミィーと一緒にタイ逃亡を企てていたジミーを拉致、拷問する。すぐに、主犯が万代らしいことを突き止めた大越らは、万代のディスコを襲撃するなど報復を開始。総長が雇った殺し屋の京谷と柴田も、精神に異常をきたし自らの手で一家を惨殺してしまった荻原や、氷頭の別れた妻子を次々に始末していくのであった。いよいよ自分たちの身に危機が迫っていることを知った万代と三屋は、万代の故郷・飯田へ身を隠そうとするが、京谷たちに逃亡途中で発見され、万代が殺されてしまう。万代との間に愛が芽生え始めていた三屋は、氷頭と捨て身の覚悟で大越組を襲撃。氷頭は命を落とすが、京谷以外皆殺しに成功する。こうして三屋は、金と万代の遺骨を持って再び飯田へと長距離バスで向かうが、警察に捕まったと思われていた京谷が現れ、バスの車中で相討ち。命を落とすのだった。

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映画レビュー

4.0【世の中の枠からはみ出した男達の刹那的な生き様、死に様を描いた作品。非情極まりなき極北の映画。 非情なる世界を見事に映像化した故、石井監督の想いが伝わって来る作品であると思う。】

2023年2月6日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

難しい

■バブル崩壊で多額の借金を背負った万代(佐藤浩市)。
 大越組からの代金強奪を計画していた彼は、コールドボーイの三屋(本木雅弘)、刑務所帰りの元刑事・氷頭(根津甚八)、リストラに遭った会社員の萩原(竹中直人)、元ボクサーのジミー(椎名桔平)と共に計画を実行するが、彼らは大越組のヒットマン、京谷(ビートたけし)に命を狙われていく。

◆感想<印象的な嫌なシーン>

・明らかに狂っている会社員の竹中直人演じる萩原が、矢鱈に家族の元に”お父さんは頑張ったんだぞ”と電話を掛けるシーン。
ー 彼が、久しぶりに家に帰って際に、家の中に飛んでいる蠅の音。気持ち悪い事、この上なしである。そして、彼は自らが手に掛けた妻と子供達の屍の中、京谷に額を撃ち抜かれる。
  今作は、資料を見ると竹中直人が石井監督に”パルプフィクションみたいな映画を撮りましょう”と言った事が切っ掛けだそうであるが、パルプフィクションどころではない、後味の悪さである。-

・元ボクサーのジミーを演じた椎名桔平は、最初全く分からず・・。彼と情婦の最期も後味が悪い事、この上なしである。

・故、根津甚八が演じた氷頭の妻と娘が凶弾に斃れるシーンも後味が悪い。
ー この名優の哀しき目力が随所で見られるだけでも、この作品には価値があると思う。-

・万代や、三屋の最期も後味が悪い事、この上なしである。

<今作は、逝去された石井監督の出世作である。
 それまでの極道映画には、”滅びの美学”などという言葉が良く使われていたそうであるが、この作品には美学の欠片もない。
 だが、それ故に今作の価値があるのだと思う。
 現在の邦画では、暴対法の関係もあるかもしれないが、今作のような非情極まりなき極北の映画は製作出来ないのではないだろうか。
 その点を、見事に映像化した石井監督の想いが伝わって来る作品であると思う。>

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NOBU

4.0以前ビデオで観た映画だが改めて。何故だか分からないが、今日まで北野...

2022年9月4日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

以前ビデオで観た映画だが改めて。何故だか分からないが、今日まで北野武の監督作品だと思い込んでいた。大昔、若い頃観た時は正直この映画を面白いとは思えなかった。石井隆という監督の名前は知らなかったが、彼は脚本家としても優れているのだろう、この脚本が素晴らしいと思う。久しぶりにみたが、根津甚八は本当に格好いい。

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Yohi

4.0役者の適材適所が光る映画だった

2022年8月8日
iPhoneアプリから投稿

面白かった。
ハードボイルド映画はとても好きだけれど、この映画は特に、役者とそのキャラクターがとてもあっている感じがして、心地よかった。
かなり古い映画なので、まだ若い頃の元木君が出ているが、才能の片鱗を大いに発揮していた。
加えて、久しぶりに見る根津甚八の痺れるかっこよさ。
竹中直人の突き抜けたイカれぶりなどワクワクするようなキャラ達だった。
ストーリー的には割と単純だったけれど、見応えは充分だった。

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ニョロ

4.5顔面マヒナスターズ

2022年7月9日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

観ている途中、当時のたけしの「モックン!!」というギャグを思い出す(両腕を前方にね)

韓国や香港ノワールを観ているようで印象的な場面が続く

もろに男同士もありとにかく全編濃い

音楽の使い方も独特でクセになる映画

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うんこたれぞう
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