皇室と戦争とわが民族

劇場公開日:

解説

「大虐殺」の内田弘三の脚本を、「太平洋戦争 謎の戦艦陸奥」の小森白が監督した歴史もの。「女と命をかけてブッ飛ばせ」の岡戸嘉外が撮影した。

1960年製作/95分/日本
原題:The Lovelorn Geisha
配給:新東宝
劇場公開日:1960年6月11日

ストーリー

神武天皇の御東征--昭和十二年七月七日芦溝橋に端を発した日中両軍の戦闘。陛下は戦争状態を解決する努力を続けたが、軍の巨大な力をどうすることもできなかった。昭和十六年十一月二十六日、最高戦争指導者会議は開戦やむないとの決議がなされた。陛下は万機公論に決するという明治以来の伝統と、立憲国の君主としての分をあくまでも守らなければならなかった。十二月一日、開戦の議は決せられた。緒戦は華々しかったが、ミッドウェイ海戦の敗北を契機に日本は劣勢にたった。しかし、攻府・軍部は国民をしゃにむに戦争にかりたてた。陛下はひそかに終戦の決意を鈴木首相に打ちあけた。しかし、軍の圧力にあい鈴木首相はポツダム宣言を黙殺した。八月六日、広島に原爆が投下された。八月十五日、遂にポツダム宣言は受諾された。八月三十日、マッカーサー元帥が厚木飛行場に進駐した。日本は被占領国となった。二十一年新春、陛下は年頭の詔書で神であることを否定し人間宣言を発表した。二十二年襲いかかったインフレの荒波は、労働者の生活をおびやかした。ゼネスト、国鉄の首切り、三鷹・松川事件。やがて朝鮮戦争が勃発した。国内は依然として暗雲低迷としていた。二十七年、サンフランシスコ講和条約が結ばれた。「国の春と今こそはなれ露こほる、冬にたへこし民のちかのに」と陛下はその日の喜びをお詠みになった。この年の十一月十日、皇太子は成人式と立太子の儀式をとり行い、三十四年四月十日には正田美智子嬢と結婚。そして明年二月二十三日には親王殿下が誕生した。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

1.0日本はアジアで一番優れた民族

2019年10月21日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 まずは日中戦争。平和的解決を求める姿だけを見ると、なぜ日中戦争が起こったのかわからない。ソ連を過小評価するべきでないという天皇の言葉も無視され、中国から撤退する意思さえない軍部。経済封鎖であるABCD包囲網を敷かれた時点においても開戦準備する頭しかない御前会議の様子を見ると、まるで今の北朝鮮と同じ。

 実際の映像をふんだんに取り入れ、リアルさも増し、こんな国力じゃ他国に勝てるわけがないということをアピールする一方で、陛下は常に「戦争を避けるように」と言っていたことを強調する。

 決して戦争を賛美している映画ではないのですが、戦争をなかなか止めなかった軍上層部のみを批判することで天皇賛美へと結ぶような映画。8月15日の玉音放送後の往生際の悪い厚木航空隊の記述や戦後混乱期の生々しいドキュメントはなかなか良かったのに、日本の飢餓を救ったとまで賛美されると、どうでもよくなってくる・・・

 全体的には右翼的なのかもしれないが、現代における「戦争が起こったのはしょうがないことだ」という論調とは異にしてるところに救いがある。しかし、憲法制定の映像くらいまでにしておけばよかったのに、皇太子の結婚の儀まで持ってくるとは・・・映画センス無し。

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kossy
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