ゲンと不動明王

劇場公開日:

解説

第二回小川未明文学奨励賞を受けた宮口しづゑの同名小説を「妻として女として」のコンビ、井手俊郎と松山善三が脚色、「大坂城物語」の稲垣浩が監督した児童映画。撮影は「紅の海」の山田一夫。

1961年製作/102分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1961年9月17日

ストーリー

ゲンとイズミの兄妹は木曽の深い山の中にある、セイカン寺というお寺の子供だ。オッチャンはこの寺の和尚。母親は二人が小さい時に死んでしまった。釣り鐘堂の鐘が転がり落ちた日、村の偉い人たちはオッチャンに嫁をもらうことに決めた。中津町から嫁になってくる人が、男の子は嫌いなためゲンはあららぎ村の雑貨屋の子供に貰われることになった。あららぎ村のクオン寺の和尚さんは、新しい学生服、靴、ランドセルをゲンに餞別として送った。ゲンは、大事な宝の箱からお不動さまのメンチだけをとり、残りの転がし玉などを全部妹のイズミに残して行った。ゲンは毎朝六時におきて床をふいたり学校から帰ると店の番をした。一人ぼっちのゲンは、淋しいのでまえよりもっといたずらっ子になり、おかねさんに叱られた。ゲンは叱られて悲しくなると、クオン寺に行ってお不動さまと話した。お不動さまはメンチのお不動さまと同じ顔だった。ゲンが悲しい時、淋しい時、お不動さまは「弱虫!」とゲンを励ますのであった。だが、おかねさんはゲンがあんまりいたずらするのでセイカン寺に帰すことにした。ゲンがセイカン寺に帰ってくるとイズミは大喜びだった。けれども、ゲンは新しいお母さんにどうしてもなつかなかった。ある日、お母さんがゲンの大事なお不動さまのメンチを捨ててしまった時、ゲンの怒りが爆発「おだいこく!」とどなってしまった。お母さんは怒って中津町に帰ってしまった。ゲンとイズミはお母さんに帰ってもらうため中津町に二人ででかけた。おなかが空いても、夜になっても二人は泣きながら中津町の方へ歩いていった。バスの運転手安夫が二人をみつけてセイカン寺に連れ帰った。数日してクオン寺の和尚さんから、お母さんが帰ってくると伝えてきた。だが、ゲンはクオン寺の小僧さんにならなければならなかった。和尚さまと並んだゲンは後をふり返りふり返り小さくなっていった。イズミは、にいちゃんに聞えるようにと、泣きながら、鐘つき堂の鐘を、一生懸命つくのであった。

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