悪魔の手毬唄(1977)

劇場公開日:

解説

古い因習と二大勢力、仁礼家と由良家の対立する鬼首村に次々と怪奇な連続殺人事件が突発するという横溝正史の同名小説の映画化。脚本は久里子亭、監督は「犬神家の一族」の市川崑、撮影も同作の長谷川清がそれぞれ担当。

1977年製作/144分/日本
原題または英題:A Rhyme of Vengeance
配給:東宝
劇場公開日:1977年4月2日

ストーリー

古い因襲に縛られ、文明社会から隔離された岡山と兵庫の県境、四方を山に囲まれた鬼首村(オニコベムラ)。青池歌名雄は、葡萄酒工場に勤める青年。歌名雄には、由良泰子という恋人がおり、仁礼文子もまた、歌名雄が好きであった。この由良家と仁礼家は、昔から村を二分する二大勢力であった。しかし、二十年前に、恩田という詐欺師にだまされ、それ以来由良家の、勢いはとまってしまい、逆に仁礼家が前にもまして強くなった。その時、亀の湯の源治郎、つまり歌名雄の父親が判別のつかない死体でみつかった。この事件を今も自分の執念で追いかけているのが磯川警部。磯川は、ナゾをとくために、金田一耕助に調査を依頼する。金田一は、最初に恩田と特にかかわりがあった多々良放庵に会う。その頃、村では大騒ぎ。というのも、別所千恵が、今では人気歌手・大空ゆかりとなり、今日はその千恵の里帰りの日であった。その晩、千恵の歓迎会の時に、第一の殺人事件が起きた。泰子が何者かによって殺されたのだった。そして、泰子の通夜の晩、葡萄工場の発酵タンクの中に吊り下げられて死んでいる文子を発見。この二つの殺人事件には、この地方につたわる、手毬唄の通りに行なわれていることを金田一は発見。そして、文子の通夜の晩、犯人は、千恵に入れかわっている里子を殺してしまう。この犯人は、青池リカで、里子は、母親が犯人であることを知り、千恵の身がわりになったのである。金田一の捜査により、恩田と源次郎は同一人物であることがわかる。そして、恩田=源次郎は、千恵、泰子、文子の実の父親であった。リカは、それらの娘たちと血のつながる歌名雄をいっしょにできないと思い娘たちを殺してしまったのである。リカは、犯行を自供後、沼に入って自殺を測る。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第1回 日本アカデミー賞(1978年)

ノミネート

監督賞 市川崑
主演女優賞 岸惠子
助演男優賞 加藤武
助演男優賞 若山富三郎
技術賞 村木忍
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映画レビュー

5.00129 仁科明子最後の輝き

2024年8月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

1977年公開
市川崑金田一最高傑作。
スタッフもキャストも横溝世界観に浸りまくり
さらに市川演出にも慣れてきて絶好調。
石坂浩二のマントも印象的。
北公次も悪くない。
恵子ちゃん、出てくれる?
お任せしますわ岸恵子も悲劇の女性の存在感ありまくり
若山富三郎は人のいい役を見事にこなす。
村井邦彦のテーマ曲もいい。
原作も横溝正史円熟期に書かれており
すべてがプラスに作用している。
100点
初鑑賞 1977年4月6日 梅田劇場
パンフ購入

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NWFchamp1973

4.0映像センスはさすが

2023年11月8日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

田舎のおばはんのはずなのに、岸恵子がちょっと都会的かなー。草笛光子と渡辺美佐子と白石加代子が、並んで長椅子に座っているところは、豪華すぎるシーンだった。この女達をとりこにした源治郎、顔がはっきりしないが、よほど魅力があったんだろうねぇ。狭い村の中に、血のつながった子がこんなにいては、秘密を知ってたら心配でたまらん。悲しい話だった。

BS松竹東急の放送を録画で鑑賞。

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共感した! 3件)
ぷにゃぷにゃ

4.0舞台となる山村の映像が美しいです。 とても悲しい大人の映画ですね。...

2023年9月16日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

舞台となる山村の映像が美しいです。
とても悲しい大人の映画ですね。

最後、岸惠子が全てを持って行った。

日本のミステリー映画の中でも名作の一本であると思う。

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共感した! 2件)
カネナカ

5.0磯川警部の恋の物語‼️

2023年6月28日
スマートフォンから投稿

泣ける

悲しい

興奮

「犬神家の一族」に続く2作目で、市川崑監督、石坂浩二主演の "金田一耕助" シリーズの最高傑作‼️同時に「砂の器」と並ぶ日本ミステリー映画の至宝ですね‼️冬枯れの鬼首村で起きる連続猟奇殺人事件に金田一耕助が挑む・・・天才・市川崑監督の映像センスがホント素晴らしくて、水墨画のような映像だったりとか、手際良くプロローグで主要人物の説明を済ませたり、東宝マークからえんえん11分後に思わずうなるタイミングでメインタイトルが出たり、名作「モロッコ」や無声時代劇「新版大岡政談」を部分使用したりとか。哀愁漂う音楽もそうなんですが、情感豊かなタッチと市川監督特有の技巧が完璧に融合してると思います‼️しかし何よりもこの作品をシリーズ最高の名作としているのは、岸恵子さんと若山富三郎さんの圧倒的な存在感に他ならない‼️悲しい女の性(さが)を体現する岸恵子さんの熱演‼️自分の娘を殺してしまったと泣き叫ぶシーンや、自ら沼に入っていくラストの佇まいなど、まぶたに焼きついて忘れられません‼️そして、磯川警部役の若山富三郎さん‼️見事な掛け合いを見せる金田一との友情‼️磯川警部が岸恵子さん扮するリカに寄せ続ける恋慕の念‼️リカに自首を勧めるシーンの若山富三郎さんの熱演には胸が熱くなります‼️そして、ラストの金田一のセリフ"磯川さん、あなたリカさん愛してらしたんですね・・・?" ‼️もうたまりません‼️ミステリーの枠を越えた人間ドラマとしても映画史に残ると思います‼️色々な人に見て欲しいですね‼️

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